“奴隷シリーズ”の女優・行平あい佳が体当たりで新境地!「元ロマンポルノ界人気女優の母にも見せたい作品」

『海辺の生と死』『二十六夜待ち』など、男女の情愛を描き続けてきた越川道夫監督による「誰でもない恋人たちの風景」シリーズ第3弾『「アララト」誰でもない恋人たちの風景 vol.3』が5月15日より公開。『私の奴隷になりなさい第 2 章 ご主人様と呼ばせてください』の女優・行平あい佳が、左半身に麻痺を抱える夫を支えながら優しい同僚に心が揺れるヒロイン役で新境地を見せる。

行平あい佳(撮影・蔦野裕 ヘアメイク・星野加奈子)

聖母のような主人公役で、あて書きに戸惑い?

「本作のシーンで越川監督から、できるかどうか聞かれたのは自転車に乗れるかということくらいでした(笑)」と、体当たり演技を軽やかに振り返る女優・行平あい佳。今回、演じたのは、左半身に麻痺を抱え体で愛し合うことができない夫を深く思いながらも、すれ違いに傷つき、他の男性の優しさにふとすがってしまう主人公サキ。“奴隷シリーズ”後も『タイトル、拒絶』やNHK 連続テレビ小説「スカーレット」など着実にキャリアを重ねてきた行平。本作では艶やかにして切ない情事シーンにも体当たりで挑み、主人公の複雑な心情を時に聖母のように、時に官能的に演じ切った。

「もともと本作は、越川監督と私がタッグを組むというところから始まり、サキという役もあて書きで書いていただいたのですが…最初に脚本を読んだときは、これほど人を深く愛し支えることができる女性像が、なぜ私のあて書きで出来上がったのかと首をかしげました(笑)」

 左半身に麻痺を抱える夫スギちゃん(荻田忠利)の介護をしながら、深夜のファミレスで働くサキ。大変そうな顔一つせず、懸命に夫婦の生活を支える。

「もちろん、サキという人物を最初からまったく理解できなかったわけではありませんでした。ただ、最初にあて書きしていただけると聞いたときに、もしかしたらすごく自分とリンクしてシンクロ率200%!みたいな演技体験ができるかも…という気持ちで構えてしまっていて、私ってこんな人間だったろうか?と疑問に思うところから役に入ってしまった。最初のうちは、あて書きということがかえって手枷足枷となってしまっていたんです。でも現場で越川監督にもたくさん相談に乗っていただきながら自分なりに演じるうちに、いつしか枷も外れ、サキと向き合うことができるようになりました」

 

1 2 3 4 5>>>