ASIAN GAMES 2018・ボランティア【プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。
撮影/文章:西村尚己(2018年9月1日 第18回アジア競技大会 ジャカルタ市 GBKバレーボール会場 )
8月18日から9月2日までの16日間、インドネシアのジャカルタ・パレンバンで開催されたアジア競技大会。
4年に1度開催されるアジア版オリンピックだ。

大会期間中に行われたのは41競技465種目。
これらを撮影するフォトグラファーは多忙を極める。

ジャカルタに滞在した私も、連日、早朝から深夜まで撮影とデータ処理に明け暮れた。
そんな過酷な環境の中で、心を癒してくれたのがボランティアたちの“おもてなし”だ。

大会運営を支えるボランティアの大半は20歳前後の若者であったが、堂々としてフレンドリーな振る舞いに感心した。

ある競技場に到着すると、少し奇妙な果物(サラク)を頬張りながら案内してくれたボランティアに出会った。
私が不思議そうに眺めていると、それを切り分けて味見させてくれたのだ。
“very good!” 私が調子良く答えると彼女は大喜びした。
それから数時間後。撮影を終え、急いで次の競技場へ向かうバスに乗ろうとしたその時、
一人のボランティアが私のもとに駆け寄ってきた。
何事かと思いきや、さっきの彼女がサラクをプレゼントしてくれたのだ。

こんなこともあった。
夜遅く撮影を終えてプレスセンターへ帰る途中、道に迷ってしまった。
重い機材を背負いながら疲弊した私の姿が同情を誘ったのであろう。近くにいた4人組のボランティアがわざわざ目的地までの夜道を一緒に歩いてくれたのだ。
さらに嬉しいことに、ボランティアの一人が高校時代に覚えたという邦楽(Kiroro「未来へ」)を片言の日本語で一生懸命歌ってくれたのだ。

私が出会ったボランティアたちに“おもてなし”という意識はなかったであろう。
あくまでも自然体。人懐っこくて、素朴な優しさと温もりを心で感じた。

Terima kasih ! (トゥリマカスィ=ありがとう)

さて東京2020オリンピック・パラリンピックまで残り2年を切った。
次はいよいよ日本の番だ。


■カメラマンプロフィル
撮影:西村尚己

1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも、どうしてもプロの世界で挑戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか
アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している

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