投稿を削除しろ【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第12回】

写真はイメージです(編集部注)(写真:UPI/アフロ)

 趣味でサンバをやっているのですが、実は皆さんが思っているよりも熱心にやっていたりします。

 毎日、会社行って、仕事終わりに練習に行って、帰宅してから資料を作ったり衣装を直したりという生活。

 土日は丸一日練習で踊りっぱなし、もしくは、イベントやお祭りに呼んでいただいてショーやパレード。

 8月に浅草サンバカーニバルがあるのですが(これもあまり知られていないことですが、コンテスト形式で順位がつきます。だから日本のサンバ関係者は、このイベントを目指して一年頑張っているのですね)、それに向かって今の時期は超詰め込み期だったりします。

 私が所属しているのは、それほど規模の大きくないチームですが、3年前からパレード演出を任せてもらい、今年はダンサーとしても重要なポジションを任せてもらえることになりました。

 ありがたいことに、チーム外の方にも知っていただくことが増え、チームの代表として振舞う機会があることも。

 ……というと聞こえはいいのですが。

 そういう私の環境の変化に伴って、さまざまな発信がしづらくなりました。

 たとえば、ネガティブな発言は一切できなくなりました。

 不安や怒りなど負の感情を人に見せてはいけないようです。

 常にみんなを盛り上げる存在でい続けなければならない。

 まぁ、それ自体は、自分自身に良い影響を与えている部分もあるのでいいのですが。

 面倒だなと思うのは、SNS等で自分の仕事のことを発信できなくなってしまったことです。

 これまでは、「最近はこんな作品を作ったりしています」「こんなイベントをやります」ということをお知らせしたりしていました。

 私が少しでも発信することで、女性向けAVのことを知ったり、考えたりしてもらう機会が生まれればと思って。

 でも、アダルトであるという表面だけをとらえ、何かよくないもの、非常識なものだと思われて、「サンバのイメージを悪くする」とか「もっと立場にふさわしい振る舞いをしろ」と言われ、投稿を削除させられたりしたことがあります。

 正直、いつもの私であれば、こっちだって意思があってやっているんだ!と付き返すところなのですが。

 私の発言で、チームの人に迷惑がかかったり、サンバに関わっている人全体がいやな思いをしたり、偏見を持たれることがあったらいけないと、ぐっと言葉を飲み込んでしまったのです。

 ましてや、浅草サンバカーニバルという一大イベント前の大事なときに、何かトラブルを起こすのは本位ではありません。

 そんな折、先日、はあちゅうさんとしみけんさんが事実婚を発表されました。

 案の定、ネット上では大変な話題になりましたね。

 ここぞとばかりにお二人を叩こうとする人もたくさん見かけました。(なぜ叩くんだろう? 何か迷惑を被ったのか……)

 私は、お二人とは直接面識がないものの、こういう反応は予想していただろうし、覚悟していただろうし、そして予想しているよりも傷ついたんだろうな、と想像しています。

 でも、それでもちゃんと自分の立場を表現している二人は、かっこいい、うらやましいなと思いました。

 私も喧嘩したいわけではないので、「投稿を削除しろ」なんていう人に「うるせえ」とは言うつもりはないのですが。

 余裕を持って「削除しません、なぜなら……」と説明していかなくては。

 また闘わなければいけないことが増えてしまいました、わかってはいるのですが、闘い続けなければいけないこの業界は、つらいことも多いです。

 と、サンバ業界でも肩身が狭くなる田口でした(汗)

田口桃子(たぐち・ももこ)
GIRL'S CHプロデューサー。2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。
営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL'S CHの立ち上げに携わる。
以来現在まで、GIRL'S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。