江戸と東京。それぞれを見つめた表現者たち「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」

2019.02.19 Vol.715
“Great Wave”と称されて世界的に名高い「神奈川沖浪裏」を含む「冨嶽三十六景」シリーズや、19世紀のヨーロッパにおけるジャポニスムの流行の契機となった『北斎漫画』といった、幅広く知られている代表的作品にとどまらず、国内外の名品や近年発見された作品、初公開作品も併せて紹介。約70年に及ぶ北斎の画業をたどる北斎展。  本展では、その絵師人生を作風の変遷と主に用いた画号によって6期に分けて紹介。勝川派の絵師として活動した「春朗」期(20〜35歳ごろ)、勝川派を離れて肉筆画や狂歌絵本の挿絵といった新たな分野に意欲的に取り組んだ「宗理」期(36〜46歳ごろ)、読本の挿絵に傾注した「葛飾北斎」期(46〜50歳ごろ)、多彩な絵手本を手掛けた「戴斗」期(51〜60歳ごろ)、錦絵の揃物を多く制作した「為一」期(61〜75歳ごろ)、自由な発想と表現による肉筆画に専念した「画狂老人卍」期(75〜90歳ごろ)と、その壮大な画業を通覧していく。  20歳のデビュー作から90歳の絶筆まで、本展に出品される作品数は約480件(会期中展示替えあり)。初公開作品も多数出品されている。アメリカ・シンシナティ美術館が所蔵する、北斎が88歳の時に描いた《向日葵図》(肉筆画)や、近年発見された「かな手本忠臣蔵」(小判、10枚)など、長らく秘蔵されていたため、衝撃的なほどに美しい色彩をとどめている《津和野藩伝来摺物》というレアな作品も必見。

スタジオジブリ約3年ぶりの東京展覧会「鈴木敏夫とジブリ展」

2019.02.06 Vol.714
 国内外問わず多くのファンを持ち愛され続けるジブリ作品を手掛けてきた、 スタジオジブリの敏腕プロデューサー鈴木敏夫氏の“言葉”に注目した展覧会「鈴木敏夫とジブリ展」が開催される。

1年の終わりと始まりに「自分」と「世界」を見つめてみる「EPSON teamLab Borderles」

2018.12.29 Vol.713

MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderles

 2018年6月21日にお台場にオープンし、わずか3カ月弱で来場者数50万人を突破した「MORI Building DIGITAL ART MUSEUM: EPSON teamLab Borderless(森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス)」。11月28日に行われた来場者100万人突破記念セレモニーではオーストラリアから来たNikky Parkerさん一家が記念すべき100万人目として何度も無料で入館できる「Borderlessパスポート(非売品)」を贈呈された。  日本全国からはもちろん海外からの観光客にも人気のスポットとなった同館。館内の作品はどれも、それぞれの世界を表現しているようでいて、実は作品それぞれの間には境界がない。ある時は作品が“部屋から出て”移動したり、他の作品とコミュニケーションして影響を受け合ったり。境界のないアートに全身を没入させて1万㎡の、複雑で立体的で変化し続ける世界に触れてみて。

新たな発見があるかも 長島 大三朗写真展「solitarational singularity ―孤独における特異点―」

2018.12.09 Vol.web Original

 最近注目されている写真家・長島 大三朗。彼の考案した造語「solitarational singularity」(孤独における特異点)をテーマとし、彼が自分自身との対話の中で発見した“特異点”を写し撮った40点に触れる写真展。  機材にトイカメラを採用するなども興味深い。長島 大三朗の日常を切り取る視点の見事さを改めて感じることができる写真展だ。
長島 大三朗 1986 新潟生まれ。 2012年、第60回ニッコール・フォトコンテストにおいて、 "GENZABURO my grandfather"が、モノクローム部門準特選に選出。 2013年 写真展 「重力との邂逅」中目黒 CAMARADA 2015年 写真展 「GENZABURO my grandfather」 ROONEE 247photography

1年の終わりと始まりに「自分」と「世界」を見つめてみる 川島秀明展「Youth」

2018.12.08 Vol.web Original
 2001年アーティストとしての制作活動を開始して以来、世代を代表するアーティストとして注目を集め、国内外でも評価されている川島秀明の個展。  活動初期より、一貫して自意識と向き合い、人の顔と、そこに現れる繊細で複雑な感情を描き続けてきた川島。その作品は常に静謐さをたたえているが、見る者は画面に広がる色のグラデーションの巧緻さや、描かれている人物の目や表情に強く引き込まれ、自分とのつながりを覚えてしまう。  今回、発表された新作では初めて画面に2人、3人と複数の人物が描かれ、さらに背景までも描かれている。これまで同様、自分を投影した人物であることに変わりはない、という川島。しかし画面に複数の人物が登場することで「従来のように鏡に映った虚像そのものを描くという感じから、その虚像を見ている自分を描くという、幾らか客観的な視点が混じっている気がします」と語っている。  本展のタイトル「Youth」に関して、川島は、自分が描いているものは、その当時(10代のころ)へのわだかまりではないかと思い当たった、と語る。若いころの自意識とナルシシズムをどこかに置いてきた大人たちも心を揺さぶられずにはいられない。

感じてみよう“美術のちから”『カタストロフと美術のちから展』

2018.11.22 Vol.712
 2003年の開館記念展では「幸福」をテーマにした「ハピネス」展を、10周年を迎えた2013年には「愛」に注目した「LOVE展」を開催してきた森美術館が、15周年を迎える記念展にとりあげたテーマは「カタストロフ(大惨事)」。負を正に転ずる力学としての「美術のちから」について注目し、その可能性を問いかける。  本展ではベテラン作家から気鋭の若手まで、国内外を問わず40組の作品を展示。近年日本でも注目を集める、作品や活動を通して社会に変革をもたらすことを目指す「ソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)」として、オノ・ヨーコや宮島達男による鑑賞者参加型の作品や、社会的メッセージが込められた美術作品の良作を紹介。また、東日本大震災を契機に制作されたChim↑Pom、トーマス・デマンド、池田学など約10作家の作品を紹介し、風化しつつある震災の記憶をよみがえらせ、議論の再燃を目指す。  マスメディアとは別の観点、手法によってカタストロフと向き合うことで、新たな可能性を切り開いてきた“美術のちから”に今一度、着目したい。

感じてみよう“美術のちから”「ブルーノ・ムナーリ — 役に立たない機械をつくった男」

2018.11.17 Vol.712
 20世紀イタリアを代表する美術家ブルーノ・ムナーリ(1907-1998)の作品約300点がそろう、日本初の本格的な回顧展。絵画、彫刻、グラフィック・デザイン、インダストリアル・デザイン、絵本、著述、さらには子どものための造形教育にも力を注いだ、多岐にわたる彼の活動を9つのパートに分けて紹介。初期の絵画や代表的オブジェ《役に立たない機会》を展示するプロローグに始まり、うち7つのパートは、ムナーリが1985年に東京のこどもの城で行った、子供のためのワークショップにヒントを得て、テーマを設定している。エピローグでは、ムナーリが開発した遊具を実際に手に取って遊ぶことができるコーナーとなっている。  色彩と触覚だけで物語を想像する、文字の無い絵本《読めない本の試作》や、縞のある石に自転車を描き、白い縞を道に見立てた《みたての石》など、彼のアートはごくシンプルな発想から生まれ、大人も子供も誰もが親しみながら、想像力をかき立てられるものとなっている。  また会期中は国際的に活躍するイタリア人振付家・演出家のルカ・ヴェジェッティがムナーリに捧げるパフォーマンスなどイベントも実施。

アートで気持ちもカラフルに!「写真展「木村伊兵衛 パリ残像」」

2018.10.25 Vol.711
 戦前そして戦後の日本を代表する写真家・木村伊兵衛。彼が1950年代のパリで写し撮った、人と街の表情を通して、当時のパリの魅力に触れる写真展。  戦後間もない日本では海外渡航がきわめて難しく、芸術の都パリは遠い遙かな夢の世界だった。1954年、初めて念願のヨーロッパ取材が叶った木村伊兵衛は、ライカのカメラと開発されたばかりの国産カラーフィルムを手に渡仏。そこで写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンやロベール・ドアノーと出会い、生きたパリの街並みと下町の庶民のドラマを目の当たりにした。本展では「パリの街角」「素顔のパリっ子」「安らぐパリ」「華やぐパリ」の4つの構成でカラー作品131点を展示する。  念願のパリに渡った木村の視点はもちろん、木村作品のなかでは珍しいカラー表現の知られざる魅力、そして現代では失われた50年代半ばのパリの街角の光景も、興味深い。  モノクロのリアリズムで昭和の日本をとらえてきた木村伊兵衛。そのイメージを新たにしつつ、パリを舞台に日常を切り取る視点の見事さを改めて感じることができる。

アートで気持ちもカラフルに!「しあわせのスカーフ展 at 奥神楽坂」

2018.10.13 Vol.711

「神楽坂まち飛びフェスタ2018(10月13日〜11月3日)」の参加イベントとして行われるKen’S GALLERYのオープニング企画展。現代アート・彫刻・絵本・イラスト・写真・グラフィック・タイポグラフィーなど、 全国で活躍するいろいろなジャンルの作家たちが、1メートル×1メートル角のスカーフをキャンバスに見立て、思い思いのメッセージを最新のインクジェット・テキスタイルプリントのスタイルで表現。作家たちそれぞれの個性にあふれた“しあわせのハンカチ”ならぬ“しあわせのスカーフ”を展示する。出展作家は伊野孝行(イラスト)、小川航司(グラフィック・イラスト)、田代卓(グラフィック・イラスト)、田村映二(立体アート・イラスト)、U.G.サトー(グラフィック・イラスト)ら。  他にも「神楽坂まち飛びフェスタ2018」では伝統芸能をはじめ、ダンス、音楽、アート展示、体験・催事など約70のイベントが神楽坂各所で随時開催。最終日となるフェスタのハイライト「坂にお絵描き」では、神楽坂通りの坂上から坂下まで全長700メートルにロール紙を敷き、道行く人々が自由に“お絵描き”を楽しむことができる。

おすすめ美術展「ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵 」

2018.06.14 Vol.707
「だまし絵(トロンプ・ルイユ)」で知られる20世紀を代表する奇想の版画家、マウリッツ・コルネリス・エッシャ−(1898-1972)の生誕120年を記念し、その魅力に迫る展覧会。世界最大級のエッシャーコレクションを誇るイスラエル博物館から選りすぐりの約150点が日本初公開される。  オランダで生まれたエッシャーは当初、建築を学んでいたが、版画家のメスキータと出会い版画制作に夢中となった。オランダ国外を旅しながら多くの作品を残している。  コンピュータのない時代に「版画」で作られた緻密かつ独創的で“ミラクル”な作品は、アートの分野はもちろん数学者や建築家といった幅広いクリエイターに刺激を与えてきた。本展では「科学」「聖書」「風景」「人物」「広告」「技法」「反射」「錯視」の8つの観点からエッシャーの作品に迫る。  建築不可能な構造物を描いた『滝』『相対性』などエッシャーといえば思い浮かぶ有名な作品はもちろん、エッシャーの代表的な構図の原点ともいえる『メタモルフォーゼ』シリーズも展示。なかでもエッシャー自身による貴重な初版プリントの大作『メタモルフォーゼⅡ』は見逃せない目玉作品。  奇想版画家のミラクルな世界を楽しんで。
生誕120年 イスラエル博物館所蔵  ミラクル エッシャー展 奇想版画家の謎を解く8つの鍵 【期間・会場】上野の森美術館 開催中〜7月29日(日) 【時間】10〜17時(金曜は20時まで)入館は閉館の30分前まで 【休】会期中無休 【料金】一般1600円、大高生1200円、中小生600円 【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル 8〜22時) 【交通】JR上野駅 公園口より徒歩3分 【URL】http://www.escher.jp/

色とりどりに、自分らしく『理由なき反抗 I LOVE ART 14』

2018.05.01 Vol.705
 情報は操作され、得体の知れない都合や無理ある理由付けが、社会に不自由をもたらしている今。不条理で不安な状況と対峙し、不自由と闘うためにどれほどの“理由”が必要だろうか…?  本展では「第1章 レジスタンス[抵抗]」「第2章 デザイン革命」「第3章 理由なき反抗」の3つの構成で、自由を目指し闘い続けるアートにフィーチャー。ワタリウム美術館のコレクションを中心に、15人の作家、約100点の作品を展示する。  本展のタイトルにもなっている、アンディ・ウォーホルが同名映画の日本版広告ポスターをモチーフに制作した作品『理由なき反抗(ジェームズ・ディーン)』や、天安門事件を機に中国からパリへ移住した作家ホワン・ヨンピンが1992年に開催した同館企画展「レジスタンス」展のために制作した、本物の鋼の包丁を使った作品『避難はしご』、他にもキース・へリングやロバート・メイプルソープらの作品を展示する。  国や時代、ジャンルはさまざまだが、共通しているのは、何者にも屈しない自由への心。慣習や体制、権力、そのほかのさまざまな困難な状況に抗い、闘ってきたアーティストたちが生み出した作品から得られるものは大きいはず。
理由なき反抗 I LOVE ART 14 【会場・会期】ワタリウム美術館 開催中〜7月29日(日) 【時間】11〜19時(水曜は21時まで延長) 【休】月(4/30、7/16は開館)【料金】大人1000円、学生(25歳以下)800円、小中学生500円、70歳以上700円【問い合わせ】03-3402-3001 【交通】地下鉄 銀座線 外苑前駅より徒歩8分 【URL】http://www.watarium.co.jp/

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