時短営業を乗り越えてーーウィズコロナの2021年、ライブハウスとクラブのいま

東京・青山のライブハウス「青山月ミル君想フ」

 2020年、新型コロナの影響で多くの音楽系フェスが休止を強いられ、店をたたむライブハウスやクラブも多かった。新型コロナによる新しい生活様式のはじまりから1年。2021年は、春以降いくつかの音楽フェスが開催予定となっており、音楽の現場にも活気が戻りはじめている。


 


時短営業乗り越え、事業拡大。「おもしろいモノ作り続けていきたいだけ」


 ライブハウスやクラブ、音楽フェスなどにとっては苦しい1年となった2020年。時短営業や休業を強いられながらも、なんとか存続できた店舗もあれば、そうでなかった店舗もあった。音楽の現場に注目がされづらかった1年の中で、事業拡大、他事業展開などを行いながら生き残ってきた場所もある。


 東京・青山のライブハウス「青山月ミル君想フ」(以下、月ミル)も、経営努力を重ねてきたライブハウスのひとつだ。本サイトが行ってきた「今ライブで見たいバンド紹介」の取材にも協力してくれたこともある。


 ライブハウスの「基本はスタンディング」という概念をなくした座席の多い会場設計や、自社レーベルによる海外バンドとのレーベルメイト契約など、常に新しい取り組みを行ってきた。月ミルの店長・タカハシ氏は2020年を「努力の1年」として振り返った。


「2020年、私たちの友人でもある多くのライブハウスが店をたたみました。月ミルも春の緊急事態宣言時には、7割近くの収益カットとなった。それでも立ち止まってしまってはいけないと、いろいろ施策を講じて乗り切ってきました」


 今となっては当たり前となりつつあるオンラインライブ配信だが、初期は運営が整わないサービスも多く、ユーザーにとっても演者にとっても難しいイベントだった。そんな中、月ミルは外部の配信サービスを使わず、自社で配信環境とプラットフォームを持ち、オリジナルチャンネル配信を行ってきた。



「もともと早い段階から、オンラインライブには目をつけていたんです。現在、日本の配信ライブはほとんど日本国内で経済を回している状態ですが……。自社のレーベル『BIG ROMANTIC RECORDS』はアジアのバンドとのつながりも深いこともあり、グローバルに音楽を届けられるライブ配信を使って、日本の音楽を世界に発信したいという思いもあった。だからこそ、ごく早い段階から配信プラットフォームをしっかり整えました。チャンネルは海外言語対応もしており、まだまだ少ないですが、海外の方にも配信ライブを楽しんでもらえるように画策しています」



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