乃木坂46岩本蓮加の初々しい演技が光る、名優宝田明氏の遺作『世の中にたえて桜のなかりせば』を観てきた!【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

こんにちは、黒田勇樹です。

4月になって新年度ってやつが始まって、いろいろ生活に変化があった人も多いなか、そういった変化とは無縁な生活を送っております。いや、毎年なんですが。

まあ、しばらく慣れない生活が続くと思いますが、そんな時の気分転換に、映画とか演劇とか「黒田勇樹のオルタナティブTV」なんかをどうぞ。

では今週も始めましょう。

黒田勇樹

 テーマとなる詩の朗読から始まり、続いて物語の中心となる“終活”についての案内。
 前半5分くらいでしょうか?ほぼヒロイン1人のモノローグと説明台詞で始まるこの映画。
「声は細いし、感情表現もつたない。やべぇ映画に入ってしまったかもしれない」なんて思いながら観始めたんですが…全然、そんなことありませんでした!

 この『世の中に~』は、不登校の女子高生が終活アドバイザーのバイトを通して様々な人生に触れながら、自分を見つめなおしていくといったストーリー。
 主演は映画初出演の乃木坂46岩本蓮加さん。終活、つまり遺品の整理だったり遺書の書き方だったり思い出の残し方だったり“死ぬ準備”の手伝いをするという“重め”の題材で、役柄も女子高生、演じる本人も17才の女の子に“どこまで向かい合えるのか”。

 終盤、オープニングの朗読や説明台詞が、もう一度出てくるんですが、これが「まったく同じ言葉なのに、声に乗った意思の強さや感情がまったく違って聞こえる」。
 この“音の変化”によって主人公の成長がはっきり表現されるという丁寧な描き方は「本人が撮影中に成長した副産物」なのか「計算づくの演出」なのかはわかりませんが、どちらにしてもとても素敵な瞬間に出会わせてくれました。

 説教臭い語り口になりがちなストーリーですがギリギリのところで、とてもスマートでオシャレに進行していく心地よさがある作品なんですが、それもそのはず。
 筆者の中の「カッコいい大人の象徴」みたいな存在。惜しくも先月亡くなられた宝田明さんがもう一人の主演にしてエグゼクティブプロデューサー。
 全体のテイストにもご本人の演技にもナイスガイな部分がちりばめられていて、偶然にもご本人の“終活”になったこの作品を見事に彩られていました。

 こういう穏やかで丁寧な映画で号泣できると、本当に爽やかな気分を味わえるので、是非皆様劇場へ足をお運び下さい。

©2021『世の中にたえて桜のなかりせば』製作委員会
『世の中にたえて桜のなかりせば』
監督:三宅伸行 出演:岩本蓮加(乃木坂46) 、土居志央梨、郭智博、名村辰、柊瑠美、伊東由美子、徳井優、吉行和子、宝田明ほか
配給:東映ビデオ
©2021『世の中にたえて桜のなかりせば』製作委員会
https://www.toei-video.co.jp/sakuramovie2022/
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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23
SHOWROOM:【黒田勇樹】オルタナティブTV
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