【長島昭久のリアリズム】どうなるトランプ政権!? どうする日本の安全保障!

2017.03.27 Vol.687
 トランプ政権がスタートして2か月が過ぎたが、依然として政策の方向性もその決定過程も不透明なまま、いや混沌とした状況にあると言った方がより正確だろう。もちろん、次々に打ち出される大統領令が示す方向性は明瞭だ。選挙戦中に公約したことに忠実なのだ。「まさか、本気でメキシコとの国境に壁なんか造るとは!」と熱烈な支持者たちも驚いたほど忠実なのだ。それはそれで結構なことかもしれないが、大型減税と大規模インフラ投資との財政的な整合性は? 本気で保護主義を貫こうとしているのか? 今さらアメリカ製造業の復活など夢物語ではないか? 結局、物価高騰のあおりを食うのはコアの支持層ではないのか? おまけに、国防費1割増などという予算要求が連邦議会を通るはずもない…。  この間、閣僚15ポストのうち議会の承認を得て正式に就任したのは国務、国防長官はじめ6名と半数にも満たない。政権交代(とくに、民主党から共和党へ)で約4000人入れ替わるといわれるワシントンでは、その「回転ドア」の仕組み(政府からシンクタンク、そこから政府高官を経て再び民間へといった政策立案コミュニティにおける典型的なキャリア・パスを回転ドアに喩えて)が全く動かなくなっている。なぜなら、エスタブリッシュメントを辛辣に批判してきたトランプ陣営は、これまで米政府で政策立案を担ってきたプロフェッショナル達を徹底的に排除しているからだ。そのため、シンクタンクには就職口も肝心の政策情報も来なくなり、Think Tank(「知」の集団)がSink Tank(「沈む」集団)になったなどと揶揄されている。  いずれにせよ、ワシントンは深刻な機能停止に陥っているように見える。その中で、ひとり気を吐いているのが国防総省(ペンタゴン)だ。現役時代から将兵の尊敬を集めてきたジェイムズ・マティス退役海兵隊大将を長官に迎え、150万将兵プラス50万人の背広組からなる200万組織は政権が変わろうとも結束を保ち微動だにしないというわけだ。世界中からブーイングの的となった大統領の「入国禁止令」に反発して900人を超える職員が非難文書に署名し、先月末高官が大量辞任した国務省とは大違いだ。(ちなみに各国に派遣される特命全権大使も、議会承認はおろか指名も殆どされていない。)  そんな中で、北朝鮮の脅威は日に日に高まり、中国やロシアは着々とその影響圏を拡大しつつある。我が国の安全保障を全うするためには、米国の政権がどうのこうの言っている暇はなく、精神的にも態勢面でも「自立」を図る必要がある。その意味で、私は、我が国防衛の基本コンセプトである「専守防衛」を改めて見直す時期が来たと思っている。詳細は次回以降で考えてみたい。 (衆議院議員 長島昭久)

【長島昭久のリアリズム】トランプ政権の外交・安全保障政策を占う

2017.01.09 Vol.682
 昨年の暮れ、臨時国会閉会直後の12月19日、私は同志の国会議員たちとワシントンを訪れ、ドナルド・トランプ次期大統領の政権移行チーム中枢と意見交換を行ってまいりました。  私たちの最大の問題関心は、トランプ次期政権で米国の外交・安全保障政策(日米同盟を含む)がどのように変化するか、とりわけ、我が国の外交安保政策に大きな影響を及ぼす米新政権の対中、対ロ政策の変化を読み取ることでした。  今回のワシントン訪問で得た印象を一言でいえば、トランプ政権の「アメリカ・ファースト」(アメリカ第一主義)外交に対しては相当複雑な戦略的「連立方程式」(人権や民主主義という普遍的な価値と、経済的な実利や地域紛争を収束させるといった当面の目的を両天秤にかけるなど)を解く覚悟が求められるというもので、具体的な特徴は以下の3つになります。  第一に、中国の台頭という世界史的な現象をオバマ政権に比べはるかに真剣に受け止めていること。トランプ氏がISLL打倒を強調するのも、実は中東を安定化することにより限られた資源をアジア太平洋正面に集中させようとしているのです。その目標を達成するためには、ロシアともシリアの独裁者アサドとも大胆に手を組む可能性を否定しません。  第二の特徴は、オバマ政権が主導した多国間の自由貿易協定や気候変動への取り組みを根底から覆す可能性。特に、石油王のレックス・ティラーソンを国務長官に、地球温暖化規制反対の急先鋒であるスコット・プルイット氏(オクラホマ州司法長官)やリック・ペリー氏(テキサス州知事)をそれぞれ環境保護局長とエネルギー長官に指名したことから、エネルギー安全保障における「アメリカ・ファースト」は明らかです。  第三に、同盟国や友好国との関係でも惰性や妥協を許さない姿勢。日本に対しては、米軍駐留経費負担や我が国の防衛努力不足についての厳しい指摘とともに、アジア太平洋地域の平和と安定をめぐる日本が果たすべき安全保障上の役割拡大についてもかなり具体的な要望を突き付けてくるでしょう。  はっきり言えることは、いよいよ日本が真の意味で「自立」する時を迎えたということです。自国の長期的な国益と地域の平和と安定、国際秩序の在り方を日本が主体的に考え抜いて、それに基づき安全保障でも経済でも環境エネルギー分野でも、米国のみならず中国やロシアの動きや意思決定にまで影響を与えるような戦略的外交力を確立せねばなりません。  トランプ氏が描こうとしている世界は、まさしく国力と国力が犇めき合うリアリズムの世界です。しかし、そのリアリティと真剣に向き合い、国力の回復と戦略の構築に努め国民的叡智を結集できれば、わが国の国益を拡大し得る活力に満ちた世界が眼前に広がると、私は確信しています。 (衆議院議員 長島昭久)

【長島昭久のリアリズム】トランプ政権を迎え撃つ我が国の覚悟

2016.12.12 Vol.680
「不動産王」転じて「暴言王」と称されたドナルド・トランプ氏が激戦の米大統領選を制すると予測できた人は世界中でもほんの一人握りではなかったでしょうか。すでに、「保護主義が加速するのではないか」「欧州に暗い影を落としている排外的な政治勢力がますます台頭するのではないか」「第二次大戦後にアメリカを中心に構築されたリベラルな国際秩序が崩壊するのではないか」などなど、有識者を中心に世界中で懸念が広がっています。我が国でも、ヒラリー・クリントン女史の勝利を前提に組み立てられてきた安倍外交が、肝心のTPPと日露関係で大きく変調を来しています。  とりわけ、日米同盟の行方が気懸りです。2009年に起こった日本の政権交代でも日米関係が安定するのに約1年かかりましたが、今度は全く新しいタイプのアメリカ大統領の登場(8年ぶりの共和党政権という以上に、政治家でもなく軍務経験も持たない史上初の大統領の誕生)ですから、日米同盟の基本構造に大きなインパクトを与えることになるのは明らかです。現に、選挙キャンペーン中には、米軍の駐留経費負担や日本の核武装、防衛費などをめぐって歴代米政権とは全く異質の見解が示されました。  しかも、巷間伝えられるところによれば、選挙後に会談したヘンリー・キッシンジャー博士はトランプ氏に対し「中国とのグランド・バーゲン」を働きかけたといいます。その意味するところはハッキリしませんが、ニクソン政権で同盟国の頭越しに電撃的な米中和解を実現させたキッシンジャー博士の発言だけに、これまでのアジア太平洋地域における国際秩序の根幹を揺るがすような「変化」が起こる可能性を覚悟せねばならないでしょう。最近のインタビュー記事で「同盟関係を考え直す必要がある」と明言しているキッシンジャー博士だけになおさらです。  政権の中枢であり対外関係を取り仕切る国務、国防両長官がいまだに揃っていない段階でトランプ政権の外交・安全保障政策を予測することは困難です。しかし、キッシンジャー博士の言葉があろうがなかろうが、日米同盟が真に試されるのは対中戦略をめぐってであることは自明ですから、我が国のNSC、外務、防衛当局は一刻も早くトランプ次期政権のカウンターパートと的確なコミュニケーションを図る必要があるでしょう。  日本は、これを機に、独立自尊の精神に立脚して、日米同盟の基本構造、アジア太平洋地域の平和と安定と繁栄の秩序づくりにおける自国の責任と役割について、今一度ゼロベースで考え直さねばなりません。いつまでもアメリカに依存した姿勢で乗り切れるほど今後の国際環境は甘くないと腹をくくり、トランプ新政権と対等の立場で同盟戦略を再構築して行くのです。 (衆議院議員 長島昭久)

長島昭久のリアリズム 国家と安全保障を考える(その13・完結)

2016.11.14 Vol.678
 これまで12回にわたって、国家と安全保障について考えてきました。その前提として、地政学、リアリズム、国際秩序という3つの視点の重要さをまず強調しました。その上で、古代の聖徳太子以来の日本外交史を紐解きながら、大陸に対しては「和して同ぜず」の姿勢を貫きながら、「海洋国家」として自国の平和と繁栄、国際秩序の安定に努力すべきことを説いてきました。  最終回は、今日の地政戦略的な環境における我が国の安全保障戦略のポイントを述べていきます。そこでは、「三つの安定」がカギを握ります。第一に、我が国安全保障の焦点である中国との関係の安定。第二に、地域の国際秩序の安定。第三は、その土台としての日米同盟関係の安定です。  第一の中国との関係を安定化させるためには、勢力均衡(バランス・オヴ・パワー)の再構築が急務です。急速な経済発展を背景に圧倒的な軍事力と強硬な対外姿勢を隠さない中国の政治指導者に対しては、力の空白や後退の姿勢を示してはなりません。そのためには、日米を中心とする動的(ダイナミック)な抑止体制をインド・パシフィックの友好国と共に再構築して行く必要があります。ただし、強硬策に強硬策では、「安全保障のディレンマ」に陥ってしまい、地域はますます不安定化するでしょう。そこで、その愚を回避するため、第二に、中国やロシア、インドなど、私たちと必ずしも基本的な価値観や政治体制、国家目標を共有していない地域の大国も取り込む形で信頼醸成を基盤とした安全保障協力のネットワークを築く努力も並行して行う必要があるでしょう。最初は、災害救援活動など出来る協力から始めるのです。  それらの基盤となるのが、「国際公共財」としての日米同盟です。台頭著しい中国との勢力均衡点を見出し、地域秩序を安定させるためには、日米同盟の強化はもちろんのこと、その基本構造を安定化する不断の努力が求められます。じつは、日米同盟の基本構造は、極めて脆弱な均衡によって成り立っています。それは、日米安保条約の5条と6条を読めば一目瞭然です。5条で、日米が共同対処する契機は、日本の領域が侵害された場合に限られています。「欧州や北アメリカ」における加盟国への侵害を契機とするNATOや、「太平洋地域」における締約国のいずれかに対する侵害を契機とする米韓、米豪、米比同盟と比べても不公平な条文です。しかし、日米安保では、6条で日本が基地を提供する義務を負うことで、その不公平を解消する立てつけとなっているのです。これを私は、「有事のリスクは米国、平時のコストは日本」と言ってきました。この責任分担の非対称性を是正することこそ、両国民の中にある不公平感を払拭する唯一の道だと考えます。私は、政治家として、いつの日かこの不均衡条約の解消を実現したいと考えます。 (衆議院議員 長島昭久)

【長島昭久のリアリズム】民進党代表選挙に向けて

2016.09.12 Vol.674
 国政選挙4連敗(2012年衆議院、13年参議院、14年衆議院、16年参議院)の後を受けた今回の代表選挙こそ、民進党が「選挙対策の政治」から、「政権戦略を実行する政治」へと大きく舵を切る最後のチャンスだと考え、私は自ら立候補するべくこの約一か月、仲間の議員たちと推薦人集めに奔走してまいりました。  共産党票に依存する「選挙対策の政治」から脱却し、民進党が自らを磨き、輝く理念と政策の旗印を掲げ、失った国民の信頼と期待を取り戻し、再び政権を担える国民政党に生まれ変わらせるために、執行部の人心を一新し、思い切って世代交代して、自他ともに認める新たなスタートを切るべきだと訴えました。  しかし、自らの力不足はもとよりあまりにも鮮明な主張を貫いたためか、結局は党内において十分に支持を拡大することができず、出馬断念のやむなきに至りました。  そのような中で、私は、このたびの代表選挙にあたり、前原誠司衆議院議員を推薦し支援することと致しました。  政治家としての思想信条が最も近く、政権を担うはるか以前から現実的な外交・安全保障政策を共につくり、実践して来たことなどに加えて、今回は、前原代議士が唯一人、民進党の目指すべき国家像や社会像を政策理念のレベルまで高めて具体的かつ詳細に明らかにしており、そのことを以て、推薦人に名を連ねることを決断したものです。  前原代議士の考え方は、大きく3つの柱から成っています。第一に、「格差是正」から「尊厳保障」へ。お金持ちの足を引っ張って貧しい人々へバラマキを行う従来の「格差是正」に対して、「尊厳保障」の考え方は、あらゆる人々のベーシック・ニーズ(生活における基本的な必要性)を満たすために、すべての国民に応分の負担をお願いする。そのための財源や税負担の議論から逃げない、というものです。  第二の問題意識は、アベノミクスのように成長(神話)に依存しすぎると、成長の行き詰まりがそのまま生活の行き詰まりに直結してしまう。それよりも、子育てから教育、介護まで生活者に共通したニーズを満たすことによって個々人(延いては国家全体)の(潜在)成長力を引き出す政策が必要であるという考え方です。過度な「成長依存」を改め、生産年齢人口が毎年1%ずつ減少する我が国のような成熟社会にふさわしい成長を喚起・誘導する経済財政政策を明らかにしていきます。  第三は、地域包括ケアや子育てインフラの充実、ソーシャルワーカーの拡充によって、「公」「共」「私」の三位一体で人々の生活ニーズを保障できる地域の仕組みづくりに全力を挙げるということです。その他、財政規律の回復や規制改革、現実的な外交安保政策、立憲主義に立脚した憲法改正論議を積極的に行うなど「11の挑戦」を掲げて代表選挙に臨んでいます。  自公政権に代わる現実的な政権の受け皿を準備する上で、政権時代の失敗を深く反省し、選挙目当ての「野党共闘ありき」で進んできた党の方針を根本から転換して、独立自尊の精神に立脚した党の再生に全力で取り組む決意を示してくれた前原誠司さんとともに私は最後まで戦い抜くことをここに宣言いたします。(衆議院議員 長島昭久)

【長島昭久のリアリズム】参院選の総括—今こそ「万年野党」からの脱却を!

2016.08.08 Vol.672
 今夏の参院選は、自民党が27年ぶりの単独過半数を確保し、「改憲勢力」が議席数の2/3を超え、野党惨敗の結果となりました。しかし、この「改憲勢力」という言葉自体、最初から意味不明で、野党・民進党の中にも私をはじめ憲法改正が必要だと考える議員は少なくありません。単純に民進・共産・社民・生活の党以外を「改憲勢力」とひとくくりにして攻撃する手法は、有権者を惑わすものでした。  岡田代表も枝野幹事長も「6年前に獲得した改選議席を大幅に下回ったものの、3年前に比べれば倍増したので前進だ」と盛んに強弁しています。しかし、私は、民進党は、今や共産党の支援なしには自公勢力と闘えないレベルにまで衰弱してしまったのではないかと深く憂慮しています。なぜなら、得票・政策両面で、国民の抱く民進党イメージが「政権を任せられる政党」からかけ離れつつあるからです。  得票面では、北海道や東北の一人区での健闘が言われていますが、実態は、自民党がTPP推進に舵を切ったことで巻き起こった農村部の怨嗟の声をテコにして得た辛勝です。事実、これまで一貫して自民支持で来た東北5県の農業団体は、今回自主投票を決めました。一方、西日本エリアでは大分選挙区以外は、共産党の手厚い支援を受けながらことごとく惨敗しています。複数区でも、大阪や兵庫といった都市部での獲得議席はゼロでした。  一方、政策面では、報道によると、新たに有権者となった18歳、19歳の約4割が与党に投票し、民進党へは2割程度にとどまりました。「人への投資、未来への責任」を訴えた民進党が最も力を入れた政策が「こども・子育て・女性・若者」だったにもかかわらずです。消費税率引き上げを先送りし(おまけに、必要な財源を次世代にツケ回す国債に頼り)、選挙戦で「憲法改正阻止」を中心に訴えた民進党に、将来不安を抱える若い世代からの支持は集まらなかったのです。  今の民進党は、「眼前の敵である安倍政権に打撃を与える」ことに血道を上げるあまり、その先にある、国民への大事な政策メッセージ—たとえば、こども達や若者や女性の輝く未来をどのように実現していくか—を自ら放棄しているのではないか。限界に突き当たったアベノミクスに代わる経済・社会政策を国民の前に提示し、明確な方向性を示さない限り、それは政府への単なる批判や揚げ足取りに過ぎず、永遠に国民の支持も信頼も獲得することのない「万年野党への道」に他なりません。  今世紀に入って、国民が野党に期待し続けてきたことは、与党と政策で切磋琢磨し、いつでも政権を担える「政権準備政党」だったはずです。だからこそ私は、平成12年当時、野党第一党だった民主党に参画し、国政に初挑戦したのです。今あらためて「政治は絶望との闘いだ」との言葉を噛みしめ、ふたたび政権を担い得る現実的な野党勢力を結集するため、全力で立ち向かって行くことを心に誓うものです。  自由闊達に憲法や安全保障を論議し、自公政権では踏み込めない経済構造改革や子育て支援強化策、それに伴う日本的な長時間労働の抜本改革などに果敢に取り組む「政権準備政党」としての真のリーダーシップ確立に向けて、私、長島昭久はその先頭に立つ覚悟です。(衆議院議員 長島昭久)

長島昭久のリアリズム 新しい東京都知事の使命

2016.07.11 Vol.680
 東京都では、3代続けて現職知事が途中でその職を投げ出すという異常事態が起こっています。2020年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催まであと4年。招致や準備をめぐる不透明なプロセスが都民や国民の不信感を招いており、新しい都知事はそのモヤモヤ感を払拭し、誰もが心から応援できるような環境を整備することが喫緊の課題となります。さらに、30年以内に7割の確率で起こるといわれる首都直下型地震や、世界中を震撼させている国際テロやサイバー攻撃から都民の生命や安全をいかに守っていくかも重要な課題です。同時に、この20年ですでに立ち遅れてしまったグローバルな都市間競争に東京が勝ち抜いて行くため、東京の持つ魅力や潜在力にさらに磨きをかけて、投資や情報、そして創造性に富んだ人材(リチャード・フロリダ加トロント大学教授が「クリエイティヴ・クラス」と呼んだデザイナーやクリエイター、研究者、芸術家など)を世界中から惹きつける「新しい東京」を創造する先頭に立たねばなりません。  それよりも何よりも、東京が抱える最大の課題は、我が国の国力を蝕む最大の元凶というべき人口減少問題です。超高齢化の進行とともに少子化や貧困化、格差の拡大が、まぎれもなく経済成長の足を引っ張り、社会不安を増大させています。人口減少時代にも活力を維持しながら、幸せを感じられる日本社会を構築するためには、未来を担うこども達の学びや育ちの環境を劇的に改善しなければなりません。  10数年間、国会議員として働かせていただく中で、私は、地元の多摩地域はじめ東京における子育てや保育、学校教育の現場で発せられた切実な声を数多く聞きいてきました。保育園に落ちて仕事を辞めなければならない。妊娠を告げたら上司のマタハラに遭い、保育園を造ろうとすれば周囲が騒ぎ出す。貧困に苦しむひとり親家庭のこども達の学ぶ機会が奪われているという現実。せめて東京に暮らすこども達には、これまでとは違った未来、すなわち「新しい未来」がプレゼントされて欲しい。これまでの惰性や延長線上にある漠然とした「古い未来」ではなく、こども達にとって希望や可能性に満ちた「新しい未来」が。そんな思いを強く抱きます。  したがって、今回の都知事選挙の最大の争点は、東京のこども達にどのようにして「新しい未来」を準備できるか、だと思うのです。  そのためには、8000人に上る待機児童をゼロにする。年間8000件近い児童虐待をゼロにする。そして、16.3%と推計される「こどもの貧困」をゼロにする。このトリプル・ゼロを達成しなければなりません。なぜなら、これらは紛れもなく「東京プロブレム」だからです。そして、大事なことは、東京がこれら日本社会全体の直面する課題を克服するための先頭に立つということです。しかも、東京は、これらの課題を克服し得る人的資源、財政的安定性、日本の首都としての活力を潜在的に持っています。都政が的確な政策を打つことができれば、必ず克服できるのです。  できるはずのことが、何故これまでできなかったのか? それは、政策のプライオリティが低かったからです。政治の本質が数ある政策に優先順位をつけることであるならば、次の都知事の使命は、こども・子育て・教育を東京政策のプライオリティ・ナンバーワンに持ってくること。トリプル・ゼロを実現するために、政策を総動員し、持てる資源を惜しみなく投入し、「子育て世代」を全力で応援することです。  東京が変われば、絶対に日本が変わる。だから、新都知事には、東京のこども政策を劇的に転換してもらいたい。そして任期中に、東京のこども達に「新しい未来」をプレゼントする。こどもたちの親御さんやおじいちゃん、おばあちゃんには「こどもたちの笑顔」をプレゼントする。どんな家庭に生まれても、どんな環境に育っても、全てのこども達に正真正銘の「新しい未来」を届ける。これこそが、新都知事に与えられる唯一最大の使命なのです。 (衆議院議員 長島昭久)

東京都知事にふさわしいのは誰だ!? 各党ともに候補者選定は参院選後!?

2016.07.09 Vol.670
【自民が出馬要請?】増田寛也氏 元岩手県知事という実務能力を評価も…  自民党の東京都連が推薦するといわれているのが増田寛也元総務相。増田氏は1995年から岩手県知事を3期務め、その後、2007年に第1次安倍改造内閣で総務大臣に就任福田内閣でも再任され、2008年まで務めた。  元県知事ということでその実務能力を評価され、舛添要一前都知事の辞職問題が取りざたされて以来、たびたび名前が挙がっていた。  増田氏は『東京消滅−介護破綻と地方移住』という著書の中で将来の東京で予想される医療や介護施設の不足問題などを指摘するなど、都政の問題点については熟知しているもよう。  しかし増田氏は岩手県知事時代に6000億円あまりだった県の公債費を1兆2000億円にするなどしており、その実務能力にはやや疑問が残る。  また4日に秋田県の佐竹敬久知事が増田氏について「地方創生で、東京都をいかに小さくするかを主張してきた人が都知事になると矛盾する」と指摘したように、総務相時代には大都市に偏る法人関連の税収を地方に再分配する税制改正を行い、以降、東京都は毎年約1200億円〜約2000億円の減収になっている。  自民党都連は当初、人気グループ「嵐」の桜井翔の父親で前総務事務次官の桜井俊氏に出馬を打診。しかし桜井氏は「器ではない」「家族に迷惑がかかる」などと固辞。自民党は擁立を断念した。そこで浮上したのが増田氏。自民党都議団は3日、増田氏の擁立を目指すことを決め、4日には都内23区の首長でつくる特別区長会の幹部が増田氏と面会し、出馬を要請した。なお、区長会では23人中、21人が増田氏の出馬要請に賛同したが、小池氏の地元である豊島区と練馬区の区長はそのなかには入っていない。  増田氏は「相当の覚悟がいる。スカイツリーから飛び降りるくらいの感じがないと駄目だ」(1日)、「熟慮の上、決めたい」(4日)などと発言しているが、8日現在、出馬については明確にはしていない。

長島昭久のリアリズム 国家と安全保障を考える(番外編:立憲主義再考その一)

2016.05.09 Vol.666
 今年の憲法記念日を迎え、相変わらず、野党内にも、世間にも、憲法学者の間にも、集団的自衛権の限定的行使を容認した一昨年の閣議決定や、昨年9月に成立し今年3月に施行された安保関連法制に対し「戦争法だ」「憲法違反だ」「立憲主義の蹂躙だ」という声が鳴り止みません。そこで改めて、政府が閣議決定して修正した憲法解釈の憲法適合性について、私自身の考え方を整理しておきたいと思います。  まず、集団的自衛権の本質は「他衛」です。実際、過去に集団的自衛権が行使された事例を振り返っても、自国の存立が直接脅かされるというよりも、密接な関係を持つ同盟国などに向けられた武力攻撃に対しその国を守る、あるいはその国に加勢すること(すなわち、他衛)を通じて自国の安全や生存を図ろうとするケースが殆どでした。したがって、従来の政府の定義も「他衛」としての集団的自衛権であり、そのような自衛権の行使は我が国に対する直接の攻撃を排除する必要最小限を超えるものとなり憲法上認められないと結論付けたのです。そもそも政府は、憲法13条の「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については・・・国政の上で、最大の尊重を必要とする」との規定に根拠をおいて自衛権の行使を合憲と解してきましたので、現行憲法の解釈としてそのような「他衛」権を容認できるはずがありません。  ちなみに、「他衛」概念の集団的自衛権は、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」(昭和56年5月29日の政府答弁書)と定義されてきました。しかし、この定義からは、想定されている武力攻撃が我が国に対し直接向けられたものでないことは明らかであるものの、その攻撃により我が国の国民の生命、自由、幸福追求の権利がどのような影響を受けるかについては定かとなっていません。つまり、「自衛権の行使」といっても、自国に直接向けられた武力攻撃に対し反撃するしか選択肢が残されていないような差し迫ったケースというより、能動的に(自国と密接な関係にある)外国にまで出かけて行って、そこへ加えられている攻撃を実力で阻止するような態様を想定しており、受動的な自衛というより「他衛」というべき概念です。  ところが、今回、国際情勢の変化や軍事技術の進歩に鑑み「自衛」の視点(我が国に対する脅威の近接性、切迫性、および武力攻撃波及の蓋然性等)から改めて集団的自衛権をめぐる政府解釈の基本的論理を見直したのです。したがって、今回の閣議決定や安保法制を直ちに違憲、立憲主義の蹂躙などと断定するのは早計です。次回は、その根拠について明らかにしたいと思います。(衆議院議員 長島昭久)

「あとで必ずいいことがある」長島昭久さん(衆議院議員)

2016.03.27 Vol.663
ラジオ番組『JAPAN MOVE UP』毎週土曜日21時30分〜 TOKYO FMで放送中!

国家と安全保障を考える(その12)/連載コラム「長島昭久のリアリズム」

2016.03.14 Vol.662
 2009年、オバマ大統領は、就任早々「アメリカ合衆国は、太平洋国家である」と高らかに宣言しました。20世紀初頭、西部開拓をほぼ完了した米国は太平洋を超えてさらに西進を開始、ついにフィリピンを占領し大陸アジアに迫りました。以来、米国は、必然的に西太平洋においてアジアの覇権国家と衝突することになりました。1920-40年代には大日本帝国と、大戦後1990年までソヴィエト連邦と、そして21世紀には中華人民共和国と地政戦略的なせめぎ合いを演じています。そのバランス・オヴ・パワーの最前線は、今も昔も「第一列島線」(日本列島から台湾、フィリピン、ボルネオに至る)と「第二列島線」(小笠原諸島からテニアン、グアム、パプアニューギニアに至る)です。  大日本帝国の「絶対国防圏」は第二列島線に沿って設定されていましたし、朝鮮戦争の引き金を引いたといわれる「アチソン・ライン」は第一列島線に沿って画されました。そして、今、中国は、第一列島線の内側を「内海化」(つまり聖域化)しようとして南シナ海に巨大な人口島を造成し急ピッチに軍事要塞化を進め、その海軍艦艇や長距離爆撃機等の活動範囲は第二列島線まで到達する勢いを見せています。  もちろん、米国も日本も国際社会も、手を拱いてそれを傍観しているわけではありません。米国は、クリントン国務長官(当時:現在、大統領予備選に出馬)が提唱した「アジア・リバランス」(アジアにおけるパワー・バランスの再均衡を目指す)政策を鋭意実行に移しています。その軍事的な核心は、いかにして中国が築き上げている「接近拒否」能力(自国領域への相手国兵力の接近を拒否する能力:例えば、潜水艦や空母、弾道・巡航ミサイル等)を相殺するための対抗手段を確立し得るかです。米太平洋軍では、陸海空海兵隊の統合機動展開能力の開発と同盟国や友好国との連携の更新に全力を挙げています。  日本も、米国の主導するリバランス政策を補完・支援するため、集団的自衛権の限定行使を含む戦後最大の安全保障法制の改革に着手し、日米防衛協力の指針(ガイドライン)を18年ぶりにアップデートしました。同時に、経済分野では環太平洋経済連携協定(TPP)の推進に日米が中心的な役割を果たしています。さらには、南シナ海における法の支配を確立するため、日米豪が中心となりASEAN諸国を巻き込んだ国際協調の促進が図られています。これら一連の動きは、中国の目覚ましい軍事的、経済的台頭に対するパワー・バランスの確保を通じて地域秩序の安定化を図ることにその主眼を置いています。  次回はいよいよ今シリーズの最終回。今後のアジア太平洋地域の平和と安定をどう維持発展させて行くべきか、我が国の安全保障戦略の要諦について考えます。(衆議院議員 長島昭久)

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