福田麻由子が映画『ラ』の壮絶な撮影現場を振り返る「1年間役が抜けなかった」

撮影・辰根東醐
 ライブシーンも迫力があり、よくある青春映画かと思いきや、恋愛、友情と裏切り、親子の絆、そして社会問題などなど要素が盛りだくさん。

「この映画の魅力について説明しようとすると、すごく難しいんです。いろいろな面があるし、撮り方も意外性がある。例えば、もっとドロっと撮ろうと思ったら撮れるんですけど、それを監督がポップな仕上がりにしてたり、主演の桜田君が持っている華がそのまま輝いている部分と、いい意味で裏切られる部分があったりとか…。だからポップな青春映画を見に来て、それも見る事ができるけど、同時に “こんな世界には来たつもりはなかった”というところまでお客さんを連れて行けるのではと思っています。ベテランの役者さんも出ていらっしゃいますが、桜田君と笠松君、そして私も20代ですし、スタッフさんも若い方が多く、このチームだからできた映画だと思います。若いエネルギーの爆発が詰まっていて、いわゆるきれいにまとまった映画ではないかもしれないけど、それぞれの持ち場で力を発揮して生まれた作品じゃないかなと。あまり映画を見られない方にも、面白いと思っていただけるのではないでしょうか。この物語の中心には慎平がいて、黒やんとの世界、ゆかりとの世界、そして家族との世界のそれぞれに関わっている。その真ん中にいる慎平は同じ人間なのに、それぞれの世界にいる時によって顔つきも違うし、別人格のよう。人ってこうやっていろいろな人と触れ合って、いろいろな世界を持って、そこから自分の顔を見つけ、ちょっとずつ自分というものが出来上がっていくんだろうなということを感じられる映画です。慎平が人との関わりの中で、どう変わっていくか。そんなところにも注目していただければと思います」


 素の桜田はどんな人?

「本当に真面目な方で、誰に対してもまったく裏表がなく、常に嘘がない人だという印象です。私が役にどっぷりつかって、変な話、周りの人に笑われてもいい、嫌われてもいいという覚悟を持って演じていたんですが、桜田君は私がどんなに必死で、ある意味、そんな細かい事どうでもいいじゃんっていう事を言ってもは絶対笑わなかった。それを最初のリハーサルで感じて、桜田君の存在が自分の中ですごく励みになりました。本気でぶつかってやる!と思えたのは彼の力がすごく大きかったですね」