外交・安全保障通の長島昭久氏がウクライナ問題が東アジアにもたらす影響を解説〈インタビュー〉

 ロシアによるウクライナ侵攻は予断の許さない状況が続いているが、この問題はこの2国間やヨーロッパだけにとどまらず、東アジアにも大きな影響をもたらす可能性があるともいわれている。本紙コラムニストで自民党の衆議院議員・長島昭久氏に今回の問題について聞いた。

ロシアによるウクライナ侵攻について語る長島昭久氏(撮影・蔦野裕)

プーチン氏の戦争を絶対に成功させてはいけない

 長島氏は安全保障の専門家として辣腕を振るい、国政進出後は外交・安全保障分野で活躍。防衛副大臣も務めている。

 まずは今回のロシアによるウクライナへの侵攻について解説していただけますか。
「今、ウクライナは地獄のような大変な状況になっています。でも、本当に口にするのもはばかられるのですが、プーチン大統領があきらめない限り、これからもっと大変なことになると危惧しています。今回の侵攻は彼が彼のために始めた“戦争”ですから、彼がやめるしかない。

 ウクライナの人たちは絶対にあきらめません。ウクライナは地政学的にいうとヨーロッパとロシアの結節点ということもあり、何世紀にもわたってナポレオンに蹂躙され、ヒトラーに蹂躙され、スターリンに蹂躙され、というようにありとあらゆる戦乱を乗り越えてきた国で、我々とはちょっと違うDNAを持っていると思うんです。今回も多勢に無勢で、ロシア軍に戦闘で勝てる見込みはないんですが“最後まで絶対あきらめない”とゼレンスキー大統領も宣言しています。

 これからロシアは市街戦を始めることになると思うんですが、これはなんとも切ない話になります。しかし、プーチン氏の戦争は絶対に成功させてはいけません。とにかく、言葉を選ばずに言うと、ロシア軍をウクライナから叩き出さないといけない。そのためには一つはウクライナの皆さんへの支援をし、そしてプーチン氏の企てが挫折するように徹底的に圧力をかけて追い込んでいかないといけないと思っています。ロシア国内で軍や新興財閥などプーチン氏の取り巻きをはじめ国民が“こんなことには付き合い切れない”と立ち上がってくるまで。今後、ルーブルが紙くずになり、物が棚から消え、天然ガスや原油が売れなくなって、経済が破滅すれば、国として立ち行かなくなります。

 ただ、それにはすごく時間がかかる。半年から1年はかかると思います。すでに名だたる企業は撤退していますから、そこまでいくとロシアには何も残らなくなります。だから、アメリカやイギリスの一部には、これでロシアを半世紀は立ち直れないようにしようという考えがあります。私たちのこれからの課題は中国。巨大な中国に政策資源を振り向けるためにはロシアにうろうろされては困るんです。なので、これが一つのきっかけになってロシアが弱体化していけばいいという考え方があるのは事実です。

 ウクライナの戦後復興は世界中が支援するでしょう。でもその前に多くのウクライナの人たち、そして子供たちの命が今のように失われていっているのは切ない限りです」

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