「TRF」SAMが盟友と小児がん支援に挑むわけ「その先に子どもたちの笑顔がある」

 2月15日は小児がんへの意識向上と、小児がんの子どもたちやその家族への支援を広げる「国際小児がんデー」。この日に合わせ、12組のアーティストが出演するチャリティーライブ『LIVE EMPOWER CHILDREN 2022 supported by 第一生命保険』がオンライン配信される。出演アーティストである「TRF」のSAMさんと、イベントをプロデュースする一般社団法人Empower Children代表理事の保屋松靖人さんが小児がんの支援にかける思いとは。

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写真上:『LIVE EMPOWER CHILDREN 2022』について語る保屋松靖人さん(左)と「TRF」のSAMさん/写真下:長年「TRF」のマネジャーを務めていた保屋松さん。SAMさんは「何かあったらすぐ電話します」と全幅の信頼を寄せる(撮影:蔦野裕)

まさか自分の子どもががんになるなんて…頭が真っ白に

 一般社団法人Empower Childrenの代表理事を務め、2020年からチャリティーライブ『LIVE EMPOWER CHILDREN』をプロデュースする保屋松さん。

保屋松靖人(以下、保屋松)「一般社団法人Empower Childrenは2018年に立ち上げた団体で、小児がんに苦しむ子どもたちとそのご家族にエンターテインメントを通じて力づける活動と、それらを通して小児がんの社会的支援を広げていく広報活動を行っています」

 活動のきっかけとなったのは、保屋松さんの長男に「小児がん」が発覚したことだった。

保屋松「長男は当時、小学校6年生だったのですが“おしっこが出ない”という自覚症状がありました。当初は私も“膀胱炎か尿道炎かな”と考えていたんですけど、病院で精密検査をしたところ膀胱にテニスボール大の腫瘍ができていて、それが尿道を圧迫しておしっこが出せない状態だったんです。肺への遠隔転移もあって、ステージ4ですぐに治療が必要ということでした。

 まさか、自分の子どもががんになるなんて、当時は想像もしていなくて頭が真っ白になりました。小児がんは抗がん剤治療(化学療法)と放射線治療の有効性が高く、5年生存率は大人と比べると高いとは言われたのですが、そこからは日々が闘いで、ありとあらゆることに手を尽くしました」

 それまで、長年「TRF」のマネジャーを務めていた保屋松さん。SAMさんは当時、保屋松さんが苦しむ姿を間近で見ていたのだという。

保屋松「メンバーに言うか言うまいか迷ったのですが、自分が何かにすがりたいという気持ちもあって、SAMさんはじめメンバーの皆さんには相談せざるを得ませんでした。すぐに“一緒に闘うから、絶対に治るから頑張ろう”と言ってくれて、このひと言だけで僕自身も救われました。

 担当マネジャーとして、TRFのライブを見た方から“生きる勇気をもらいました”“頑張ろうと思いました”というお手紙をいただく機会もたくさんあって、“アーティストに生きる力をもらって、頑張ろうと思ってくれる人がこんなにいるんだ”という実感がありました。エンターテインメントの存在価値や意義を間近に感じた経験は『LIVE EMPOWER CHILDREN』にも生かされていると思います」

SAM「僕らは彼のことをホヤマと呼んでいるのですが、ホヤマは僕らに事実を打ち明けてくれて、お子さんも小さい頃から知っていたので、我が子のことのように衝撃を受けました。何としても助かってもらいたいという気持ちで、何か役に立ちそうな情報を聞いたら伝えるようにしたり……。たまたま治療がいい方向に進んでいきましたが、それまでずっと闘っていたわけで、現場でも生きた心地がしなかったと思うんです。

 ホヤマは息子さんの小児がんをきっかけに、エイベックス・ヘルスケアエンパワー合同会社を作って、医療とエンターテインメントをつなげることを核に活動を始めました。僕らとしてはホヤマの会社も、このイベントも、力になれることは何でもしていこうと思って立ち上げた時からずっと協力しています」

 チャリティーライブ『LIVE EMPOWER CHILDREN』は、今年で3回目の開催となる。

保屋松「今回はTRFをはじめ、総勢12組のアーティストの皆さんにご出演いただいて、小児がんのお子さんやそのご家族に生きる力を届けていきたいと思っています。このイベントに関しては、なるべく会える方には一人ひとり直接お会いして、自分自身でも出演をお願いするようにしています。皆さんそれぞれ、思いを持って出演いただいているのがすごくありがたいです。

 2020年は会場にお客さんを入れていたのですが、長引くコロナ下で小児がんのお子さんが病院から外出できず、ご家族との面会もできない状況が続いています。実際に入院している子どもたちにどうやって届ければいいのか、また、感染予防という観点からも昨年は無観客で、無料で視聴できるオンライン配信を行いました。今年も無料のオンライン配信でライブを開催します。

 回を重ねるごとに徐々に賛同者が増え、支援の輪も広がっています。たとえば昨年は坂本龍一さんが作曲、つんく♂さんが作詞を担当し、総勢21組のアーティストが参加してテーマソング『My Hero~奇跡の唄~』を制作しました。今年は宮本亞門さんや板野友美さん、TRFのSAMさん、DJ KOOさんなど各界の著名人の方にご参加いただき、チャリティーオークション『パワー・オブ・エンパワーメント』を予定しています」

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