偉人たちの驚愕泥酔エピソード27連発!『人生で大切なことは泥酔に学んだ』


 見た瞬間に「これは仕方がない」と自分に言い聞かせて本書を手に取った。「泥酔」に覚えがある人間には避けて通れないタイトルだったからだ。

 本書は作家、政治家、スポーツ選手、俳優から歴史上の人物まで27人の泥酔エピソードを紹介している。ツケで呑み食いしまくった揚げ句「菊池寛の処に行ってくる」と言い残し、その場に檀一雄を置き去りにした太宰治から始まり、登場人物たちは真剣で素振りするわ、プラットホームから落ちるわ、二階から飛び降りるわ、ビール壜で殴るわ、全裸になるわ、大砲を誤射するわ。それでも金があれば呑む、なくてももちろん呑む、朝から呑む、休みの日も呑む、電車に乗れないといっては呑む。

 コンセプトは“偉人の泥酔ぶりから、処世術を学ぼう”とあるけれど、人のことは言えないがなぜこんな思いをしてまで酒を呑むのだろうか。

 ところどころ著者の泥酔エピソードも挟み込まれ、日々正体をなくし、眼鏡をなくし、スマートフォンをなくしていることがわかる。

 ちなみに筆者は一度だけ著者と酒席を共にしたが、いつの間にかテーブルに頭をゴンゴン打ちつけている愛すべき好男子であった。お互いかなり酔っていたため、なにを話したかは覚えていないが。
『人生で大切なことは泥酔に学んだ』
【著者】栗下直也【発行】左右社【価格】本体1800円(税別)