マキタスポーツ、神出鬼没!

ラジオでも盛り上がりすぎて、多すぎる肩書きに“ラジオスター”追加も?


 テレビや新聞、雑誌、映画にラジオ。2014年、メディアに最も頻出した人物を上げるなら間違いなく上位にランクインしてくるのが、マキタスポーツ。人気ドラマや話題の映画に出演、ビジュアルバンドとしてデビューを果たし、著書『すべてのJ-POPはパクリである〜現代ポップス論考』も上梓。さらには、局をまたいでいくつもラジオ番組にレギュラー出演し、ラジオパーソナリティーの肩書きも増えた。いよいよエンターテインメントの真ん中に切り込んできたマキタスポーツに聞く。
撮影・宮上晃一
「みなさん、こんばんは。番組パーソナリティーのマキタスポーツです」。土曜の夜、ラジオからマキタスポーツの声がグルーヴ感のあるBGMとともに聞こえてくる。有楽町・ニッポン放送のスタジオから放送する『マキタスポーツ土曜もキキマスター』(土曜19時〜)。マキタスポーツは1人、マイクの前でしゃべる。

 自身がキキマスター(火曜レギュラー)として出演する『大谷ノブ彦 キキマス!』(ニッポン放送、月〜木13〜16時)のスピンオフ番組として10月にスタート。音楽を使ったネタやJ-POP研究で知られ、バンドを掛け持ちしてミュージシャンとしても活動するなど、音楽に造詣があるマキタスポーツならではの「ちょっぴり大人の音楽番組」として、“ほぼ生放送”で放送中だ。

「僕、ラジオをいっぱいやってるんですけど、生(なま)、ライブでやっているのはこの『土曜もキキマスター』だけ。生は何があるか分からないですから、その楽しさがありますね」

 ミュージシャンをゲストに招き、ディープな音楽特集もする。「ゲストコーナーは、他では聞けないようなことが聞けてるんじゃないかな」と、本人。2時間の番組のなかで20〜30分のコーナーだが、この日も「君は僕の番組を終わらせようとしているのか?」とマキタスポーツの声をワントーン上げさせるトークが飛び出した。スタジオを見つめるスタッフも大笑いしたり、ヒヤヒヤさせられたりと忙しい。

「準備して放送に臨んでいますけど、入念ではないですね。準備って、さじ加減が難しいところなんですよ。何が起きるか分からないっていう生だっていうのもあるし、準備したけどあれって思うことが起きたり。ゲストを招く場合、僕がご一緒する方すべてのすごいファンであるかっていうと、それは限られてきます。取ってつけたようなウィキペデイア情報って事もあるんだろうけど、中途半端で嘘っぽいというか、相手も見抜いちゃう。僕自身もそういう経験してますし。だから、音楽をやってる、表現する人間として、僕が聞きたいところ、思っているところを投げかける。対人間で、その場で楽しくしゃべりたい、話を聞きたいと思ってるんです。そうすると、ジャンルは違っても同じようなことを考えてるんだなっていうのがあったり、僕の問いかけやその答えじゃないところで出た言葉で新しい発見があったりするんです。いろいろラジオ番組をやってるけど、この番組は僕の聞き上手なところが聴けるんじゃないかなって思いますね」

 ラジオ局をまたいで活躍する。その一方で、俳優、ミュージシャン、芸人、コラムニストとしても着実に実績を残している。気付けば肩書きがやたら多くなって、よく分からない存在になっている。「いろいろやる人、タレントでしょって思われてますよね」と笑う。

「僕は、ハマりたかったけど、ハマれなかった。それで仕方なく、芸人として、エンターテイナーとして、やれることをやりましょうってやってきたんです。だから、芸人としてもアウトサイダーだし、ミュージシャンからしてもアウトサイダーで。なんかそうなっちゃったというか。そうならざるを得なかったというか」

 音楽を使ったエンターテインメントをやることがマキタスポーツの軸だ。特定のアーティストが楽曲を作るときに使いがちなコード進行や楽曲の展開などから導き出した作詞作曲ものまね、J-POPのヒット曲を研究して作ったヒットするべくしてヒットした楽曲『十年目のプロポーズ』、ビジュアル系バンドのエッセンスを凝縮して見せるFly or Die。さまざまなアングルや形態で見せる。
 面白いと声を出して笑わせる一方で、関心させられてしまうことも多い。ポッドキャストから始まった『東京ポッド許可局』もそのひとつで、インタレスティング(興味深い)だから面白いこともあると、お笑いから日本を代表するおかずまで内から外から真剣に語って、エンターテインメントに昇華させてきた。

 近年目覚ましい、役者としての活動もまた、その延長上にあるようだ。

「外国人の見聞録ってあるじゃないですか。日本に行ってみたら意外と清潔だったよ!みたいな。そういう感じで、最初は、映画やドラマの世界ではこんなことやってんだって潜入取材しているような感覚だったんです。そこで見たり聞いたりしたことを、自分のフィールドに持って帰ろうって」


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