「K-POPにできて日本にできないとは思わない」エイベックスが海外大手と提携し世界を目指す

エイベックスが海外大手AEG Presentsと提携し世界を目指す! 新業態「AEGX」設立


 エイベックス・エンタテインメント株式会社は、世界規模でライブビジネスのプロモーションを行うグローバルエンタテインメント企業AEG Presents社と業務提携を結び、4月1日より新たに「AEGX」を設立。エイベックス・エンタテインメント株式会社取締役兼ライヴ事業本部長の山中昭人氏と、AEG Presents Asia Pacificのアダム・ウィルクス社長に「AEGX」設立の背景と、目指すところを聞いた。



アダム・ウィルクス…2011年AEG入社、AEG Presents Asia Pacificを立ち上げ、テイラー・スウィフト、ローリング・ストーンズなど多数のアーティストのツアーや、中国のNBA Global Gamesなどを成功させる。2016年AEG Asia社長兼CEOに就任。またAEG Presents Asia Pacificの社長も兼任。 山中昭人…エイベックス・エンタテイメント株式会社取締役、ライヴ事業本部長。2006年 エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ株式会社 制作事業部 入社

“ガラパゴス的”進化を遂げた日本の音楽市場


 AEGX設立により、世界展開を本格的に目指すこととなった日本の代表的エンターテインメント企業エイベックス。一方、今回提携するAEG Presentsは、これまでマイケル・ジャクソンのコンサート「This Is It」をはじめ、テイラー・スウィフト、ジャスティン・ビーバー、ローリング・ストーンズ、エルトン・ジョン、BTS、セリーヌ・ディオン、エド・シーランといったビッグアーティストのツアーを手掛けてきた、世界的なエンターテインメント・プレゼンターだ。


アダム・ウィルクス氏(以下:ウィルクス)「AEGは日本でも数々のコンサートを行ってきました。私はこれまで世界有数のビッグアーティストを日本に呼ぶ機会に恵まれてきまして、日本での素晴らしい思い出は数限りなくあります。近年では、2014年にザ・ローリング・ストーンズを招へいし、東京ドームで3公演、来日30周年記念のコンサートを開催しました。また機会があれば、ぜひ彼らを日本に連れて行きたいですね。日本のファンはとても熱狂的な方が多い。ミュージシャンたちにとっても私たち音楽業界の人間にとっても、日本は行きたい国ナンバー1。日本に行くことは、関係者全員が大きな楽しみとなっているんです」


―「AEGX」設立の意図と背景を聞かせてください。


山中昭人氏(以下:山中)「日本から世界を目指すアーティスト、そして日本でも活躍したい世界のアーティストへ、創造性と機会を提供していくことがAEGXの主な事業内容となります。AEGXを通してエイベックスは、よりグローバルな展開を構築していきます。その背景には、より世界的な展開が必要になっている音楽ビジネスの変化があります。


 日本の音楽市場はとても大きく、コンサートなどのライブエンターテインメント市場だけでも2018年度の数字で6000億円ほどです。市場が大きいため、日本のアーティストは積極的に海外に進出しなくても国内でビジネスが成り立っていました。結果的に、海外のビジネス手法やノウハウを取り入れる必要もなく、良い意味でも悪い意味でも、日本独自の進化を遂げてきたと感じています。


 現在、セールスのかたちがCDからストリーミングに変わりつつあり、K-POPが欧米でメジャーなコンテンツとなるなど、世界の音楽ビジネスの状況は大きく変化し、それに伴いアーティストやプロダクションの意識も大きく変わってくると思っています。今回の新型コロナウイルスの影響により、そういった変化は大きく加速して行くと思います。コロナ後には、積極的に海外に出ていく日本のアーティストが増え、私たちはエンターテインメント企業として、世界を目指すアーティストやプロダクションに提案やサポートをしっかりとできる組織にならなければならないと思っています。


 独自に進化した日本の音楽業界を知るエイベックスと、世界的なビジネスモデルを熟知しているAEGが提携することで、より力強く世界的な展開が可能になる。AEGXとしては、それぞれの強みを上手く生かしながら、積極的に日本のアーティストを海外に紹介し、世界に通じるビジネスモデルを日本に取り入れていきたいと思っています」



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