【インタビュー】『全裸監督』で体当たり演技!“黒木香”役に挑んだ注目女優・森田望智を直撃

撮影・上岸卓史 ヘアメイク・尾曲いずみ スタイリスト・山口美帆
 そんな不安や戸惑いといったリアルな感情も、監督は大切にしてくれたと振り返る。

「鶯谷を歩いてみてくださいと言われて、昔からある風俗街のエリアを歩いてみたこともありました。そういうことに触れる機会がこれまでまったく無くてすごくドキドキしたんですが、武監督からは、恵美が初めてアダルトビデオの世界に触れたときの感覚も同じだから、そのリアルな気持ちもずっと覚えておいてください、と言われました。なので、ちょっと怖いと思ったり、別世界のように感じたり、未知の世界を知った高揚感だったり、自分が感じた気持ちをすべて持ったまま、現場に入りました」

 それでもやはり“体当たりシーン”に挑むためには並々ならぬ勇気が必要だった。

「ずっと、あと3週間、2週間…って日々、数えていました(笑)。でも、武監督とそのシーンのリハーサルをしたときに、吹っ切れた瞬間があったんです。最初、私が恥ずかしくてなかなかうまく演技ができなかったとき、武監督がお手本で、自らアクション指導の男優さんとからんで動き方をしてみせてくれたんです。監督自ら“こうやるんだよ”って動いてくださっているのを見て、「私はなんでこんなに恥ずかしがっていたんだろう」と自然とそう思えました。実はストリップを見に行ったときも、最初は、こんなきれいな方がなぜストリップを、と思ったんですけど、彼女たちは当たり前の仕事として、私たちが自分の仕事に対するのと変わらない思いで臨まれているんですよね。それに気づいた瞬間、なんて自分の価値観は狭かったんだろう、と思いました。その2つの気づきで、そこから一気に開けて、AV撮影のシーンでの緊張もなくなっていきました」