【インタビュー】川口春奈「最後まで賢い帰蝶を」大河ドラマ『麒麟がくる』で斎藤道三の娘を好演

 着物にかつら、これまでに携わってきた作品にはなかった所作の指導。川口春奈にとって『麒麟がくる』の現場は、初めて尽くしだ。大河ドラマが初めてなら、時代劇も初なのだから、それも当然。

「着物を着てかつらをかぶってお芝居をする。そこから不慣れで。いまでも慣れているのか分からないところなんですけど、すべてが新鮮です。セットの一つひとつにしても、ロケに行くにしても、ものすごいスケールで、たくさんの方が関わっていることを日々実感しています。戦国時代でお芝居していることも不思議な感じで、いまだにすごいところにいるなと思います」

「メイクや衣装はひとつのスイッチになる気がしている」という川口。日々、そのスイッチを入れて帰蝶を演じている。本木雅弘の熱演で話題を集めている美濃のマムシこと、斎藤道三の娘。一癖も二癖もある道三の血をひく彼女は、いわゆる戦国時代のお姫様のイメージとは異なる。はつらつとしていて、行動派。見ていて清々しい。

「激動の時代を生き抜いた女性。すごく芯が強いし、とっても賢くて、のちには信長をコントロールしたりもします。“凛としていて、強さもあって、自分の芯がぶれない女性を演じてほしい”と言われたので、その事をを心がけて演じています」

 長谷川博己演じる明智光秀とは幼なじみのような間柄。同じ画面に登場するシーンでは、歯に衣着せず、奔放に言葉を交わす。それゆえに8日放送の「同盟のゆくえ」では、切なさが増幅した。帰蝶は密かに想いを寄せている光秀に、尾張の信長に嫁ぐよう背中を押してほしい、と言うのだ、瞳が涙で曇っているのを悟らせないように。

「生まれたときからの自分の使命というか宿命というか。光秀と離れなきゃいけない切なさもあったかもしれないけれど、断ることもできない。(光秀に)止めてほしいという思いもあったと思います。そんな彼に行っておいでって言われて……。切ないなと思いながら脚本を読みました」。
 
 とはいえ、行かないわけにはいかない。それが、この時代。すっと背を伸ばし、凛とした表情で尾張に向かった帰蝶の姿は印象的だった。