住んでいることが誇りになる街へ──「ジャイアンツタウンスタジアム」が変える地域のかたち

SDGs HEADLINE〈シリーズ:未来トーク〉

 東京都民の多くは、都心で働き、遊び、食べる。だが生活の拠点となる家は、新宿や渋谷などのターミナル駅から電車を乗り継いだ先にあることが多い。東京のベッドタウンと呼ばれるこれらのエリアは、緑豊かで子育て環境も整い、住み心地は悪くない。ただ、地元での週末の過ごし方となると、正直なところ選択肢が限られていた。

 その空気が、じわじわと変わりつつある。

 昨年3月、稲城市に「ジャイアンツタウンスタジアム」が開業した。読売ジャイアンツのファーム(二軍)本拠地として生まれたこの施設は、単なるプロ野球の練習場ではない。テーマパーク、これから完成する水族館、そして地域の人々の日常──それらすべてを巻き込みながら、西東京に新たな “街の磁場” を作ろうとしている。

上段:東京・稲城市の読売巨人軍の新ファーム球場「ジャイアンツタウンスタジアム」(写真:読売巨人軍提供)/下段:スタジアム建設の経緯と意義について語る読売巨人軍の山本広海氏(撮影:青木純)

全国区の巨人軍が、ローカルに向き合う理由

 新宿から車で約30分。よみうりランドの丘を登り切った先に、打ちっ放しのコンクリートが映える洗練されたスタジアムが姿を現す。心地良い風が吹き抜け、遠くには住宅街と、その先に霞むビル群が見える。ここが二軍の球場とは、なかなか信じ難い。

 プロジェクトの発端は、従来の二軍の本拠地である読売ジャイアンツ球場の老朽化だった。三軍制を導入していることで練習スペースの確保も急務になっていた。「建設地を探している中で、読売新聞社にゆかりのある場所に活用できる土地が見つかった、というのがその流れです」と語るのは、読売巨人軍でホームタウン推進部を率いる総務本部長の山本広海氏だ。

「ジャイアンツは地域を問わず多くのファンを持つ全国区の球団です。その一方で地域密着という点では、Jリーグのクラブなどに比べて取り組みの余地があったのは正直なところです」

 山本氏はそう認めたうえで、だからこそ今回の施設が持つ意義は大きいと続ける。かつての二軍球場は、選手のための鍛錬の場であり、観客は一部のコアなファンに限られた。それが今は野球人気の裾野が広がり、週末にはチケットが売り切れる “誰もが来たい場所” に変わりつつある。NPB全体でもファーム球場のマネタイズが課題となる中、地域活性化の流れとプロジェクトの方向性がちょうど重なった。

よみうりランドの丘を登り切った先に洗練されたスタジアムが姿を現す(写真:読売巨人軍提供)
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