新型コロナは私たちと「住まい」への価値観をどう変えたのか『SUUMO』編集長に聞く

単身者の住み替えトレンドは「人気駅の隣駅」⁉



では、テレワークによるコロナ鬱化も心配されていた、単身の人々はどうだろうか。

「単身者に関しては、あまり大きな引越しはしていない人が多いと見ています。しかし、家の中で一人過ごす時間が長くなり、狭い家からは脱出したいと考える人が増えているようです。

結局、今東京にいる人たちは、引っ越しをしたとしても東京都内からは出ていかないということもあり、コロナになっても東京都内の家賃相場には変化がないというのが現状です。なので、家賃は同じままに部屋の環境をよくするために、交通の便の良さを諦めて、急行停車駅から一つ隣の各駅停車駅に移る、という人はいるでしょう。

これはアフターコロナでも続いていくトレンドなのではないか、と僕たちは考えています。SUUMOで展開しているリリースの中に『住民に愛されている街ランキング』というものがあるのですが、これを見ると自由が丘や横浜などの『住みたい街ランキング』では常連だった街よりも、奥沢、緑が丘や馬車道と言った、人気街の隣駅が住民に愛されているようですよね。


「住みたい街ランキング」「住民に愛されている街ランキング」(リクルート住まいカンパニー)
住みたい街ランキングに上がってくるようなブランド力の高い駅は、おしゃれな店がいち早くできますから、外から遊びに来る人も多くて、やっぱりガヤガヤするし街全体の治安は悪くなってしまいがち。隣駅なら人気のスポットにも徒歩圏内だし、その駅自体には住んでいる人だけのローカルコミュニティも形成されている。一人で家にこもるテレワークがしんどいという単身者には絶対におすすめです」

人が集まる人気の駅はおしゃれで楽しいかもしれないが、そこに住んでいる人とは出会いづらい。それが人気駅の隣駅となれば、そこには住んでいる人しか来ないわけで、近所の飲食店や居酒屋に通えば、その街のコミュニティに参加することができるというわけだ。職場の人と会えない今、ご近所での人付き合いはコロナ鬱に対する大きな抑止力になることが考えられる。

「単身の人で賃貸の住み替えとなれば、資産価値も関係ありませんから。これを機にいろんな街に住み替えてみるのもいいのではないでしょうか。効率的なテレワークで時間がありすぎてしんどいというなら、いい暇つぶしにもなりますよ」