新しい何かが始まる!『THE JSB WORLD』三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE

2017.03.26 Vol.687
 国民的グループとして不動のポジションを築き上げた三代目 J Soul Brothersのデビューから現在に至るまでの軌跡を一挙収録したボリュームたっぷりのベスト盤。メンバーによれば三代目の新章の始まりを告げる作品にも位置づけられるそうで、よくあるこれまでの“まとめ”的な作品かと思って聞くと火傷する。熱量たっぷり運動量たっぷりで音源も映像からも彼らの勢いを感じずにはいられず、受け取るほうもまた聞くほどに気合が入ってくる。目と耳でまずは堪能して。自然と心はズキュンとやられる。 [J-POP ALBUM]rythm zone 3月29日(水)発売 【3CD+2DVD】5918円、【3CD+2Blu-ray】6998円、【3CD】3780円(すべて税込)

治るはずのないがんは、なぜ消滅したのか—『がん消滅の罠 完全寛解の謎』

2017.03.16 Vol.686
 2017年第15回の「このミステリーがすごい!」大賞の大賞受賞作は、医療本格ミステリー。日本がんセンター呼吸器内科の医師・夏目は、余命半年の宣告をした肺腺がん患者の病巣がきれいに消えていることに衝撃を受ける。実は他にも、生命保険会社に勤務する友人から、夏目が余命宣告をしたがん患者が、リビングニーズ特約で生前給付金を受け取った後にも生存し、そればかりかがんが寛解するという事が立て続けに起こっているという事を聞く。偶然にはありえない確率で起きているがん消滅の謎を、同僚の羽鳥と共に解明すべく調査を開始。一方、セレブ御用達の病院、湾岸医療センター。ここはがんの超・早期発見、治療する病院として、お金持ちや社会的地位の高い人に人気の病院。この病院のウリは、万が一がんが再発・転移した場合も、特別な治療でがんを完全寛解させることができるということ。果たしてそれはそこでしか受けられない最新の治療なのか?!  がん消滅の謎を追究するうちに、夏目はこの湾岸医療センターにたどり着いた。その病院には、理由も告げずに日本がんセンターを去った恩師・西條が理事長として務めていることが分かり動揺する夏目。一体、そこではどのような治療が行われ、がん患者はどのような経過をたどっているのか。また、自分の病院で起きているがん消滅の謎との関係性は。専門用語が出てくる医療物は苦手な人もいると思うが、同書は非常に分かりやすく、ミステリーとして単純に楽しめる。果たしてそのトリックが可能なものなのかどうかは、判断できないものの、非常に興味深く読め、国立がん研究センターにいたという著者の知識が存分に生かされた大胆なストーリーに驚かされる。

スゴイ“パイセン”たち『Hot Thoughts』SPOON

2017.03.16 Vol.686
 米バンド、スプーンが最新作をリリース。96年にデビューしてから着実に作品を発表し結果も残してきた彼らは、まさにUSインディの雄といわれる存在だ。そんな彼らが名門マタドールからリリースする最新作は、ミステリアスだけれども、熱があって、とても意欲的だ。プロデューサーにディヴ・フリッドマンを迎え、アコースティック・ギターのサウンドをとりあえず横に置き、バンドはまた新しい扉を開けている。とはいえ、“スプーンらしさ”はしっかりと残っていてファンを小躍りさせ続けることは必至だ。独特な世界観にぐっと引き込まれる作品。

スゴイ“パイセン”たち『All Time Best Album THE FIGHTING MAN』エレファントカシマシ

2017.03.15 Vol.686
 デビュー30周年!!を迎えたロックバンド、エレファントカシマシがキャリア史上初となるオールタイムベストアルバムをリリース。代表曲のひとつである『今宵の月のように』を筆頭に、デビューシングル『悲しみの果て』、毎年毎年桜ソングと呼ばれる楽曲が生まれていたタイミングで発表し世の中をピリッとさせた『桜の花、舞い上がる道を』、コンサートの定番『ファイティングマン』も収録。30周年に合わせて収録曲は30曲。そして価格は3000円という、ちょっとオドロキのベスト盤なのだ。

スゴイ“パイセン”たち『半世紀 No.5』ユニコーン

2017.03.14 Vol.686
 メンバーも年を重ねて続々と50代に突入。ユニコーンは、メンバーの50歳を記念してライブイベント「50祭」を行ってきた。本作は、それぞれのイベントのテーマ曲として書き下ろされたオリジナル曲2曲ずつ5人分全10曲をまとめたもの。ラップから浮遊感漂うスペースオペラ的なタイトル曲、手拍子とセミの鳴き声で歌う「川西五〇数え唄」、「新・甘えん坊将軍?21st Century Schizoid Man?」、「私はオジさんになった」など、それぞれの生きざまや今の姿をイメージしつつも、今の社会を切り取ったものなんじゃないかとも思わせられる。それがユニコーンらしい。

スゴイ“パイセン”たち『MAKE IT BE R. STEVIE MOORE 』JASON FALKNER

2017.03.14 Vol.686
 米有力紙が「ローファイレジェンド」と称する米シンガーソングライターのR・スティヴィー・ムーアと、ジェリーフィッシュで活躍したジェイソン・フォークナーによるコラボレーションアルバム。70年代から自宅録音で制作して作品を世界に向けて発表し続けてきたムーアに、バンドそしてソロとしてポップ/ロックを鳴らしてきたフォークナーのタッグは、テクノロジーに代表される分かりやすい最先端を蹴散らして、音楽が本来持っている“ステキさ”を味わわせてくれる。温もりの伝わる作品。だけど、アルバムは『I H8 Ppl』のタイトルを連呼する曲から始まる。

スゴイ“パイセン”たち『まばたき』YUKI

2017.03.13 Vol.686
 ソロデビューから15周年のアニバーサリーイヤーを迎えているYUKIが放つ最新作。YUKIと豪華な作家陣たちが手を取って作り上げた楽曲が描き出す世界はキラキラとまぶしい。とはいえ“まばたき”さえ許されないような大切な瞬間や感情が切り取られていて、作品を聞くほど胸がきゅっと締め付けられる。全速力で駆け抜けていくようなアップテンポな『さよならバイスタンダー』、月まで届きそうな伸びやかな歌声が印象的な『tonight』など全13曲を収録した本作は“私たちが好きなYUKI”のすべてが余すところなく反映されたアルバムになっているといっても過言ではなさそう。歌声、メロディーラインに加えて、ギターやホーンセクションなど楽曲のアレンジ面にも心奪われるポイントが多数あって聞きいってしまう。キュートさ、セクシーさ、そしてちょっとしたダークさ。そういった要素がぎゅっとまとめられてさく裂しているアルバムの到着で、またしばらくYUKIに夢中になりそう。

ココロ揺らせ、カラダ揺らせ。『W FACE〜inside〜』 倖田來未

2017.03.02 Vol.685
 倖田來未の最新作は彼女の魅力を堪能できる作品群だ。歌謡曲のいいところを踏襲し彼女の歌声を堪能できるエモーショナルな作品『W FACE?inside?』と、アグレッシブなサウンドを詰め込んだ『W FACE?outside?』を同時にリリースすることで、両作品を聞くことで1人のアーティストの二面性を体感できるのだ。また、倖田はこれまでに数多くの作品を世に送り出している。それだけに、エモーショナルな面、ダンサブルな楽曲が好きなどファンのなかでも好みが明確に分かれている人も少なくない。好きそうなほうだけ聞いてからもう片方は考えるといった選択もできそう。 [J-POP ALBUM]rythm zone 3月8日(水)発売 それぞれ AL+DVD3500円、AL+BD4200円、AL2600円(すべて税別)

ココロ揺らせ、カラダ揺らせ。『Dirty Projectors』 Dirty Projectors

2017.03.01 Vol.685
 米ニューヨークはブルックリン出身の人気グループが待望の最新作をリリース。これまでにアルバム7作をリリースしながらも今作がセルフタイトル作というのは渾身の作品ということだろう。前作ツアーを経て、フロントマンのデイヴは失恋し心身ともに疲弊、変化せずにはいられなかった。ポール・マッカートニーや、カニエ・ウェスト、ソランジュら他アーティストとの協業もあって、グループに新しい風を吹き込んでいる。すでに高い評価を集めている先行シングル『Keep Your Name』を始め、全9曲を収録。既存の枠を超えたアルバムになっている。必聴の一枚。 [ROCK ALBUM]Domino / Hostess 3月3日(水)発売 2400円(税込)

逃げ続けることが、人生だった。『罪の声』【著者】塩田武士

2017.02.28 Vol.685
 グリコ・森永事件をフィクションで描いた『罪の声』。多くの謎を残し終焉した昭和最大の未解決事件「グリコ・森永事件」を題材に物語は展開。2人の男による、ある意味執念の捜査により明らかになった事件の真相とそれに関わった人々の苦悩が綴られた長編小説だ。 「ギンガ萬堂事件」?その第一幕は社長の誘拐から始まった。その後、商品の菓子に毒物を仕込み企業を脅迫、身代金を請求するという、前代未聞の事件が世間をにぎわせた。それから31年後、新聞社の文化部の記者・阿久津は年末企画の“昭和・平成の未解決事件”という特集で、その「ギン萬」事件を担当することに。時効が成立し、証言者たちの記憶も大分薄れている事から、事件の真相に迫る調査は難航するが、“今だから言える”という真実の証言を得て、じわじわとその真相に迫っていく。同じころ、この事件を調べ始めたもう一人の男、京都でテーラーを営む曽根俊也。企業への身代金取引の電話には子どもの声が使われていたのだが、母の部屋で偶然見つけたカセットテープに、事件に使用されたと思われる脅迫文を読む子どもの声が録音されていた。しかも、その声は紛れもなく幼い頃の自分…。果たして、俊也の死んだ父親は事件に関係していたのか? さらに、自分以外の子供の声は一体どこの子供なのか? また、阿久津は事件の真相にたどり着けるのか? 事件の裏に隠された悲しい真実。そこには事件をきっかけに人生を翻弄された普通の人々がいた!?   誰もが知る有名な事件を推理し、その事件に関わった人たちの波乱の人生を大胆予想した、エンターテインメントフィクション。

“こだわり”がハンパない作品 印象派NÉO vol.3『不思議の国の白雪姫』

2017.02.27 Vol.685

 ミュージシャン、アーティスト、俳優、演出家といったさまざまなフィールドで活躍する夏木マリが自らのクリエーションによるコンセプチュアルアートシアター『印象派』を立ち上げたのが1993年。2008年までに9作品を発表し、一度は区切りをつけたのだが、夏木自身、まだまだやりたいことは山ほどあり、ファンからの「もっと見たい」という声も多く、2009年に『印象派NEO』として復活。今回はそのvol.3で3年ぶりの新作となる。 『印象派NEO』以降の作品はおとぎ話をモチーフとしており、今回は「不思議の国のアリス」と「白雪姫」に想を得たもので、夏木曰く「私のナンセンスに、作品としてのインテリジェンスを加え、創造的にくすぐる作品に仕上げたい」とのこと。  東京公演後は4月2日に京都、そして4月25日にはパリのルーヴル美術館オーディトリアムでも公演を行う。もともと宮廷画家たちに反抗したモネやルノワールといった画家たちの精神にインスパイアされ『印象派』というタイトルになったことを思うと、パリにもぜひ足を運んでみたい作品だ。

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