アジアのアクション映画にこの人あり!『るろうに剣心』シリーズの“アクション・マスター”が香港の大スターとタッグ!

『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』監督・谷垣健治 インタビュー
 熱血刑事フクロンはある事件を機に現場から証拠品保管室へ移動となり、さらに婚約者ホーイにも見放されてしまう。外回りをせず暴飲暴食の日々…半年後フクロンは“ポッチャリ刑事”デブゴンとなっていた。あるとき容疑者護送の任務で東京に赴いたフクロンは、ホーイに接近するヤクザが絡む巨大な陰謀に気づき、一人立ち向かっていく…!

『イップ・マン』シリーズや『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』など、アジアはもちろんハリウッドでも活躍するドニー・イェンが、特殊メイクで体重120キロの“デブゴン”になり、その体形のまま熱血アクションを繰り広げる注目作。
 監督は佐藤健主演『るろうに剣心』シリーズをはじめとする大ヒット映画でアクション監督を務めてきた谷垣健治。アジアのアクション映画にこの人あり! 谷垣監督が語る、盟友ドニーや香港映画界との絆、そしてアクション映画に挑みたい日本の若き俳優たちに伝えたいこととは。
谷垣健治監督 撮影・蔦野裕
香港アクション映画の至宝が体重120キロに!?
 数々のエンターテインメント大作でアクション指導を手掛けてきた谷垣監督が自らメガホンをとった本作『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』。そのタイトルを見て、1970~80年代に人気を博したサモ・ハン主演の名作アクションを思い浮かべた人もいるはず。

「8割くらいの人は知らないだろうなと思ってたんですけど(笑)。でも、そういう香港映画の文脈で見てみようかと思ってくれる人もいるかも、と思ってこのタイトルにしました。この映画で香港アクションコメディーの黄金時代を思い出したと言われるのは、うれしいですね。実は近年、香港ではこういったアクションコメディーがほとんど作られなくなっているんです。主人公がブルース・リーが好きだったり、ジャッキー・チェンの立体的なアクションを取り入れたりと、本作にはその時代の香港映画へのリスペクトも込めたつもりです」

 そんな香港アクション黄金期へのオマージュも楽しめる本作はフクロン役のドニー・イェンをはじめ、香港・日本から豪華な顔ぶれが集結。

「ドニーとはもう25年近い付き合いです。6年前、僕が監督して、太ったドニーとやせたドニーが追いかけっこをするというマットレスのCMを作ったのですが、それがけっこう好評だったので、僕が映画用の企画にして本作が実現しました」

 これがあのドニー・イェンだとは誰も思わないであろうルックスで、ときにコミカル、ときにド迫力のアクションを繰り広げる様子は必見。

「メイクをするのに2時間、メイクは7時間ほどしたら崩れてくるので、のんびりできず、彼のシーンは集中して撮らないといけない。しかもボディースーツで動きが不自由なままアクションをしなければならないし、ドニーは相当大変だったと思いますよ。実際、撮影の直前になってドニーが“1つ、アイデアがあるんだけど。…フクロンが太らないというのはどうだ?”って言い出したんです(笑)。“例えば俺は香港から来た普通の刑事で、他に5人くらいの仲間がいて…”と『五福星』みたいなことを言い出したので、あわててみんなで説得しました。まあ、ドニーはこれまでも特殊メイクがある役をやるたび“二度と特殊メイクはしない!”と言っては、またやるんですけど(笑)。『イップ・マン』シリーズや『ローグ・ワン』みたいな厳格な求道者といった役を続けていると、こういう役も役者の幅として演じたくなるんでしょうね。本人もこれまでなかなかコメディーをやる機会がなかったし、一般的に認知されているイメージとはまったく違う役どころを楽しんで演じてくれたと思います。太ったドニーはドラえもんみたいで意外とキュートでしたし(笑)。それと、今回は僕やドニーが長年一緒にやってきたアクション映画作りの仲間たちが集結してくれた。香港でもコロナの影響で現場が止まっていた時期にドニーが“あの現場は本当に楽しかった”とメールをくれました」
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