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テクノロジーアートの祭典がオンラインで開催「Media Ambition Tokyo 2021」

2021.05.12 Vol.741

 未来を創造する技術とアイデアが結合する、都市を舞台にしたテクノロジーアートの祭典「Media Ambition Tokyo 2021」が、六本木ヒルズの東京シティビューにて開催。

 9回目を迎える今年は、感染拡大防止に十分な配慮を行いながら、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッドな展覧会を実施。国境を越え活躍するアーティストをはじめ、多種多様な分野のイノベータや企業が集まり、最先端のアートや映像、音楽、パフォーマンス、トークショーなどを展開する。

 なお、東京シティビュー(六本木ヒルズ 森タワー52階)の展示会場にて、作品を鑑賞できるのは「緊急事態宣言」解除後の予定。

 アートと研究開発の両輪から日本の未来を提言する落合陽一をはじめ、リアルとバーチャルを横断する新しい体験を創造し続ける水口哲也、新たな聴覚体験を創出するサウンドアーティストevalaを迎えたシナスタジアラボ、見えないものを可視化し表現する脇田玲など、MATではおなじみの作家に加え、小野澤峻、会田寅次郎、Mayuka Otsukiなどといった、次世代の日本のテックアートシーンを支えるアーティストたちも集結。

 最先端のテクノロジーカルチャーを実験的なアプローチで都市実装するリアルショーケースともいえるMAT。自分たちの日常に実装されたらと想像を膨らませるもよし、最先端のテクノロジーに刺激を受けるもよし。テクノロジーアートの多彩な魅力を堪能できる展覧会だ。

節目の年に向けた渾身のラインアップで楽しむ展覧会「生誕150年記念 モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて」

2021.04.17 Vol.740

 2022年に生誕150周年を迎える画家モンドリアンの“知っているようで知らない”魅力に迫る展覧会。日本では実に23年ぶりの回顧展となる。

 ピート・モンドリアンは1872年、オランダ生まれ。1908年に象徴主義の画家ヤン・トーロップに出会い象徴主義や神智学に傾倒。やがてキュビスムに影響を受けパリに移住。その後、モンドリアン芸術を象徴する表現となる、抽象的コンポジション作品を制作する。

 本展では、オランダのデン・ハーグ美術館が所蔵するモンドリアン作品50点と、国内外の美術館が所蔵するモンドリアン作品と関連作家作品約20点を展示。初期の自然主義的な風景画から、晩年に手掛けた、水平垂直線と原色平面で表現されるシリーズ「コンポジション」までを紹介。オランダからパリ、そしてニューヨークへと移り住みながら画風を変化させていったモンドリアンの軌跡をたどる。

 さらに、モンドリアンが主張した理念「新造形主義」に基づき「デ・ステイル」をともに結成したドゥースブルフなど、同時代の作家との交流も紹介。「デ・ステイル」のプロダクトデザインを合わせて、デザイン領域まで広がったモンドリアンの影響に迫る。

節目の年に向けた渾身のラインアップで楽しむ展覧会「サントリー美術館 開館60周年記念展 ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」

2021.04.14 Vol.740

 日本絵画のコレクションにおいて質・量ともに高く評価されているアメリカのミネアポリス美術館から、厳選された日本絵画を紹介する注目の展覧会。

 アメリカ中西部ミネソタ州最大の都市ミネアポリスにあるミネアポリス美術館は、1883年にミネアポリスの市民や実業家が美術協会を設立したことに始まり、現在では世界各地の約9万点を超える美術作品を所蔵する、世界有数の美術館の1つ。中でも、日本絵画のコレクションは、約2500点の浮世絵をはじめ、質・量ともに国際的にも高い評価を得ており、近年でも在米の美術愛好家から多くの日本絵画・工芸が寄贈されるなど、そのコレクションは今なお進化し続けている。

 本展では、同館の日本美術コレクションの中から、中世から近代にいたる日本絵画の変遷を選りすぐりの作品で紹介。水墨画・狩野派・やまと絵・琳派・浮世絵・文人画(南画)・奇想派・近代絵画と、江戸絵画を中心に日本絵画史の主要ジャンルをほぼ網羅するラインアップとなっており、中には初の里帰り作品も含まれている。

 国境を越え、時空を超えて一堂に会した人気絵師たちの競演を堪能できる、貴重な機会だ。

密を避けつつ出かけたい、春のアート展「まちへ出よう展 ~それは水の波紋から始まった~」

2021.03.16 Vol.739

 1995年に行われた伝説的な屋外アート展「水の波紋95」を呼び覚まし、街とアートの深い関係を見つめなおす展覧会。

「水の波紋95」は、1995年の夏に国際的キュレーター、ヤン・フート(1936-2014)とワタリウム美術館が協力し、青山、原宿の街中40カ所に現代美術の作品を設置したアート展。各所に作品が置かれた30日間、そこには魔法が掛けられたかのように不思議な空気があふれ、さまざまな出来事が起きたという伝説の展覧会だ。「水の波紋」とは水面に落ちた一粒の水滴が波紋となりゆっくりと広がっていくように、街に設置したアート作品が多くの人たちの心に届くことを願って付けられたタイトルだという。阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件といった大きな事件が次々と起こった1995年、東京が異様な緊張感に包まれ、困難を極めながらも開催された同展は、図らずも都市における行動の自由や場所のあり方、安全についても改めて考えさせられた展覧会となった。

 今回の展覧会では、コロナ禍の影響により人々が“不要不急”の外出を控えるなか、かの伝説的な屋外アート展の記憶を呼び覚まし、その源流となった作品をたどるとともに、その波紋に共鳴するかのようなアーティストたちの作品を紹介。ホワン・ヨンピン、宮島達男ら当時の出品作家の作品に加え、Chim↑Pom、キース・ヘリング、ヨーゼフ・ボイスらによる作品を展示する。

自由自在、縦横無尽なアートたち。「多層世界の中のもうひとつのミュージアム——ハイパーICCへようこそ」

2021.02.19 Vol.738

 デジタルテクノロジーを駆使したメディア・アートの数々を、リアル会場とオンライン会場で紹介する展覧会。

 オンライン会場では「ヴァーチュアル初台とハイパーICC」が仮想世界に出現。東京オペラシティ街区の一部が「ヴァーチュアル初台」として再現される。さらにそこに“情報の建築”としてのハイパーICCを設置。リアル会場と連携した展示空間を体験できる(ウェブブラウザやPC用アプリケーションを利用)。オンラインからアクセスして体験できる作品は、リアル会場でも展示。ARでリアルでは見えない要素が追加されるなど、リアルとバーチャルが共存し情報が行き来する空間が立ち上がる。出展作家は、本展共同キュレーションを務める谷口暁彦をはじめ、メディア・テクノロジーを駆使し、作品制作や、ネットワーク上での作品公開を行ってきたアーティスト7組。

 近年、社会におけるデジタル領域の役割が比重を増すなか、新型コロナウイルス禍の影響により、日常の多くのシーンでデジタルシフトがさらに加速。多くの美術館でも、展覧会を中止しオンライン上で作品を公開するという試みを行った。そんな社会変動を経験した今、リアル空間とデジタル空間を行き来して、新時代のアート体験を楽しむことができる展覧会となっている。

自由自在、縦横無尽なアートたち。「佐藤可士和展 」

2021.02.11 Vol.738

 2007年の開館以来「さまざまな美術表現を紹介し、新たな視点を提起する美術館」を活動方針に掲げ、デザインや建築の展覧会を定期的に開催してきた国立新美術館が、その理念を体現する企画として、日本を代表するクリエイティブディレクター佐藤可士和の展覧会を開催。

 1990年代、株式会社博報堂でアートディレクターとして斬新な広告プロジェクトを次々と手がけた佐藤は、2000年の独立以降、さまざまな分野のクライアントを対象に、革新的なVI・CI計画やブランド戦略を手がけ、国内外から注目を集めてきた。

 過去最大規模の個展となる本展では、佐藤自身がキュレーションする会場構成のなかで、約30年にわたる活動の軌跡を多角的に紹介。展示室を巡る来場者は、佐藤の数々の仕事を「作品」として鑑賞する刺激的な体験を通して、そのクリエイティビティーを体感することができる。会場では、幼少期のコラージュ作品や博報堂入社当時にデザインした作品といった佐藤の原点から、クリエイティブディレクターとしての仕事の数々、さらにはアートワークのシリーズ「LINES」と「FLOW」の対比的なインスタレーションも展開する。

コロナ禍に直面して1年―アートが記憶したもの、記録するもの「DOMANI・明日展2021 スペースが生まれる」

2021.01.30 Vol.737

 1998年にスタートした、文化庁の「新進芸術家海外研修制度」経験者を中心に構成するアニュアル展。例年、年の初めに国立新美術館で開催され、今年度で23回目を迎える。

 2020年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、一時は開催があやぶまれたものの、夏に初めてオンライン上で展開され、好評を得た。

 そんな「DOMANI・明日展」が今年は、感染対策のうえ再び会場でのリアルな展示を実施。過去10年間に各国で研修経験を持った7人の新進作家と、それ以前に研修を経て、現在アートシーンの最前線で活躍する竹村京・鬼頭健吾、袴田京太朗の作品を紹介。「2020年代」を迎えた日本のアクチュアル、かつ国際的に開かれた表現を浮かび上がらせる。

 本展のサブタイトル「スペースが生まれる」には、東日本大震災から丸10年を目前に、被災によって生じた空間/景観の余白と、コロナ禍のステイホームで体験した時間的余白を経て、改めて何が本当に大事なのかを考え直し未来と向き合おうという願いが込められている。

 国際的な移動や発表を前提に活動してきた作家たちが、長期にわたる閉塞状態のアートシーンに遭遇したなかで思考を重ねて作り上げた展覧会で、さまざまな“スペース”を感じて。

『るろうに剣心展』開幕!描き下ろし新作ネーム、逆刃刀の展示も

2021.01.21 Vol.Web Original

 2020年4月に開催を予定されていた「25周年記念 るろうに剣心展」が1月22日より東京ドームシティGallery AaMoで開幕した。誕生から25周年を迎えた大ヒット漫画『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』の初めての大規模作品展で注目が集まっている。

世界で一枚のDOG ARTがオーダーできる!池袋でEIJI TAMURAが最新個展

2021.01.20 Vol.737

 ポップでカラフルな作風で愛犬の多彩な表情を描くDOG ARTアーティスト、EIJI TAMURA(田村英史/タムラエイジ)。米ニューヨークでも作品を発表する作家の最新個展「EIJI TAMURA DOG ART展」が西武池袋本店2Fで開催される。作家本人に聞いた。

「もともとグラフィックデザインの仕事と平行して絵を描いていて、発表するようになったのは10年ほど前から。ここ5年は個人で主に百貨店のイベントスペースなどで作品を展示しています。

 グラフィックデザインの仕事はクライアントの意見を聞いて調整しますが、アートは自由に表現できることが魅力でした」

 活動開始から一貫して犬を描いている。

「アートではDOG ARTアーティストとして活動しています。当時は犬を飼っていたので、自分の犬を描いていたんです。あと過去に仕事で米ロサンゼルスによく行っていて、今の作風はその時に見たウォールアートなどの影響が大きいですね」

コロナ禍に直面して1年―アートが記憶したもの、記録するもの「MOTアニュアル2020 透明な力たち」

2021.01.16 Vol.737

 若手作家の作品を中心に、現代美術の一側面を切り取り、問いかけや議論のはじまりを引き出すグループ展、MOTアニュアル。16回目となる本展では、人や物を動かしている自然界や社会の中の不可視の力の作用に着目し、そのメカニズムを再構築しようと試みるアーティスト5組を紹介する。

 ユニークなテーマのもとに集うのは片岡純也+岩竹理恵、清水陽子、中島佑太、Goh Uozumi、久保ガエタンの5組。繊細な手作業のコラージュ作品から生物工学を取り入れたバイオアート、プロトコルを考察するソフトウェアアートまで、多彩な表現を用いて複雑な世界の様相を切り取っていく。自然現象や社会現象への好奇心を刺激する作品や新しい生活のあり方を考察する作品たちとの出会いは、わたしたちが暮らす世界や時代に対する好奇心も刺激してくれそう。

 他にも、回転や振動を伴うからくり装置、生物学的な反応が起きる様子を見せる映像作品、スマートフォンを使ったインタラクティブなプログラムや参加型のプロジェクトなど動きのある作品で、ときにささやかに、ときにダイナミックに、見えない力やそのメカニズムを体感することができる。

心は自由に。世界へ、宇宙へと広がる。「138億光年 宇宙の旅」

2020.12.19 Vol.736

 創立から60年余、宇宙開発や天体観測に偉大な功績を残してきたNASA―アメリカ航空宇宙局による画像を中心に、観測衛星や惑星探査機、宇宙望遠鏡等がとらえた美しく驚異的な天体写真を厳選した展覧会。

 土星の大気に突入して20年に及ぶミッションを終えた土星探査機カッシーニや、太陽系最大の惑星である木星の周回軌道に22年ぶりに投入された木星探査機ジュノーなどがとらえた天体の姿を大画面銀塩プリントで紹介する、太陽系の天体に迫る写真や、NASAの宇宙望遠鏡群によって観測された天体画像を中心に、われわれの銀河系から深宇宙まで、近年公開されたハッブル宇宙望遠鏡による“銀河系の星雲と銀河宇宙”の写真、史上初めて撮影されたブラックホールの影、 すばる望遠鏡のハイパー・シュプリーム・カム(HSC/超広視野主焦点カメラ)による画像をもとにつくられた「ダークマターの地図」、 アルマ望遠鏡がシャープにとらえた「惑星誕生20の現場」など、 国立天文台関連の大型望遠鏡による素晴らしい観測成果の紹介など、見ごたえのある内容となっている。

 2020年はハッブル宇宙望遠鏡が打ち上げ30周年を迎え、日本でも、12月6日未明に日本の小惑星探査機はやぶさ2が地球に帰還するなど、ますます宇宙への夢が広がっているいま、サイエンスでありながら芸術的な画像を通して、宇宙の謎や神秘を紐解く人間の英知や科学技術の発展に思いをはせて。

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