ヤマザキマリ「渋谷でフィレンツェの空気感を体験できる展覧会」

 現在、東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」が開催中。日本初公開作品を含む17点(展示替え有、工房作等を含む)のボッティチェリ作品が、イタリアをはじめ世界各地から集結、国内史上最大級の展覧会だ。イタリア在住で、フィレンツェの国立アカデミア美術学院で美術史と油絵を学んだ、「テルマエ・ロマエ」の原作者で漫画家のヤマザキマリ氏が、同展について語る。

「よくこれだけのものを集めたなというのが、第一印象です。ボッティチェリの要点となる、その時期のボッティチェリの背景が良く分かるような絵を、世界各地からこれだけ集められたっていうのがすごい。ちょっと圧倒されました。私自身、ボッティチェリの絵を一番見ていた時代が、一番貧乏な時代だったので、会場に入ったとたん、そのころのことを思い出しました(笑)。フィレンツェの空気を感じヨーロッパの美術館にいるような気持ちになりました」

 絵は見たことがあるが、ボッティチェリを知らない人にヤマザキ流解説。

「遊び人だったと思うんですね。結婚もしてなかったし、男友達とワイワイガヤガヤやっているのが好きで、二次元の中で自分の好きな女を描く。今でいう漫画オタクみたいな人かも(笑)。またこの時代の画家はダ・ヴィンチをはじめ、おしゃれな人がたくさんいましたがボッティチェリもおしゃれな伊達男で、結構突飛な格好をして、“どうだ!”みたいな人だったようです」

 この展覧会でデートした時に、相手に通だと思われるポイントは?

「『キリストの降誕』という絵はど真ん中に牛とロバが描かれていて、その2頭が自愛に満ちた目で見ている先にキリストがいる。動物が中心にいる構図が珍しいことを指摘して“普通は動物が主人公になるはずがない絵なんだけど、そこがいいよね”と言って俺の優しさ度をアピールするのもいいんじゃないでしょうか(笑)」

 キラーフレーズでカッコよく見える、『キリストの降誕』は会場で!
「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」
【会期】6月28日(日)まで【会場】Bunkamura ザ・ミュージアム