災害で命を落とさないために。東京・狛江市にFMラジオ局“コマラジ”誕生

 世田谷区(東京都)と調布市(東京都)、そして川崎市(神奈川県)に囲まれた狛江市(東京都)は、日本で2番目に小さい市である。しかし、約8万3000人が住み、人口密度は上から2番と3番を行ったり来たり。利便性の良さ、それでいて水辺と緑が多く住みやすいという事で、現在進行形で人口が増えている人気のエリアでもある。

 そんな狛江市に11月11日11時11分、コミュニティーFM“コマラジ”が誕生する。
9月14日に行われた『FMこまえ「コマラジ」開局式・公開録音』の様子。狛江市長をはじめ、多くの来賓、市民団体のメンバー、パーソナリティーらが出席
コミュニティーFMが街と人を守る
「狛江市にコミュニティーFMを作りたいと思ったのは阪神淡路大震災がきっかけです」と狛江ラジオ放送社長の松崎学さん。

「コマラジの設立準備委員会を設立したのは約3年前。最初に仲間からFM放送っていいねという話を聞いた時は、 “いまさらラジオって…”と思ったんですね。ただ、それが頭に残っていた時期に、FMに関わっている人と話す機会があり、阪神淡路大震災の話題になったんです。当時FM局は圏域放送だったため放送範囲が広すぎて、本当に必要な情報が本当に必要な人に届かなかった。要は、地域ごとの細かい情報が放送できなかったというのです。その時の反省を踏まえ、各市区町村にFM局が必要だと言われるようになり、一気にコミュニティーFMが全国に広がったと。それは東日本大震災のあともそうで、現在は10月7日の段階で330局のコミュニティーFMが全国にあります。狛江市は世田谷区と調布市、川崎市に隣接しているのですが、その3つの地域はすでにコミュニティーFMを持っているんです。その電波も入るので放送は聞けるのですが、震災があった場合、それらの地域のFMは狛江の情報は放送しません。大きな災害やアクシデントが起きた時は、世田谷のFM局は世田谷区民に向けて、世田谷区民が必要な情報を放送する。避難所や救援物資、医療を受けられるところなど重要かつ必要な狛江市民のための情報は入ってこない。つまり狛江は情報難民になってしまうのです。しかも、そのような大きな災害や事故が起きると、停電する確率が非常に高い。テレビも見られず、スマホも充電できない状態では、どのように行動していいか分からない。そんな時、乾電池で聞けるラジオは非常にありがたい情報ツールになるんです。そんな話をしていくうちに、これは絶対に狛江に必要なものだと考えるようになりました」
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