池袋の街が不思議な世界に”!? 映画『君は彼方』で初共演【松本穂香・瀬戸利樹 インタビュー】

「努力したからって必ず報われるわけじゃない…」高校2年生の澪(みお)は何事に対しても本気で努力することが苦手な女の子。親友の円佳(まどか)から、幼なじみの新(あらた)が気になると告白され、友人関係が崩れるのを恐れ、自分の気持ちをあきらめてしまう。ところがあるとき、澪は交通事故に遭い、目覚めるとそこは不思議な世界の“池袋”だった…!
松本穂香(撮影・蔦野裕)

初対面の印象は「イケイケ系」と「クール」!?


 この秋、注目のアニメーション映画『君は彼方』で、気になる2人が初共演! 主人公・澪役には、ドラマ『この世界の片隅に』や映画『みをつくし料理帖』の実力派女優・松本穂香。澪を見守る幼なじみ新役には、映画『シグナル100』や現在放送中のドラマ『マリーミー!』などで人気急上昇中の瀬戸利樹。

「瀬戸さんは見た目がキリっとされているので、最初はイケイケ系なのかなと思っていたんですけど、お話してみたら少し天然なところがあったり、真っ直ぐで一生懸命さがあるというか。その一生懸命なところが今回のお芝居にも出ていて、すごく気持ちが伝わってきました」と松本が言えば、瀬戸も「僕は最初、松本さんってクールな方かなという印象があったんですけど、実際に一緒にお芝居させていただくと、すごくさっぱりした気持ちのよい方だなと思いました。かと思うと関西ご出身らしくお笑いのセンスもあって、すごく面白いことをおっしゃったり。でもなかなか本質をつかませてくれない、不思議な方です(笑)」と互いの印象を語り合う。

 アニメーション映画で声優に挑むのは、松本は『きみと、波にのれたら』に続いて2度目、瀬戸は本作が初。

松本穂香(以下:松本)「私は2度目だったんですが、お話を頂いたときはとてもうれしかったです。瀬名快伸監督が、私の声がどう澪にふさわしいのかとか、この作品をどうしたいのか、とても熱をもってお話してくださって、私もぜひ参加させていただきたいと思いました。実際、すごく楽しかったです」

瀬戸利樹(以下:瀬戸)「僕は本作が声優初挑戦なのですが、まさかこんなに早く声優に挑戦させてもらえるとは思っていなかったので本当にうれしかったです。自分の中では、30歳手前くらいまでに声優のお仕事を頂けたらいいななんて、漠然と思っていたんです。声優初挑戦ということもあり、今回は収録の前に瀬名監督が個人レッスンをしてくださり、新役に挑ませていただきました」

松本「瀬戸さんが演じる新が、すごく素敵でしたね。とくにクライマックスのシーンは、声からあふれる切実さとか、瀬戸さんだからできたシーンなんだなと見ていて思いました。瀬名監督が、新役は瀬戸さんがいいとおっしゃる理由が、詰まってる気がしました」

瀬戸「そう言っていただけるとありがたいです。松本さんの澪も本当に素敵でした。松本さんの声が本当に心地よくて。感情が高ぶるシーンなども、澪の危機感がひしひしと伝わってきて引き込まれました」

 松本が演じる主人公・澪は、努力する前にあきらめてしまうところがある女の子。しかし、不思議な世界をめぐるうち、自分のなかの“好き”に気づき、しだいに変わっていく。

松本「私も学生時代は、けっこう澪に近いところがありました。演劇部に入る前は、何事も続かなくて、バイトなどもすぐにイヤになってしまったり(笑)。そのたびに、自分ってダメな人間だなと思っていました。でもそれは、自分がこれと思うものに出会う前の途中段階なんだと今は思えます。澪は、変わったというより、もともと自分の中にあったものに気づいて成長することができたんだと思います。澪が感じていた迷いやあきらめといった気持ちは、大抵の人が抱いたことがあると思うし、自分ってダメだなと思っている人でも、この作品を見て何か前向きなものを感じてもらえたらいいなと思います」

瀬戸「僕も学生のころから、あまり新しいことに挑戦するほうではなかったし、どちらかというと目を背けてきたので(笑)、そういう部分は僕も澪に共感できます。ただ、澪との違いは、僕の場合はそのまま変わろうとしなかったという点ですね(笑)。この映画を、当時の自分に見せたいなと思いました」

松本「でも今回、声優に初挑戦して、何かしら自信になったんじゃないですか?」

瀬戸「そうですね。確かに、また絶対に声優にチャレンジしたいと思いました。本作をやる前は、自分がそんなふうに思えるなんて考えてもいなかったので、少し自信につながったのかもしれません」

 いつしか澪は強い心で、なにがあってもあきらめず、自分の世界に帰ろうとする。

松本「私も、学生時代に演劇部に入って懸命に頑張ったことが今でも大切な経験になっています。演劇部の大会などもあったので、それに向けてすごく頑張っていましたね。あんなに何かに打ち込んだことがそれまでなかったので、学生時代にそういう経験をすることができて本当に良かったと思います」

瀬戸「僕は、中学時代に野球部の部長を務めていたことがあるんです。部長になるために先輩に対して意欲を見せたり、もちろん野球の技術も磨いたり、一生懸命でした。もともと、人の上に立ちたいタイプではなかったんですけど、その時はチームのためにみんなを引っ張っていきたいという思いで、そのために努力していました。そのときのリーダーシップは、今はどこに行ったか分からないんですけど(笑)。でもその経験があったからこそ、今この仕事でも、座長や監督などの大変さというか真ん中に立つ人の気持ちが少しは分かるので、自分が少しでもチームの力になれるようにという思いで、どの現場にも参加しています」

 そんな2人を支えるチームには、豪華なベテラン俳優陣&声優陣が集結。澪のガイド・ギーモン役に大谷育江と山寺宏一。澪たちの前に立ちはだかる殯(もがり)役に竹中直人、幼い澪が慕っていた森おばあちゃん役に夏木マリ。占い師・織夏役に土屋アンナ。澪を助ける不思議な少女・菊ちゃん役に早見沙織。

松本「本当に豪華な顔ぶれの方々が声を演じられていて、どのキャラクターも本当に印象的なんですけど、私は大谷さんと山寺さんが演じたギーモンがかわいいので、とくに好きです(笑)」

瀬戸「ギーモン、メッチャかわいいですよね(笑)。僕はあと、土屋アンナさんが演じた織夏も好きです。土屋さんと一緒に収録させていただいて、本当に素晴らしくて印象に残っています」
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