「K-POPにできて日本にできないとは思わない」エイベックスが海外大手と提携し世界を目指す

AEGは今最も旬なアーティストの1人エド・シーラン(写真)をはじめさまざまなビッグアーティストのコンサートを手がけてきた ©Zakary Walters

 


―AEG Presentsがエイベックスと業務提携した背景を聞かせてください。


ウィルクス「私たちは、今回の提携を非常にうれしく思っております。私たちとエイベックスには、共通する理念があると感じています。1つには、アーティストファーストという観点を持ってアーティストの開発に重きを置いているという点です。アーティストの目線に立ってビジネスを展開していく。そこに視点があるという会社は、実はこの業界ではとても珍しいのです。2つ目に、私は“会社のDNA”と呼んでいますが、会社のマインドとして起業家精神を持っていること。さらにいえば、両社とも業界の中ではまだ若い会社といえること。社員の考え方などでも、古いものにとらわれない考え方ができる組織である点も共通していると思います。変化が激しい現在の状況を生き抜くには、不可欠必要なものをお互い持っているといえるのです。


 実は、AEGが日本への参入を検討し始めたのは10年ほど前になります。当時から私たちは東京や大阪といった日本の代表的都市でコンサートを開催しており、エイベックスとはそのころから丁寧に関係をはぐくんできました。今ではお互いの役員同士は友人といえる関係です。以前より深い信頼関係にあるエイベックスと提携できるという点においても、お互いが持ち寄るリソースが生み出す可能性の大きさという点においても、素晴らしいパートナーシップが期待できると思っています」


―AEGが今回の提携により、目的としていることは。


ウィルクス「過去何十年にわたって、日本の音楽市場は世界の中でも非常に大きく魅力的な市場とされてきました。日本国内のアーティストにとってもそうですし、海外アーティストにとっても大変大きな市場なのです。


 ですがここ近年、日本だけでなく世界のエンターテインメント業界で変革が起きており、世界的に、よりグローバルな展開が求められるようになっているのです。その結果、数多くのビッグアーティストが、私たちAEGを含め国際的なエンタメ企業と複数年にわたって契約を結ぶということがトレンドになっています。このような状況の中、AEGとしても優位性を保つためにいろいろなローカルパートナーと提携し、しっかりした土台作りをしていかなければならないのです。


 日本のアーティストにとっても国外での可能性を追求し、より多くのファンを獲得すべきタイミングが来ていると思います。私は、K-POPにできて日本のアーティストにできないとは思えません。AEGXを通して、日本から世界へ向けて活動するアーティストの開発にも力を入れていきたいと思っています」