【サ活はデートになる】サウナ初心者女子と冬に行きたい都心サウナ・東中野「松本湯」

 寒い冬は、できれば外に行きたくない。それはデートでも同じだけど、なるべく室内で、なるべく家で……を選択していると、恋人や家族と過ごす時間もマンネリしやすくなる。

 大人は常に、どこか出かけるきっかけを探している。私にとってのサウナも「どこかへ出かけるきっかけ」。だからこそ、冬がおっくうな大人カップルに「サ活デート」を提案している。

 真夏も真冬も苦手なマンネリ気味のカップルにこそ、サ活デートを勧めたい。銭湯やサウナを巡り始めると、外に出るきっかけができる。サウナから上がった後の身体は、代謝が上がり温かい。もう、寒さに凍えながら疲れて帰るデートを無理して考える必要もないのだ。

 

冬の大人カップルに、サ活デートが向いている理由

 冬場に一日中外出するのは、夏とは違う疲れが出る。重たいコートで身体が疲れるし、寒さに身を縮めていると、なんだか肩も凝ってくる。半日くらいのデートコースがちょうどいいけど、寒い時期は人気の飲食店に並ぶのもかなりおっくうだ。

 サウナめぐりのいいところは、混まない街に行く目的ができること。休日のお出かけといえば、渋谷や新宿といったターミナル駅が中心になりやすい。話題の飲食店や商業施設はそういう街に集まりやすいが、銭湯やサウナはターミナル駅というよりも、少し外れた街にあるものだ。

 サ活デートをするようになってから、行ったことがない街、降りたことがない駅に行ってみる機会が増えた。あまり大きくない駅なら、丸一日かけて歩くというほどでもない。朝もゆっくりできるし、昼はおうちでご飯を食べてからの行動でいい。

 トートバックにサウナ用の荷物を入れて、他に持つものはお財布、スマホの充電器、折りたたみ傘くらいでいい。朝にしっかり家事をこなしたあと、午後3時に外に出る。気になるサウナがある街に着くのは夕方くらいで、街を歩きながらサウナ後に食べたい飲食店を探したり、一息つけそうなカフェを探す。18時くらいに銭湯に入れば、20時には銭湯を出られる。憂鬱な月曜日を控える大人のデートには、このくらいのタイムラップがちょうどいい。

 

初心者女子を巻き込むなら東中野『松本湯』から始めたい

 

 今回訪れたのは東中野駅だ。新宿からもほど近いが、用事がないと来ない駅でもある。実は東中野は新宿近くの住宅街としては人気もあり、意外と活気がある。商店街には雰囲気のいい居酒屋やミュージックバー、カフェなども多い。昭和レトロな情緒がある飲食店街もあり、思わずカメラを向けたくなる風情のある町並みが広がる。

 東中野駅から10分ほど歩いたところにあるのが、都内でも有名な銭湯『松本湯』だ。1936年から店を構える老舗銭湯だが、2021年に改装されたばかりで施設が新しく、銭湯やサウナに詳しくない女性も誘いやすい店舗だ。

 サ活デートが捗るかどうかは、女性の反応が肝だ。サウナはもともと男性の趣味というイメージが強いが、サウナではなく「広いお風呂」と取ると、女性も喜んでくれることが多い。その点、店内も浴室内も整然かつ広々としている松本湯はかなり勧めやすい。女湯にはサウナも2種類あり、石風呂に寝湯などワクワクする数の湯船がある松本湯。街銭湯というよりは、スーパー銭湯といってもいいくらいだ。

 サウナが2種類、というのもかなりキモ。というのも、女湯には95度基準の多湿高温サウナと、45度のスチームサウナがある。これなら、サウナにあまり行ったことがない女性も誘いやすい。スチームサウナは温まった鉱石椅子に直接座るタイプなので、岩盤浴のような感覚で、じんわりゆっくり温まれる。高温サウナの方はサウナ―もうなる熱めの設定なので、もちろんサウナが好きな女性にも好まれるはずだ。

 松本湯には立って入れる水深135cmの水風呂に加え、水温28度のぬる湯も用意されている。ぬる湯は、サウナに慣れている人は水風呂の後に浸かることが多いようだが、水風呂に慣れていない女性ならぬる湯からの挑戦でもいい。サウナも水風呂も都内では広めかつ種類も選べるため、サウナ慣れしていない女性を誘いやすい……つまり、サ活デートの第一歩として、とてもいい銭湯なのである。

 人気銭湯だけあって男湯の方はかなり混むこともあり、土日は待ち時間が発生することも。しかし女性と行く際にはこの待ち時間もちょうどいい。30分並んだとしても、女性がしっかり身支度を整える時間が取れる程度だ。休憩スペースも広めで落ち着いているので、多少時間がずれてもダラダラ待ちやすい。

 

冬の外出でも、銭湯サウナに行きたくなる理由

 

 サウナを出た後の身体は深部から温まっていて、駅までの徒歩10分がおっくうにならない。身体がラクになる実感を得る人も多く、思わず一軒寄りたくなる。

 けれど気の置ける彼女となら、次の日の作り置きまで考えながら、家でおいしいごはんを作るのもいい。なんと言っても寒い時期は、家から出てスーパーに赴くことすら面倒くさいこともある。身体の疲れが取れていて、寒さも気にならないサウナ帰りなら、少々重たい荷物を抱えてスーパーから家路に着くことも気にならない。

 大人のデートなんて結局、多くの場合食って飲んでが出来ればいい、という人も多い。ただその食事デートすらも、きっかけがないと面倒になってしまうのが今の時期だ。サウナはデートになる、そう提唱してきたが、もっと言えば、サウナは2人で外に出かけるきっかけをくれているだけなのだ。

 都心でサウナを楽しむ人は「家にサウナがあったらなあ」と考える人も多い。でもやっぱり、外にあるから楽しめることもある。サウナが家では楽しめないから、私たちはサウナのために外出するし、少旅行にも行く。

 松本湯もそうだが、今「名店」と言われるサウナたちは、サウナや水風呂の温度管理や設備にかなりこだわっている施設も多い。そのおもてなし力は、やはりプロの手で作り込まれたものであって、きっと家にサウナがあったとしても、プロの作る最高の温度設定で入る銭湯サウナとは、きっと違うものなのだ。

 コーヒーが家で飲めても、カフェをめぐる人たちがいるように。サウナも、めぐってこそ楽しめる側面もある。都心は駅も多く、その分電車で気軽に行けるサウナも多い。サウナをきっかけに、いろんな街に行こう。1人よりきっと、2人の方が楽しいはずだ。

(取材と文・ミクニシオリ)