【インタビュー】浅沼直也、上田慎一郎、中泉裕矢の「カメ止め」クリエイター陣がトリプル共同監督『イソップの思うツボ』

浅沼直也(撮影・大野洋介)
浅沼「例えば中泉さんの意見を、僕がいいね、と賛成しても上田さんが、いやちょっとそれは…みたいになると、そこで止まっちゃう。そういうことが2年間続いていたという状況でしたよね」

中泉「というか、上田さんと浅沼さんの好みが合わないことが多々あったんですよ(笑)。僕は、2人のアイデアでもちょっとでもいいなと思えたら膨らませようとしていたけど、どちらかが納得しない。結局、3人ともが面白いと思えることが、見つからなかったんですよ(笑)」

上田「後戻りできなかったのは大きかったよね。自主映画でやろうとしていたら、これは無理なんじゃないか、となっていたかも(笑)」

中泉「僕は、この映画本当に完成するのかな、ってずっと思っていましたから」

浅沼「僕はこの3人ならやれる、と思っていましたよ。構想で3年かけて、最後の数カ月でほぼ脚本を完成させましたけど、それまでの2年半は長い夏休みだったんだ、と。みんなでお互い好きな映画のベスト10を出し合ったり、それぞれが作った作品を見せ合ったり。企画自体は進んでいなくても、お互いの理解は進んだし。そして8月31日が来たからみんなで本気で宿題にとりかかった、と」

中泉「でも結局、撮影直前で3分の1くらい脚本に変更が出ましたけどね。キャストも大迷惑ですよね、台本持ちづらいし(笑)」

上田「決定稿を出してから撮影日までに変えたところが3〜40ページ分ありましたね」

浅沼「まあ、いいものにしようとそれだけ粘ったということですから」

上田・中泉「僕らがそれ言っちゃダメでしょ(笑)」