髙田延彦が引退表明のミルコの思い出語る「探求心がすごかった。そして貪欲、ハングリー」

 元総合格闘家の髙田延彦氏が3月11日、自らがMCを務める番組「髙田横粂の世相談義」で、先日、現役引退を表明したミルコ・クロコップの思い出を語った。

2週間ぶりの配信となった

「察するにあまりある」とミルコの胸中をおもんぱかる
 髙田氏は選手として2001年にミルコと対戦。引退後はPRIDEの統括本部長としてミルコの総合格闘家としての軌跡を最も近くで見ていた。

 PRIDE後、UFC参戦と輝かしい実績を誇るミルコだが現在44歳。引退へのカウントダウンが始まる中、「負けた選手に星を返して引退する、というのが彼のモチベーションだった。昨年5月に手術をしたが、9月にはRIZINで復活。今年の2月には以前TKO負けを喫したロイ・ネルソンにフルマークの判定で勝って、幸先のいいスタートを切ったところでこういう結果になってしまった。察するにあまりあるが、本人が一番悔しいだろうし、忸怩たるものがあると思う。でも脳卒中という診断も出ているし、ここは無理だと自身が納得したんだと思う」とミルコの心中をおもんぱかった。

 自らとの対戦については「とにかくボディーパワーが無茶苦茶強かった。188センチで105~109キロくらい。実戦で使える筋肉の塊。組んでも強いし、打撃のスピードも破壊力もあった」と振り返った。さらに自らの引退後はPRIDEの人間としてミルコと接する中で、寝技を強化するためにブラジルの柔術家で後にUFCヘビー級王者となるファブリシオ・ヴェムドムをクロアチアに呼び寄せて寝技の習得に励んだエピソードを交え「探求心がすごかった。倒されてもリカバリーできる、それどころかグランドでも決めることができるコンプリートなファイターを目指していた。貪欲に、総合に必要なすべての武器を身につけてリングに上がって、“ヒョードルを倒して1番になる”というのが彼の当時の目標であり夢だった。早くヒョードルにたどり着くためにひと月に2試合やったこともあった。何かにとりつかれたかのように自分を磨きながら結果を出していった。それ以降の選手には見られないくらいハングリーだった」と語った。

ミルコとの思い出を語る髙田氏(左)

ベストバウトが止まらない!
 そしてミルコのベストバウトとして、「最初のヴァンダレイ(・シウバ)戦は道場破りに来た感じが強かった。ミルコがヒール。ホームのヴァンダレイをみんなが応援する図式。その前の藤田選手との初の総合の試合。あのファーストインパクトは非常に大きかった。あそこからミルコのPRIDEロードが始まった。それから国立競技場でやった桜庭(和志)戦。体重差があったが、あの桜庭がむきになって殴り合いに行った。あの瞬間はミルコも度肝を抜かれたと思う。体重差もあるのに“俺と殴り合うの?”って。最後は桜庭がテイクダウンしたんだけど、ミルコが下から蹴り上げた足が目に当たって、骨折。TKOで終わった。ケビン・ランデルマンの試合覚えてる? まさかの敗戦」などととどまるところを知らない。

 そして「東京ドームでのノゲイラ戦。1から10まで完全にミルコが攻めていた。もうミルコの勝ちだろうというところから、一瞬のスキをついてノゲイラが腕十字で勝った。世紀の大逆転。こんな大逆転なんてあるのかと思った。当時の試合を見たことのない若い人にも見てもらいたい。こんな試合をリアルファイトでやられたらプロレスは吹っ飛んじゃうと思った。猪木vsホーガン戦で、ホーガンが攻めて攻めて、最後に猪木さんが延髄で決めるみたいな、そんな逆十字だった。あれはミルコは悔しかったと思う」などと予定時間を大幅に超えてミルコについて語った。

神妙な面持ちで東日本大震災にも触れる2人

東日本大震災から8年目
 またこの日は東日本大震災から8年目ということもあり、この話題にも触れ、「いまだに戻れない地域の人もいる。戻っていいよと言われても、昔と同じにはいかない場合もあるし、今いるところでコミュニティーができている人もいる。それでも戻りたいと思う人にはたくさんのマイナスがあっても、戻りたいと思わせてくれる準備を国や自治体が先頭に立ってやってくれないと」などと話した。

 また髙田氏は震災以降、自らが主宰する髙田道場の子供たちと東北の子供たちのための募金活動を欠かさず行っており、放送前日にも二子玉川の駅で行ったという。

 髙田氏は「やらなければゼロですが、やれば必ずプラスになる」としたうえで「東北の方々が味わった苦しみを、いつ我々が当事者になって味わうことになるか分からない。そういう心の準備をこっちの子供たちにも持ってほしいし、8年経ってもまだ苦しんでいる子供たちのことも思って“君たちがやっている活動に誇りをもってほしい。やれば必ず思いは伝わる”という思いでやっている。やれる限り、永遠に続けていきたいと思っています」と話した。

 また髙田道場では4月14日にはいわき市で「ダイヤモンド・キッズ・カレッジ」という子供たちのためのイベントを開催。今回集められた寄付金はその時に福島県保健福祉部子ども未来局の「東日本大震災ふくしまこども寄附金」に届けられるという。髙田氏は「我々の姿を見て、少しでも協力したいという気持ちになって、行動に移してくれる人がいて、ありがたい。この場を借りて昨日募金をしてくれた方々にお礼を申し上げたい」と話した。

 同番組はRIZINの統括本部長を務める髙田延彦氏とトークバラエティー番組「バイキング」(フジテレビ系)などでコメンテーターを務める元衆議院議員で弁護士の横粂勝仁氏が「今現在、髙田延彦が気になっている時事ネタ」を徹底討論する、生ワイドショー番組。「FRESH LIVE」で月曜21時から不定期で配信中。次回は3月25日に配信の予定。