【インタビュー】市原隼人「目の前にいるお客様に最高の楽しさを直接届けたい」



――本作で演出を担当された佐藤祐市監督とは、市原さんが2004年に主演を務めた『WATER BOYS2』以来、約16年振りのタッグとなりますね。

撮影当時、僕は16~17歳くらいで、この業界の右も左も分からないような時でした。佐藤監督といるとあの頃の記憶がすごく蘇るんですよ。『WATER BOYS2』の撮影は合宿から始まるのですが、電波も届かない場所で毎朝160本くらい泳いでからひらすらシンクロの練習の日々。毎日カレーを3杯お代わりしても足りないくらいでしたから(笑)。そして、撮影もクランクアップに近づくと寂しくて涙が止まらなくなるっていう。

――久しぶりの共演で佐藤監督のほうから何か言葉はかけられましたか?

「大人になったな、おまえ」と言われました。この時の僕の心情を例えるなら、親戚の叔父さんに久々に再会した感覚に近いと思います(笑)。でも佐藤監督は間違いなく僕の青春を作ってくれた方なので、舞台上では少しでも成長した姿を見せたいですね。

――先程、「演劇が日常の中でもっと当たり前のカルチャーになってほしい」とおっしゃっていましたが、それは今の状況下だからこそ感じていることなのでしょうか?

たしかにそれはあると思います。でも僕は以前からそう思っていたし、エンターテイメントの種類もどんどん増えていく中で、今は家庭内でも楽しめるものもたくさん増えてきていますが、それでも舞台や映画館といった特別な場所で体感できるエンターテイメントの素晴らしさを忘れてほしくないし、今後どんなことが起こっても人を楽しませる役者という職業だけはなくならないでほしい。そのためには役者という仕事をやり続けるしかないんです。お客さんが来てくださっても、いらっしゃらなくてもエンターテイメントとして成立させなきゃいけない。僕は今回の舞台で改めて初心に戻って、目の前にいるお客様に最高の楽しさを直接届けたいと思います。


(取材と文・近藤加奈子)

『脳内ポイズンベリー』
【日程】3月29日(日)まで
【会場】新国立劇場 中劇場
【料金】前売・当日S席9500円、A席8000円(全席指定・税込)
【問い合わせ】サンライズプロモーション東京 0570-00-3337(平日12~18時)
[原作]水城せとな(『脳内ポイズンベリー』集英社クイーンズコミックス刊)[脚本]新井友香・今奈良孝行[演出]佐藤祐市(共同テレビジョン)[出演]市原隼人、蓮佛美沙子、早霧せいな、グァンス(SUPERNOVA)、本髙克樹(7 MEN 侍/ ジャニーズ Jr.)、斉藤優里、白石隼也、渡辺碧斗、河西智美
【URL】https://www.nounai-poison-berry.jp/

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