風評被害に負けないものづくり。【故郷の誇り胸に、福島が歩んだ10年】

3.11 復興、その先へ


 福島第一原子力発電所の事故から10年が経つ。福島県いわき市には、現在も原発周辺地域から避難した人の仮設住宅が並び、原発作業に従事する人が行き来する。いまだ続く風評被害など様変わりした暮らしのなか、福島の誇りを見失うまいと、未来へ向かい活動する3人に話を聞いた。



【酒井悠太】株式会社起点代表取締役。福島県出身。有機農業による綿花の栽培、オーガニックコットン製品の企画・開発・製造・販売を行う。優しい生成色が特徴の綿花は塩害に強く、放射性物質の移行係数が低いことから注目された。「SIOME」オンラインショップhttps://www.iichi.com/shop/fukushima-siome

風評被害に負けないものづくり。

LUSHやパタゴニアも注目する福島コットン 


株式会社起点 代表 酒井悠太さん


 


 地元・福島の誇りを守るため奮闘する人がいる。原発事故の風評被害でダメージを受けた農家を救おうと、福島で作られた綿花でコットン製品の企画や販売を行う株式会社起点の代表、酒井悠太さんだ。


 きっかけは、2012年春からスタートした「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」。放射能の影響で食用の作物が敬遠されていた状況を改善するため、口に入れない作物=コットンを有機栽培で育て、収穫された綿花の収益を生産農家に還元する取り組みだ。2015年には環境省『グッドライフアワード』の優秀賞を受賞している。


 



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