安田成美「ライト建築の中でどんなストーリーになるのか私も楽しみ」朗読劇「星の王子さま」

10代の頃からの愛読書『星の王子さま』を自ら構成。好きなキャラクターは「やっぱりキツネかな」

 稽古中に印象に残ったエピソードや、台本を朗読して得た気づきを聞いてみると──

「海太郎さんと2人だけの舞台なのですが、ここでしゃべり出そうかなとか、ここにこんな音楽を入れてみようかなという波長が合っているなと感じます。ほぼ1回目の稽古で “うん、そうだよね” とお互い納得できるところまで持っていけて、言葉を交わすことなくOKになった感じがとても印象的でした。恥ずかしいけど一番びっくりしたのは、老眼で字が見えないっていう(笑)。えーっ、こういうことが起こるんだと思って、字をめちゃくちゃ大きく書きました。それが気づきですね(笑)」

 物語の中で特に印象に残っているフレーズと、好きなキャラクターも聞いてみた。

「ちょうどこれからの時代に合っているなと思うのが〈大切なことは目に見えない〉というフレーズ。人が言ったことや数字ではなく、自分がどれだけ感じてどう思うかということは、目に見えないものや人の呼吸を感じるのと同じようにとても大事にしています。好きなキャラクターはやっぱりキツネかな。王子さまとお別れする時に、悲しさだけに引っ張られることなく、〈金色の麦を見ると素晴らしいものに見えるよ〉と表現するのがとてもポジティブですよね。そんなふうに人を好きになって、自分の世界をよりよい方向に広げられる気持ちの持ち方が素敵だなと思います」

 今回の会場はフランク・ロイド・ライトの設計で知られる重要文化財、自由学園明日館。

「撮影でも一度使わせていただいたことがあるのですが、現場に行ってみるとすごく神聖な空気を感じます。前回の公演では元修道院だった場所を使わせていただいたんですけど、神聖さというのはこのストーリーにとても大事な要素だなと思って、ライト建築ということはもとよりその神聖さが決め手になりました。会場が少し広くなることもあって、ライト建築の中でどんなストーリーになるのかは私も楽しみです」