三池崇史監督最新作「初恋」に見る、悔しいぐらいの映画哲学!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 カプセル兵団超外伝 アクティブイマジネーション朗読劇『中国神話の世界』が無事に終演いたしました。

 このご時世の中、お越しいただいた皆様、ありがとうございます。今回、来られなかった皆様、ゆっくりとお芝居を見ることができる日々がもうすぐ来ることを信じて、また今度どこかでお会いしましょう。

 そして僕はこれから3月24日から始まる三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.8『世界は、猫と花と鳥と、蛇のもの』に邁進いたします。

 こちらもよろしくお願いします。

 今週は鑑賞記です。では始めましょう。
黒田勇樹
 実は僕…三池監督苦手でした。苦手というか、ミュージカル映画も忌野清志郎も大好きだった20代前半の若かりし黒田くんが「日本のファンタジーミュージカル映画!?」と、喜び勇んで観たのが三池作品初体験だった「カタクリ家の幸福」。

 オープニングから楽しいミュージカルシーンが続くと思いきや…開始5分ぐらいで、血塗れのちぎれた舌だか、のどちんこが飛んできて…DVDプレイヤーの電源を切って、それ以来、避けてきていました。

 映画好きだからってね! 全ての映画を愛せるワケじゃないんですよ!

 それから15年近く経った今「まぁ、話題だし、好き嫌いだって、年齢と共に変化するし」と、勇気を出して観に行った本作。

 面白かった!

 窪田正孝君演じる、みなしごのボクサーから始まり、染谷将太君のインテリヤクザ、大森南朋さんの汚職警官と、前半戦は「この人を見て下さいね」と、一線で活躍するスターたちだけにフォーカスを当てたシーンを連続させ、こっそりと、わかる人だけわかるムラジュンをほんのり混ぜて、キャラ紹介が終わってから本筋への導入で紹介されるヒロインが、DV被害者で今は薬中の売春婦…

 てんこもり過ぎるでしょ…

 しかし、やっぱり冒頭5分ぐらいで、ぶった切られた生首が飛んできて「ああ、また、これか…」と思ってた自分が、吹き飛ぶほどのエンターテイメントを、この後で浴びせられます。

 ドラッグギャグ、バイオレンスギャグ満載の展開が続くんですが、ベタとベタの組み合わせをこんなに上手に調理できるのかと思わされ、いつの間にかぶっ飛んだ荒唐無稽のヤクザバトルになってるのに、違和感を感じない。

 なんなら、染谷くんがトングで焼き肉を食べてたシーン辺りから、このファンタジーへのいざないが始まってたのかもしれない。

 北野監督の言っていた「映画は数学」という言葉を体現したような美しい流れで、ラストまで導かれ、んで、んでね!

 ラストバトルはちょっとだけご都合主義な所があるんだけど、そんなことはどうでもよくて「これで終わりかな?」と思った、後に描かれる「本当の最後の戦い」

「これは、映画を愛して、映画を学びつくした、映画の哲人にしか撮れないわ」

 それ以外の感想が出てこないほどの傑作でした。

 僕も「カタクリ家~」見直すので、血が苦手な人以外は皆さんに観て頂きたいです。
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