地方創生 ×TEAM2020 倉敷市から日本を元気に 伊東香織さん(岡山県倉敷市長)

JAPAN MOVE UP!日本を元気に!TEAM2020
地方創生を推進し、日本を元気にするために、各市町村が行っている取り組みを紹介する不定期連載。JAPAN MOVE UPの総合プロデューサー・一木広治がさまざまなキーマンに鋭く迫る集中企画。
 伊東市長からみた倉敷市及び岡山の魅力、ポテンシャルについて教えて下さい。

「最近でいうと倉敷市は子育てがしやすいまちということで大変注目されています。と申しますのは、地方創生の大きな項目として、子育て支援、地域産業の活性化、そして地域連携があり、中でも子育て支援はとても大きな位置を占めています。私も公約のひとつに“子育てするなら倉敷で”と揚げており、市民の皆さんの声をいただき、待機児童を減らすために保育所を作ったり、放課後お子さんを預かる学童保育を広めたりといったことに取り組みました。また、妊婦健診や子ども医療費の公費負担なども進めてきて、それらいろいろな施策がうまくかみ合って効果が上がってきました。実際、私が市長になった2008年までは合計特殊出生率は大体1.4台だったのですが、先ほどのような施策を市と行政、そして市民と一緒に取り組んできて、全国平均が1.42の中、倉敷市は現在1.63です。人口48万人を超える大都市としては珍しいと思います。また、地域間連携では、倉敷市が岡山県の西半分の新見市、高梁市、総社市、井原市、浅口市、笠岡市、早島町、里庄町、矢掛町の6 市3町と連携協約を結びました。これは一般的な協定ではなく、双方の議会が議決をする非常に重いもの。それによって、一緒に子育て施策や観光施策を行い、お互いの良い所を利用して、自分のところも他にもプラスとなり、みんなで住みやすい町を作る、そんな地域連携に力を入れています。来年のG7倉敷教育大臣会合は、倉敷市を世界に発信する良い機会ですが、倉敷市を含む高梁川流域の 7市3町としても、世界にPRしていきたいと思っています。倉敷美観地区という伝統的建造物群保存地区には、もともと多くの観光客が訪れているのですが、さらに最近では電線類を地中化し、町屋・古民家の再生、活用を進めています。また、最近では水島工業地帯のコンビナートの夜景が西日本ナンバーワンになりました。鷲羽山スカイラインから見る工場夜景が西日本で一番美しい夜景スポットとして日経新聞に取り上げられましたので、そういうことも、もっと多くの方に知っていただければと思っています。また、ファッションではジーンズ。中でも倉敷市の児島エリアは日本で最初に国産ジーンズを生産した所で、今年でちょうど50年になります。それもあり、若い人に倉敷市の児島のジーンズが注目されているのもPRポイントですね」

 倉敷市における、若者による新しいムーブメントや創業、またそれに関する市政としてのサポート体制などについて教えて下さい。

「これもまた私の公約のひとつでもあるのですが“地域経済が元気で、人が集まるまち”という項目があります。そのためには創業というのが非常に重要なので、平成23年の7月から市内3つの商工会議所と2つの商工会、そして市で創業サポートセンターを立ち上げました。これは箱ものではなく、そこに行けば商工会議所や商工会の会員でなくても、相談に乗ってもらえるということ。それをさらに今年の4月にパワーアップさせ、地元金融機関にも加わってもらいました。身近な場所で創業の相談窓口ができるようにしたところ、年間約500件以上の相談があって、大体、その1割の40件ほどが実際に創業されています。今年はすでに500 件近く相談があって、もう60件以上創業されています。相談窓口のことが知られてきたというのもありますが、金融機関が一緒になり、官と民から創業力を高めるように頑張ってくれている結果だと思っています」

 来年5月26〜27日の伊勢志摩サミット開催に先立ち、5月14〜15日に教育相会合が倉敷市で開催されることが決定しました。国内外へ倉敷を発信する絶好の機会と思いますが、どのようなPR施策・おもてなしをお考えでしょうか?

「今回の教育大臣会合は21世紀における教育のイノベーションがテーマと聞いています。私は、日本の教育のすばらしさを世界の方に知ってもらいたい、そして、学校教育に加え、地域のみなさんも子どもたちを育ててくれていることを分かってもらいたいと思います。たとえば、実際に小学校、中学校の現場を訪問して、勉強の様子を見てもらう。勉強の内容だけでなく、地域の人たちも関わりながら子どもたちを育てていることが分かるような授業をお見せできればと思っています。また “英語によるG7おもてなし講座”という取り組みを行います。まずは外国の方に対応するためのホテル、レストラン、小売店などを対象とした無料講座を開催します。2020年に向けてまだまだ準備が進んでいない部分もありますので、このサミットをきっかけに急ピッチで準備を進めて行こうと思っています」

 2020年の話が出ましたが、地方都市として2020年東京オリンピック・パラリンピックをどのように生かしていきたいとお考えでしょうか?

「ホストシティタウン構想に手を上げたいと検討しています。これからの地方創生の時代では、東京、京都、大阪、広島などというゴールデンルート以外の地方都市に、いかに多くの外国の方が来てくれるかというのが重要になる。日本の魅力をより深く見てもらうために、地方の普通の日本人に接してもらいたい。最近ではわざと不便なところに行く外国の方も増えていると聞きます。まだまだ世界ではメジャーでない各地方都市で触れ合っていただくことこそ地方創生だと思います。今回の大臣会合の開催地の中では、唯一倉敷市は政令指定都市でも県庁所在地でも、特殊な特色を持つ場所ではないのに選ばれました。ですから、地方都市がサミットのような大臣会合を成し遂げていけることこそが、2020年につながっていくと思います」
【PROFILE】平成2年3月、東京大学法学部卒業、同年4月郵政省(現在の総務省)入省。平成5年6月、ハーバード大学法律大学院修士課程修了。総理府国際平和協力本部事務局参事官補佐、総務省インターネット戦略企画室長補佐などを歴任後、平成15年4月に国から倉敷市に出向になり、総務局長、収入役を務めた後、平成20年4月、当時全国で最年少の女性市長として当選。現在2期目。平成27年3月には、高梁川流域7市3町の「高梁川流域連携中枢都市圏での連携協約」を締結。現在、政府の「まち・ひと・しごと創生会議」構成員、「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」本部員