Krush.43  34歳・寺崎がHIROYAに壮絶KO勝ち

 立ち技格闘技の「Krush.43」(13日、東京・後楽園ホール)で三大タイトルマッチが開催された。
 トリプルメーンイベントで行われたタイトル戦。トリを飾ったのは「Krush -65kg級タイトルマッチ」。王者HIROYAに寺崎直樹が挑戦した。HIROYAは王座決定トーナメントを全試合KOで勝ち抜きベルトを巻いた、今最も勢いに乗っている選手だ。対する寺崎は梶原龍児の引退カウントダウンでの熱闘と前戦のKO勝利の内容を評価されての挑戦。34歳、キック人生10年にしてやってきた最大のチャンスだった。
 とはいっても寺崎は一時不調を極め、「WILDRUSH リーグ2012」では最下位。戦績と現在の勢いを考えるとHIROYAの優位は動かないと思われた。
 しかし試合は1R、KOで決着。勝者は寺崎だった。1R開始早々、HIROYAのハイスピードのローキックを食らった寺崎は「長期戦になったらやられる」と方向転換。一気に距離を詰め打ち合いに持ち込む。コーナーに詰め放った右ストレートでHIROYAをぐらつかせると、足を使って距離を取ろうとするHIROYAを追いかけ右ストレートでダウンを奪う。立ち上がったHIROYAに、寺崎は追撃のパンチの連打。HIROYAは寺崎に寄りかかるように2度目のダウン。王者の意地でなんとか立ち上がったが、足元がふらつき、レフェリーが試合を止めた。
「チャンピオンになれなかったらやめようと思っていた」という寺崎の執念が若さと勢いを上回った。

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 トリプルメーンの第2試合では「ISKA 世界バンタム級タイトルマッチ」が行われ、王者の寺戸伸近がヴェダット・ウルックを1R1分8秒、右ストレート一発で沈め、3度目の防衛を果たした。過去2度の防衛戦では先にダウンを奪われながら逆転しての勝利だったが、今回は圧倒的な実力を見せつけての勝利だった。

 トリプルメーンの第1試合で行われた「Krush 女子タイトルマッチ」では初代女子王者・朱里に谷山佳菜子が挑戦。プロレスとキックボクシングの二足のわらじを履きながら、無敗の王者としてKrushの女子を牽引する朱里。谷山も極真の女子で2009、2010年と二連覇。キックの国内のベルトも獲得した実力者とあって一進一退の攻防が続く。序盤から朱里の圧力を前蹴りをはじめとした多彩な蹴りで交わしていた谷山だったが、スタミナに勝る朱里が後半優位に試合を進め、3-0の判定で初防衛を果たした。

 秋に開催される「K-1」への出場を目指しすっきりとしたKO勝利を狙っていた朱里は試合後「倒すことができませんでした」とまずは反省の弁。そして「男子より刺激的な試合ができるように頑張ります。そして、K-1に出たいー!」とアピールした。果たして朱里の思いは届くのか…。