“こだわり”がハンパない作品 印象派NÉO vol.3『不思議の国の白雪姫』

2017.02.27 Vol.685

 ミュージシャン、アーティスト、俳優、演出家といったさまざまなフィールドで活躍する夏木マリが自らのクリエーションによるコンセプチュアルアートシアター『印象派』を立ち上げたのが1993年。2008年までに9作品を発表し、一度は区切りをつけたのだが、夏木自身、まだまだやりたいことは山ほどあり、ファンからの「もっと見たい」という声も多く、2009年に『印象派NEO』として復活。今回はそのvol.3で3年ぶりの新作となる。 『印象派NEO』以降の作品はおとぎ話をモチーフとしており、今回は「不思議の国のアリス」と「白雪姫」に想を得たもので、夏木曰く「私のナンセンスに、作品としてのインテリジェンスを加え、創造的にくすぐる作品に仕上げたい」とのこと。  東京公演後は4月2日に京都、そして4月25日にはパリのルーヴル美術館オーディトリアムでも公演を行う。もともと宮廷画家たちに反抗したモネやルノワールといった画家たちの精神にインスパイアされ『印象派』というタイトルになったことを思うと、パリにもぜひ足を運んでみたい作品だ。

ココロ揺らせ、カラダ揺らせ。『Drunk』 THUNDERCAT

2017.02.27 Vol.685
 米出身のベーシストで音楽プロデューサー、自身がアーティストとしても積極的に活動するサンダーキャットの最新作。近年ブラックミュージックが盛り上がりを見せるなかで、ケンドリック・ラマーやカマシ・ワシントンといった顔になってきたアーティストとの仕事で成功を収めるなど、今や現在の音楽シーンにおいて欠かせない存在だ。本作は彼のジャンルを軽々と横断する音楽性、ポップさとそうじゃない要素とのバランスによって、一曲のつもりがもう一曲と聞き続けてしまう作品だ。ジャケットインパクトに負けず、ポチるなりレジに向かうなりすべき。 [DANCE ALBUM]Brainfeeder/Beat Records 発売中 2200円(税込)

ココロ揺らせ、カラダ揺らせ。『TROPICAL LOVE』 電気グルーヴ

2017.02.27 Vol.685
 石野卓球とピエール瀧からなる電気グルーヴが約4年ぶりに放つオリジナルアルバム。集大成、最高傑作と両人が口を揃える本作。カッコいいし心地いいサウンドに、ファンタジックというか不思議な言葉を乗せていく電気らしさに、リゾートのリラックス感、言い換えれば、いい感じのダラっとした感が加わってなんか楽しい。収録曲はタイトル曲の『トロピカル・ラヴ』を筆頭に、『ユーホリック』、『人間大統領』『Fallin' Down』、などの全10曲。夏木マリ、KenKen(RIZE、Dragon Ash、LIFE IS GROOVE)、トミタ栞など豪華なゲスト陣も参加している。 [J-POP ALBUM]キューンミュージック 3月1日(水)発売 初回限定盤(CD+DVD)3600円 通常盤2913円(共に税別)

ヒーローとヒロイン『Prisoner』Ryan Adams

2017.02.16 Vol.684
 米シンガーソングライター、ライアン・アダムスの最新作。エモーショナルな歌声で世界中からリスペクトを集めてきた彼。最新作も決して期待を裏切らない。本人曰く「自分の中にあるいろんな欲望を反映した」という本作。タイトルは自らが自分自身の欲望の囚人になることがどんなことなのかということを意味しているという。ソリッドにささやくように、スタジアムを震わせるほどの壮大なサウンドに載せた歌声で、欲望、そして自分にとって本当に大切なものを歌う。より磨きがかかったヴォーカルがリアルな感情を伝える。12月の来日公演は大成功のうちに幕を下ろした。すでに次の来日が待たれている。

ヒーローとヒロイン『私』大塚 愛

2017.02.14 Vol.684
 話題のドラマ『嫌われる勇気』の主題歌。シンガーソングライターの大塚愛の最新シングルで、過去や未来、他人の評価にとらわれずに「私をもっと生きよう」というテーマで制作されたという。カップリング曲「サクラハラハラ」「女子シェルター」も合わせ、デジタルなアプローチをしたシングルで、どの曲も前向きでポジティブ、真っ直ぐに前を向いて進んでいく姿が浮かぶリリックがのせられている印象。アップテンポ、しっとりとしたミドル、聞きごたえのあるシングルだ。CD+DVD、CDシングルのほかにも、CDとBOOK、CD+GOODSの4フォーマットでリリースされる。

ヒーローとヒロイン『foot of the Tower』藤井尚之

2017.02.14 Vol.684
 サックスを吹きまくる??。藤井尚之の最新作はテナーサックス奏者として本人が全編吹いたインストゥルメンタルアルバム。前作『My Life』がシンガーとしての作品だっただけに彼のサックス演奏を堪能できる内容だ。クラシック、ジャズ、映画音楽、ビートルズと、藤井が影響を受けたものはもちろん、世界中で愛され続ける楽曲の数々をジャンルレスにプレー。甘くて苦いラブソング、セクシーでロックなナンバーなどオリジナル曲も多数収録している。ムードたっぷりでセクシーさも漂わせ、シルキーかつスモーキーな作品。温かいドリンクでも飲みながら堪能したい。大人のリスナー、そして早く大人になりたい人たちへおすすめの作品。

みっともなくてもいいじゃないか。『私はいったい、何と闘っているのか』

2017.02.13 Vol.684
 つぶやきシローによる、妄想ワールドさく裂の、切なくおかしい家族小説。伊澤春男、45歳。地域密着型スーパーマーケット、スーパーうめや大原店のフロア主任。店長の右腕として、店を自分がまわしているという自負はある。  そんなある日、店長が急死。密かに次の店長は自分だと思っていた。しかし、他の人に「店長になったんだって?」と言われると「僕なんて店長の器じゃないですから。それに店長になるのが目的で働いてないし」と返してしまう。その裏で、静かにさりげなく店の改革に臨み、その改革が功を奏し、革新的なアイデアを持つ店長としてテレビの取材に。次の日から帽子をかぶらないと町を歩けなくなり、通称“店長ギャル”が店に押し寄せ、店頭には店長関連グッズが…。と、現実と妄想の境が分からなくなる世界へと突入していく。家に遊びに来た長女の彼氏にいいところを見せるための“ヘネシー作戦”、そして息子を野球とサッカーの二刀流に育てるための秘策などしょうもない事、荒唐無稽な事を大真面目に実行する春男。  だが、妄想ワールドでは完璧な作戦のはずが、ちっとも思うようにいかない。家庭の問題だけでもあたふたしているのに、新しい店長は店になじまないし、万引犯による被害も見過ごせないものになってきた。陰の店長(のつもり)としては、店の一大事をなんとかしなくてはならない。そんな時、万引犯の犯行現場を目撃してしまい…。つぶやき芸の極みのような妄想小説だが、滑稽さの裏にある温かさが、読後感をさわやかな気分にしてくれる。おもしろくて、哀しく切ない、そしてほっこりとする不思議な作品だ。 【定価】本体1500円(税別)【発行】小学館

ヒーローとヒロイン『Back From The Edge』James Arthur

2017.02.13 Vol.684
 英シンガーソングライター、ジェイムス・アーサーの最新アルバム。人気オーデイション番組での優勝経験もある実力派で、年齢とさまざまな経験を重ねながらその技と魅力に磨きをかけている。楽ではなかった生い立ちはもちろん、アーティストとして認知されるなかでネットの騒動でレーベルの契約は打ち切り、活動休止に追い込まれたりと山あり谷ありだ。そんな経験を経てリリースされる本作は音楽に対しての熱を感じずにはいられない。タイトルを直訳すれば「ギリギリのところから戻ってきた」。どん底を経験したからこそ伝えられることがある。良い意味でスゴ味のある作品。帰ってきたジェイムズの音楽に再び多くの人が魅了される。

ヒーローとヒロイン『SUPERMAN』水曜日のカンパネラ

2017.02.11 Vol.684
 独特なサウンドやライブパフォーマンスで注目を集めるポップハウス・ユニット、水曜日のカンパネラがメジャーファーストフルアルバムをリリース。タイトルが示すが通り、「アラジン」「坂本龍馬」「一休さん」「カメハメハ大王」に「世阿弥」と、いろいろなスーパーマンの名前を冠した曲をずらりと10曲収録。どの曲もタイトルの人物をモチーフになっているそうだが、聞かないことには、どんな楽曲なのか、どんなアルバムなのか皆目見当がつかない。それなのに、分からないワクワク感でついつい手に取ってしまう。それが水曜日のカンパネラなのだ。心地よいビートとサウンド、エッジがあってユニークなリリックの組み合あわせは絶妙。それにコムアイの歌声がさらに彩りや深み、軽やかさを加える。リピートは必至だ。コムアイの音楽フィールド以外での活躍もあり、認知度も注目度もぐんぐんと上昇中。3月には初の日本武道館公演も決定しており、さらなるブレイクも目前。まずはこのアルバムをチェック!

チェックしておきたい1枚!『GRAMMY ノミニーズ 』V.A.

2017.01.26 Vol.683
 来月13日(現地時間12日)に発表される世界最大級の音楽の祭典グラミー賞授賞式。授賞式を控え、ノミネートされた作品をまとめた恒例のコンピレーションアルバムがリリースされた。収録曲は、年間最優秀レコードなど主要賞に複数ノミネートされている英アーティスト、アデルの「ハロー」、昨年のシグネチャーアーティストといっても過言ではない米アーティストのドレイクの「ホットライン・ブリング」(年間最優秀アルバムにノミネート)、最優秀新人賞などにノミネートされているザ・チェインスモーカーズの「クローサー Feat.ホールジー」など全21曲。 [COMPILATION ALBUM]ワーナー 発売中 2500円(税別)

チェックしておきたい1枚!『Renne』SOHN

2017.01.23 Vol.683
 米ロサンゼルスを拠点に活動するシンガーソングライターであり、人気アーティストへの楽曲提供やプロデュースでも手腕を振るったSOHN(ソン)のセカンドアルバム。ドイツ語で“走る”をタイトルにした本作は自分自身の内部を掘り下げた内容。万人受けする分かりやすいドラマティックさがある作品とは言いにくいが、美しいメロディーと温かみのある声がじわりじわりとしみる。プライベートでの変化も反映された楽曲の数々はリスナーの心にすっと入ってくる。ソングライターとしての魅力を発揮した作品。本作で彼の名前はより広くへと浸透しそう。 [ROCK ALBUM]Beat Records / 4AD 発売中 2400円(税別)

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