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“本当の自分”はどこに…? 緊迫と衝撃のミステリー『ミッキー17』『エミリア・ペレス』

2025.09.02 Vol.763

『ミッキー17』

 映画『パラサイト 半地下の家族』(2019)で第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールを受賞、第92回アカデミー賞では作品賞を含む最多4部門を受賞したポン・ジュノ監督の最新作。『THE BATMAN−ザ・バットマン−』のロバート・パティンソンを主演に迎え、人類未踏の植民地惑星を舞台に繰り広げられるSF超大作。

STORY:人生失敗だらけの“ミッキー”(ロバート・パティンソン)が手に入れたのは、何度でも生まれ変われる夢の仕事…のはずが、よく読まずにサインした契約書は、身勝手な権力者たちの過酷すぎる業務命令で次々と死んでは生き返る任務、まさに究極の“死にゲー”だった! しかしブラック企業のどん底で搾取されるミッキーの前に、ある日、手違いで自分のコピーが同時に現れたことで事態は一変。“使い捨てワーカー”ミッキーの反撃が始まる!

 

クリムトの世界に包まれる!東京で世界初開催『クリムト・アライブ 東京展』

2025.08.30 Vol.763

 19世紀末ウィーンを代表する画家グスタフ・クリムトの黄金の世界を旅する没入型展覧会「クリムト・アライブ」を東京で世界初開催。

 高さ7メートルの空間を覆うように巨大スクリーンを設置。光、色、音、香りのなかでクリムトの傑作の数々が、会場全体に映し出されていく。

 クリムト自身と恋人エミーリエ・フレーゲがモデルとされる代表作『接吻』や、旧約聖書外伝につづられる物語をモチーフとした『ユディト』、クリムトが追求し続けたテーマの代表作『死と生』など、クリムトを語るに欠かせない作品が登場する。いくつもの大画面に映し出される細部に目を凝らすもよし、映像とともに流れるクラシック音楽に身を委ねながら、会場全体に映し出されるクリムトの世界に包まれるもよし。クリムトの華やかな装飾性と官能美に没入する、体感型のアート展を楽しんで。

高須克弥氏、6年ぶり新刊で心境「“今日は死ぬのには良い日だな” って思ったらその日でいい」

2025.08.29 Vol.Web Original

“全身がん” を公表している高須クリニック院長の高須克弥氏が10月8日、約6年ぶりの著書『高須の遺言』(講談社)を発売することが分かった。

今すぐ読みたい話題の本!望月衣塑子氏、撮り下ろしグラビア付き初の自叙伝『ブレない人』

2025.08.28 Vol.763

〈黙っていてもいい局面で、どうしても黙っていられない。
 皆が沈黙してその場をやり過ごそうとしているとき、同調していられない。
 味方が誰もいなくても、一人だけ拳を突き上げてしまう。
 まわりに流されない。
 空気を読まない。
 一人でも強い者にあらがう。
 そういう者に、私はなりたい〉
(同書「はじめに」より)

 東京新聞社会部記者として事件や社会問題を取材し、数々の記者会見で登壇者に鋭い質問を浴びせ、著書『新聞記者』は同名映画の原案となる——。今、日本で最も著名なジャーナリストの一人である望月衣塑子氏が初の自叙伝を刊行した。

 自身の名前の由来や舞台俳優を夢見た少女時代、フォトジャーナリストの吉田ルイ子に憧れて報道の道へ。なぜ彼女は現場に立ち、声を上げ続けるのか、自らの思いを率直に明かす。撮り下ろしグラビアやウェディングドレス姿など秘蔵写真も収録。

 同書の出版を記念した「望月衣塑子ナイト」が、8月28日(木)19時から「LOFT9 Shibuya」(渋谷・円山町)にて開催される。出演は望月氏、田原総一朗氏(ジャーナリスト)、鈴木涼美氏(作家)、古谷経衡氏(作家・評論家)、青木理氏(ジャーナリスト)ほか。司会は中森明夫氏(作家・アイドル評論家)。

世界的大ヒットを記録した同ゲームを実写映画化『8番出口』

2025.08.28 Vol.763

 地下鉄の改札を出て白い地下通路を歩いていく。天井には【出口8】の看板。だがいつまでも出口に辿り着くことができない。何度もすれ違う同じ男に違和感を感じ、やがて自分が同じ通路を繰り返し歩いていることに気付く…。無限ループする地下通路をさ迷い歩き、わずかな“異変”を手掛かりに【8番出口】を目指すゲーム『8番出口』。インディーゲームクリエイターのKOTAKE CREATE氏がたった1人で制作し、累計180万本超の世界的大ヒットを記録した同ゲームを実写映画化。発表されるや「あのゲームをどうやって映画に?」と話題を集め、わずか30秒の特報映像と二宮和也の主演情報が解禁されると、爆発的に全世界に拡散。Xのポストが2800万インプレッション超えとなった注目作。

STORY:異変を見逃さないこと。異変を見つけたら、すぐに引き返すこと。異変が見つからなかったら、引き返さないこと。8番出口から、外に出ること。

草彅剛、最新舞台で悟りを開く! 11月に白井晃と『シッダールタ』 ヘッセの最高傑作を舞台化

2025.07.29 Vol.Web Original

 草彅剛が主演する舞台『シッダールタ』が今秋、世田谷パブリックシアターで上演される。ノーベル文学賞受賞作家であるヘルマン・ヘッセの同名の最高傑作を舞台化するもの。草彅は「迷いやプレッシャーもありますが、未だかつて観たことのない、壮大な舞台をお届けいたします!」とアピールしている。

 同作は20世紀前半の激動のヨーロッパを生きたヘッセが、2つの世界大戦に衝撃を受けて、インドを訪れたことで東洋思想と出会い、古代インドを舞台に宗教家が悟りに至るまでの姿を描いた物語。芸術監督の白井晃と劇作家の長田育恵が、原作の壮大な世界観をベースに、作家自身の思索も補助線として、現代を映す舞台へと昇華させた。作曲家・三宅純による音楽も加わって、情報の氾濫、価値観の変容、哲学の喪失によって混沌とした世界の中で、宗教とは何か、他者とは何か、そして、個のアイデンティティとは何かを、この作品を通して映し出し、平和主義を唱えたヘッセが本作で何を伝えようとしたかを考えていくという。

 主演の草彅は、実在する宗教家で仏陀(釈迦と言われる仏教の始祖ブッダ)と同じ名を持つ青年シッダールタと、「現代を生きるヘッセ」に重なるひとりの男を演じる。草彅は「未知なる壮大なテーマを持った作品で、ひとりの人間としてこの壮大なテーマに立ち向かっていくことにドキドキした気持ちです。自分自身の全力で取り組まないと薄っぺらいものになってしまうと思うので、筋肉を鍛えて(笑)頑張りたい」と、意気込む。

 また、再タッグを組む白井を「僕の可能性を広げてくれる、とても情熱的で素敵な方」とし、「今までご一緒させていただいた作品はどれも自分の人生のターニングポイントになってきたので、今回もそんな作品になると期待に胸を膨らませています」と話している。

ハイワイヤ 第二回公演「墓場までのかえりみち、ゆりかごからブランコへ。」

2025.07.20 Vol.762

 ハイワイヤは俳優の高畑裕太が2021年5月6日に旗揚げした演劇団体。現在は主宰・作・演出の高畑を中心にサポートスタッフ2名の協力の下、活動、運営、企画考案を行っている。

 2023年夏に第一回公演「トラ」を上演。その作品は高畑が中学時代に受けた「イジメ」と「幼少期の家庭環境」にまつわるエピソードを起点に物語を立ち上げて「遠い過去の記憶と現在の自分との繋がり」を想起させる事をテーマとしたものだった。

 高畑の手掛ける作品は個人が体験したとある経験をベースに「社会の片隅で過ぎていく誰かの半生」を描いていくというもの。生きている中で誰しもに生じる不条理、ストレス、孤独、愛などといった人間の普遍的な感覚を具現化する事で観ている側に強い共感性と没入感を呼び起こす。

 今回の作品は高畑本人が介護従事者として働いていた経験を元に、家族介護を通して、その当事者である主人公のみならず、その周りの人々が、それぞれの「死生観」(生き方/逝き方)が変化していく様子を群像劇ながらもドラマチックに描く作品。高齢社会だけではないさまざまな問題を抱えた現代を生きていかなければならない私たち全員に通ずるクオリティー・オブ・ライフを問う作品となっている。

シリーズ「光景-ここから先へ-」Vol.3「消えていくなら朝」

2025.07.07 Vol.762

 劇作家・演出家の蓬莱竜太が2018年に新国立劇場に書き下ろし、私戯曲的な内容としても話題を呼んだ傑作をフルオーディション企画第7弾として、蓬莱自らが演出を担い上演する。社会での最小単位である、家族が織り成すさまざまな風景から、今日の社会の姿を照らし出し、未来を見つめるシリーズ「光景-ここから先へ-」の第3弾でもある。

 物語は家族と距離を置いていた劇作家の定男が恋人を連れて帰省し、18年ぶりに全員が顔を揃えた家族の前で“次回の新作で、家族のことを書いてみようと思う”と切り出すところから始まる。表面的な会話から、だんだんと長年抱えてきた不満や本音が飛び出していくヒリヒリとした会話の応酬。「家族」だからこそ遠慮がなく、胸を抉るような言葉が飛び出していく。

 蓬莱自身を投影して描いたという、主人公の劇作家の定男(僕)は関口アナンが演じる。
 作中では宗教二世の問題にも斬りこんでおり、2018年初演時よりもさらに鮮明で切実な物語となっている。

日本人初!王谷晶『ババヤガの夜』英ダガー賞翻訳部門を受賞 世界最高峰のミステリー文学賞

2025.07.04 Vol.Web Original

 英国推理作家協会(CWA)は7月3日夜(日本時間4日朝)、世界で最も権威あるミステリー文学賞の一つであるダガー賞の翻訳部門(Dagger for Crime Fiction in Translation、サム・ベット訳) に、王谷晶の『ババヤガの夜』の英訳版(The Night of Baba Yaga)が選ばれたことを発表した。日本人として史上初、アジアの作家としても史上2人目の快挙。

『ババヤガの夜』は暴力が唯一の趣味という女性が、暴力団の組長の一人娘の護衛を任され、裏社会の闇と娘の秘密に迫っていく物語。鮮烈なバイレンス描写と共に女性同士の “名づけようのない関係” が描かれる。2020年、文芸誌「文藝」秋季号(河出書房新社)の特集「覚醒するシスターフッド」にて全文発表。同年10月に単行本化、2023年5月に文庫化された。

 米エドガー賞と並び、世界的に権威のあるミステリー文学賞として知られるダガー賞。これまでに東野圭吾『新参者』、横山秀夫『64』、伊坂幸太郎『マリアビートル』などが最終候補作に選ばれながら、いずれも受賞には至っていなかった。今年は柚木麻子の『BUTTER』(ポリー・バートン訳)と2作が同時にノミネートされ、注目を集めていた。

 王谷は授賞式で「今はとにかく驚いています。完全に混乱しています。『モンティ・パイソン』のスケッチに出ている気分です」と切り出し「リアルの暴力があふれている世界では、フィクションの暴力は生きていけません。これからも首なし死体やパーティーでの毒殺を楽しむために、今回いただいた栄誉を、世界の平和のために少しでも役立てたいと思います」などとスピーチした。

空前の編み物ブーム!話題の手編みハンカチ「ニッタオル」を不器用記者が編んでみた

2025.06.28 Vol.Web Original

 今年に入ってから若者の間で編み物が大流行している。きっかけは韓国のアイドルグループのメンバーだといい、冬のイメージがある編み物だが、今や暑くなっても毛糸の売れ行きは衰えないとか。そんなある日、手芸店以外の場所で編み物キットを見つけた記者が、初めての編み物に挑戦しつつブームの背景を探った。

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映画【明日何を観る?】『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』

2025.06.26 Vol.762

 20年前、日本で初めて教師による児童への虐めが認定された体罰事件。福田ますみのルポルタージュ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』を、鬼才・三池崇史監督が、綾野剛、柴咲コウ、亀梨和也、木村文乃、光石研、北村一輝、小林薫ら豪華キャストをそろえ映画化。

「死に方教えてやろうか」と教え子を恫喝した男は史上最悪の「殺人教師」なのか、それとも…。日常の延長線にある極限状況の中、見る者もまた“真実”に翻弄される必見の一本。

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