川村元気、翻訳絵本『きみをわすれない』は「家に置いてあるだけで “ちょっとうれしい気持ち” に」

川村さんが「いいなと思った」という限りなく白に近い淡い色彩が美しい場面(『きみをわすれない ぼく モグラ キツネ 馬 そして嵐』より)

『きみをわすれない』を初めて読んだ感想と、翻訳する際に特に気を配った点は?

「チャーリーさんが前作をアニメ化した経験が大きいのか、絵本でありながら今にも動き出しそうな印象を受けました。色彩があったほうがいい場面と白黒で描いたほうがいい場面のメリハリが効いていて、僕がいいなと思ったのは限りなく白に近い淡い色使い。チャーリーさんは、何かを決めつけてしまう危険性をずっと訴えてきた人だと思うのですが “これは何色なんだろう” というような色がたくさん使われていて。

 翻訳する時に気を使ったのは、絵の前後を感じさせる文章にすることです。絵に描かれていることではなく、その前後に流れている物語を感じさせることができれば、絵と言葉が補完し合ってつながっていくのではないか。チャーリーさんがそういう文章を書いていて、すごく面白いなと感じました。英語を日本語にする時に、ひらがなとカタカナと漢字をどう使い分けるかということにも気を配りましたね。

 タイトルの解釈についても、原題の『ALWAYS REMEMBER』を直訳すると “いつも覚えてる” で、ちょっと不思議な英語なんです。もともと『ぼく モグラ キツネ 馬』の原題『The Boy, the Mole, the Fox and the Horse』も直訳すると “少年” から始まるタイトルだったんですけど、日本人が絵本として読むことを考えると “ぼく” のほうが世界観に入り込める。今回も “きみをわすれない” のほうが、原題のプライベートな味わいを日本語として表現できるかなと思いました」