日本の農業の未来を見すえ、産地の流通改革を。菊池紳(たべもの株式会社 創業者)


 この仕組みは、労働力のサポートだけでなく流通の問題点にも一石を投じる。

「指定作物は皆が作るのでどうしても供給がダブつくことがある。すると流通の段階で調整するので、そこで大量の廃棄野菜が出る場合があります。最低価格を崩さないよう産地で廃棄するという政策すらあります。では指定野菜以外のもの、値崩れしていないこれから需要のあるものを作ろうとしても、指定野菜以外を流通させるのは難しい。畑ごとに向き不向きがあるので指定野菜を作りにくかったり、需要のある野菜をもっと作りたいと思っている人がいても、流通に乗せられないとなれば指定野菜を作るしかないですよね。どの国でも農業は基本、保護主義ですけど、持続可能にしていくためには、適地適作で作りたい野菜を作り、自由に流通させることができる仕組みも必要だと思います。一方で消費者側でも、ほうれん草がないなら小松菜でいいよね、というオルタナティブな意識が必要。なければあるものを使う。それがかえって多様性を生む。農業離脱を食い止め、各段階でロスをなくせば農作物が足りなくなる状況を回避できるはずです。これは日本だけじゃなく世界でも起こっていることなので、日本でこの問題を解決できれば、似たような気候のアジアの途上国にモデルケースとして持っていけると思っています」

 SDGs意識の高まりとともに、社会課題と向き合うビジネスを志す人も増えている。SDGsを意識しての起業におけるアドバイスは。

「社会課題に向き合う仕事は、普通の起業よりスイッチングコストが高くつくということを覚悟したほうがいいと思います。 あと『北風と太陽』の物語じゃないですけど、こうしなきゃダメ!というスタンスではなく、この方向に行くことが心地よいんだよという伝え方ができるコミュニケーション能力やデザイン力が大事になると思います」
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