令和4年壬寅。年男、国政への決意新たに(その一)【長島昭久のリアリズム】

 

 年初から猛威を振るうオミクロン株により全国で感染者が拡大しました。2月初旬になってようやく、専門家の間でもピークアウトとの観測が広がってきましたが、まだまだ最前線の病院や保健所機能が切迫する油断できない情勢が続いています。また、外にあっては、ウクライナをめぐる混沌、北朝鮮の度重なるミサイル発射など、世界情勢の混迷は深まるばかりです。

 そのような中で、衆議院における令和4年度予算案の審議は順調に進み、論戦の舞台は参議院に移りました。一日も早く可決成立させ、コロナ禍で苦しむ飲食や旅行業界、さらには子育て世帯に対する必要な支援を的確に届けられるよう全力を挙げてまいります。

 今年は、7月に参院選という政治決戦を控えておりますが、国家の基本政策においてもこれまで積み残されてきた重要な課題を解決すべき大事な年でもあります。私は、少なくとも以下の4つのテーマに全身全霊で取り組んでまいります。

①包括的な経済安全保障法制
②こども家庭庁の創設と児童福祉法の改正
③国家安全保障戦略の改定
④憲法改正と皇室典範の改正

 まず、今国会で成立させねばならない二つの重要法案について、私の考え方を述べたいと思います。第一に、「経済安全保障推進法案」です。大きく4つの経済社会的分野から我が国の安全保障を揺るがす深刻な懸念を払拭しようとするものです。すなわち、(1)サプライチェーンの強靭化、(2)基幹インフラ防護、(3)先端技術の官民協力、(4)特許の非公開です。

(1)サプライチェーンでは、とくにコロナ禍対策で露呈した半導体や医薬品などの経済活動や国民生活に不可欠な戦略物資について、輸入や販売、調達、保管状況などを国が厳重に管理する方針です。(2)基幹インフラの防護は、主として外国勢力によるサイバー攻撃等を念頭に、電気、ガス、水道など14分野の防護体制を立て直します。(3)先端技術をめぐっては、官民協議会を立ち上げて、官民が緊密に連携して研究開発を促進できる環境を醸成しつつ、民間人にも国際標準の罰則付き守秘義務を課して機微技術情報を守り抜く体制を構築します。その上で、(4)特許の一部を非公開にすることにより、安全保障上極めて機微な発明等を保護していきます。

 これまでのような、技術流出や情報漏洩、サイバー攻撃に無防備だった我が国の姿勢を大きく転換する重大な法整備ですので、野党や経済界の一部から出ている「骨抜き論」に屈することなく、心して国会審議に臨んでまいります。

 第二は、私がライフワークで取り組んできた子ども達の未来保障の根幹に関わる児童福祉法の改正です。そして、もう一つのライフワークである外交・安全保障分野においては、まさしく10年に一度の大きな改革の年を迎えました。すなわち、年末までに国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画の「戦略3文書」同時改定を行わねばなりません。さらに、今年は、国政の根本法である憲法の改正と、日本国(が日本国であるため)の根本法である皇室典範の改正について、真剣に議論を深めるべき重要な年と考えております。衆議院の特別委員長を拝命した北朝鮮による拉致問題の解決に向けた努力とともに真剣に取り組んで参ります。

 以上3つのテーマについては、稿を改めて「令和4年壬寅。年男、国政への決意新たに(その二)」で論じたいと思います。

【長島昭久プロフィール】
自由民主党 衆議院議員7期・東京18区(武蔵野市・府中市・小金井市)。
1962年生まれ。慶應義塾大学で修士号(憲法学)、米ジョンズ・ホプキンス大学SAISで修士号(国際関係論)取得。2003年に衆院選初当選。これまで防衛大臣政務官、総理大臣補佐官、防衛副大臣を歴任。2019年6月に自由民主党に入党。
日本スポーツ協会理事、日本スケート連盟会長。