待ちに待った食欲の秋!マッキー牧元さんに聞くおうちで楽しむ 「東京の味」

 緊急事態宣言下で迎えることになった今年の「食欲の秋」。そんな時こそ自宅で楽しめるテイクアウトやデリバリーを活用したいもの。コロナ禍でテイクアウトやデリバリーを始めた店の中には、行ってみたかった名店や食べてみたかったメニューが盛りだくさん。年間外食600食と言われるタベアルキストのマッキー牧元さんに、今おすすめしたい「東京の味」について聞いた。

年間外食600食と言われるタベアルキストのマッキー牧元さん(撮影:蔦野裕)

家にいながら外食しているようなハレの雰囲気を味わえる

 年間外食600食と言われていたマッキー牧元さん。このコロナ禍で食生活はどう変わりましたか?

「昨年の緊急事態宣言中は、外食しようにもどこもやっていなかったので、ほぼ外食していないんですよ。ずっと家でごはんを食べていて、その時にテイクアウトを利用しました。どこがいいかなと考えて、すべて信頼の置ける店からテイクアウトして。今までテイクアウトをやっていなかったお店もあって、注文して取りに行って、家で食べて……そこが一番変わったことですね。外食しなかったし、家ではそんなにお酒を飲まないのでやせました(笑)」

 飲食業界や飲食店の変化は感じましたか?

「知り合いのお店がたくさん閉店しました。コロナ禍で打撃を受けたというお店ももちろんありますが、後継者がいなかったお店がコロナ禍をきっかけに閉めてしまったというのが多かったです。いつかは閉めたかもしれないけれど、コロナ禍でそれを早めたお店が多いと思いますね。

 あるベテラン料理人に『料理人殺すに刃物はいらぬ。三日休めばいい』と言われましたが、料理人というのは技術を含め、毎日やってないと勘が鈍るんですよ。ですから、休業が明けてお店がうまくいっていたからといって、前の味ではなく勘が戻っていないなと感じるお店もありました。それは料理人自身も分かっていると思います」

 コロナ禍によって多くのお店がテイクアウトやデリバリーに参入し、バリエーションも増えました。マッキーさんはどのように利用されていましたか?

「家で料理を作る日常と、外で料理を食べる非日常はまったく違うものじゃないですか? テイクアウトというのはその中間で、値段はそれなりにしますけど、外で食べるよりは安い。家で簡単に味わえる非日常と言いますか、買ってきて家族で食べるとしても、家で作るものとは全然レベルが違います。家にいながら外食しているようなハレの雰囲気を味わえて、家族もいろいろな経験ができますし、普段とは違う会話も弾みますよね。

 今までのテイクアウトとは違って、高級店が参入すると“さすがだな”と思わせるメニューがかなりありましたよ」

 たとえばどんなお店でそうした創意工夫を感じましたか?

「赤坂の『懐石 辻留』のご飯セットは、お店で食べると最低でも1人1万円はする料理を家で食べられて、ご飯・お椀・炊き合わせ・向こう付けなどの再現性の高さにびっくりしました。もちろんお店で食べたほうがおいしいけれど、全く遜色ありません。

 お弁当は料理人の心構えや腕が出るすごく難しい料理で、そうした怖さを知っていると思わせるのが『乃木坂 しん』の会席弁当です。野菜もあれば魚もあって、味のバリエーションもないといけませんし、食材が混ざったり揺れたりしないようにきっちり詰められています。自分の子どものお弁当とは違いますから、考えるのが大変ですよ。僕は二段重会席弁当を食べた時に、これは安いなと思いました。

 銀座の『Renge equriosity(レンゲ エキュリオシティ)』のお取り寄せは、ほぼ冷凍で電子レンジや湯煎、鍋に入れるなど温め方が指定されています。家で完璧に再現できるように、シェフが何度も何度もトライ&エラーを繰り返して作られている完成度の高さに驚きました」

1 2 3 4>>>