スピンオフと思うなかれ!国民的アニメ「ワンピース」の前日譚でもある『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』をネットで観てみた!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

 こんにちは、黒田勇樹です。

 三栄町LIVE×黒田勇樹プロデュースvol.∞
「四谷三丁目diary〜オフレコなしの無修正コメンタリー2024〜」が27日から始まりました。 

 いろいろなことがあった、ここ数年について振り返ると同時に、次に向けての話もさせてもらってます。ぜひお越しください。

 では今週も始めましょう。

黒田勇樹

 そもそも「少年漫画読者」としては、本誌以外の他の媒体でストーリーが補完されることについて、非常に遺憾に思っている立場であることを表明しておきます。

 今回観たこの『MONSTERS 一百三情飛龍侍極』ですが、まだ「ワンピース」の連載が始まる前に尾田先生が短編として描かれ、そこから20年近く経ってから、なんとワンピース本編の登場人物との繋がりが“単行本”のおまけページで明かされ、今回のこの“ネット限定のアニメ”で確定的に描かれました。

 もう少し前にキャラクター自体は登場していたのですが、いわゆる手塚治虫先生の言っていた「スターシステム」。漫画のキャラを映画の俳優に見立てて、別の作品では別の役を演じさせる、みたいな表現&ファンサービスだと思っていたのですが、上記のように「作中における史実」と確定させてしまったので、さあ大変(俺が)。

 本誌ガチ勢としては、かなり葛藤があったのですが「観なきゃな…」とPCを開きました。悔しいかな、とても面白かったです。

 演出もアニメ化の良さと、漫画的な表現の良さをきちんと使い分けていて、若かりし尾田先生が好きなものを詰め込んだであろう、時代劇、西部劇、そして落語的な起承転結をみせるストーリーの説明部分と、絶妙なバランスでテンポよく鑑賞することができました。

 どんなにメディアが発達しても「1日が24時間」なことは不変。制限の多かった時代は、皆が同じ漫画を読んで、同じテレビを見て、翌日教室や職場で話すがテンプレだったのですが、こういったマルチメディアというか、一つのコンテンツが様々な媒体に展開していく流れは、“時代”と受け止めて適応していくしかないんでしょうね。

 課題…というか、自身も映像を作成する筆者の視点ですが「見開き」の表現だけは、まだまだ映像は漫画に勝てなさそうですね。
 突然、キメる場面だけ画面の大きさを2倍にできたらいいけど、予算も技術もどうすればいいか想像がつかない。
“見開きの爽快感”が、うりのひとつである尾田作品なので、ここだけ「もう1工夫ほしかったな」という感想でしたが、それを補っても余りある傑作でした。
「このタイミングでわざわざ映像化した」ということも含め、興味がある方はとっとと観ることをオススメします。

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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
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