【インタビュー】千代田区長選に出馬表明の樋口高顕都議が語るコロナ禍での千代田区の問題

(撮影・蔦野裕)

政治家としての信条は「現場百遍」


 樋口議員は築地市場の移転から始まる問題について、先頭に立って取り組んできました。活動を通して得たものは? 

「都政で一番最初に取り組みました。築地には何十回も足を運び、ご商売をされている皆さんの不安や期待、たくさんお叱りもいただきましたが、目を見ながら伺ってきたことで、顔の見える人間関係が築けたと思っています。そこで得た現場の声や意見を基に、都庁の役人とも議論を重ね、都議会で質疑してきました。またさまざまな専門家と意見交換し、産地から卸売市場、そして量販、飲食へと、国が動かす食品流通改革についても見識ができました。これらの現場感や、国や都の指向、メディア報道など、一連の動きを最初に経験できたことは大きかったですね。今では、築地の場外や豊洲の仲卸の皆さんから“ぜひ頑張ってほしい”と熱い応援をいただくような関係です」

 今後の築地再開発はどうなるでしょう?

「築地の再開発については都議会でも質疑をしてきましたけれども、仲卸の目利きなど食文化に加えて、築地・豊洲間の連携、業務用物流機能の維持という観点が極めて重要です。再開発の機会には入れるべきだということを何度も言ってきました。小池都知事はこのことがよくお分かりと思いますので、小池都政の下、都民ファーストの議員がいる限り、そうした方向性は安心して委ねられると思います」

 都民ファーストの会の特別顧問を務める小池百合子知事からはなにか言葉をかけられましたか?

「先ほども申し上げましたが、私は、区政の将来を憂える多くの方々から叱咤激励をいただき出馬を決意したのですが、その決意と覚悟を胸に小池知事とお話をいたしまして“しっかり頑張ってこい”と後押ししていただきました。“人生はたった一度であり、挑戦しなければ未来は拓けない。応援する”と言っていただきました」

 政治家としての信条はどういったものになりますか?

「都議会議員として3年半、全力でさまざまな課題に取り組んでまいりまして、今、政治家として確信していることがあります。それは、当たり前のことなんですが、『現場に足を運び、現場の人たちのお話を伺い、現場の息吹を肌で感じながら、政治家として何をすべきか考える』ということです。それは、区政の刷新にも繋がることだと考えています。『現場百遍』ですね」

 区長という職になるとそう簡単に現場に足を運ぶのは難しくなりそう?

「それは区長に選んでいただいても変わらないです。千代田区には『ちよくる』というシェアサイクルがありますが、こういった手段も大いに活用して、第一線の現場に足を運ばないとダメだと考えています。先ほどもお話しました築地では、産地から夜中の2~3時に荷が到着します。それが仕分けされ、卸に運ばれ、仲卸に行って競りが始まる。そして仲卸から飲食店や小売り、量販まで運ばれます。私は、午前2時から屋上からじっと荷の動きを眺め、荷が市場から出て行く朝の9時頃までいたのですが、自分の目で見ることで、築地の状況をリアルに自分の中に取り込むことができました。それは、区長という立場でも同じだと思います。今、千代田区はかなり疲弊していて、街を歩きますと空き店舗が多いです。街を自分の肌で感じることで、地に足の着いた政策が実現できると考えています。『現場百遍』はぜひ続けていきたいと思っています」