無観客開催で東京オリパラの大幅赤字は確実。負担を巡り国と都が綱引き

新国立競技場

 東京オリンピック・パラリンピックは新型コロナウイルス禍での無観客開催でチケット収入が大幅に減少するなどしたため、決算の赤字は確実な情勢となった。

 その赤字をどこが負担するのか、国、東京都、組織委員会の3者による綱引きが、これから本格化しそうだ。

 大会の経費は新型コロナの感染対策費用などを盛り込んで膨れ上がり、昨年末段階で1兆6440億円となった。これを組織委(7060億円)▽都(7170億円)▽国(2210億円)−の3者で分担する。今後、収支を計算する決算の作業に入るが組織委の武藤敏郎事務総長は6日の記者会見で「赤字の規模は今後精査して出てくるが、3者間で解決策を見いだしたい」と述べた。

 これに先立つ7月には、丸川珠代五輪相は閣議後会見で「組織委でチケットも含めた収入の精査に加え、さらなる経費の精査を行っていくべきだ」と述べ、国の負担に一歩引いた姿勢を見せた。招致段階の立候補ファイルでは、赤字は都が穴埋めし、賄えない場合は国が対処するとしている。

 一方、小池百合子都知事は8月の定例記者会見で「取り決めは取り決めである」としながら、負担について「決算時点の話になるので、関係者がそろって協議をしていく仕組みになっている」と述べた。都の負担という流れに予防線を張り、国や組織委と調整が必要だと強調した。

 武藤氏は6日、決算時期について「確定するのは(来年)4月以降だが、大枠はもっと早く決めたい」と述べている。どこが負担するにしても来年度の予算編成に影響してくることから早期の決着が望まれる。