RUNIDREという名の理想郷。見たことのない高さへ、聞いたこともない角度で、飛べ!〈徳井健太の菩薩目線第294回〉
“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第294回目は、5人組ボーイズグループ「RUNIDRE(ランアイドリー)」について、独自の梵鐘を鳴らす――。
5人組ボーイズグループ「RUNIDRE(ランアイドリー)」をご存じでしょうか? 咲太朗さん、弓木大和さん、森本悠阿さん、鈴木大介さん、加藤優太さんからなるアイドルグループで、今年8月30日に1St EP『Let’s Live Like RUNIDRE!』でデビューしました。
僕は、「アイドル分析に定評のある芸人」として、彼らの公式YouTubeチャンネルに出演したのですが、その模様はRUNIDRE特別番組『RUNIDREってどんな5人?』にてご確認いただけるので、もしよろしければご覧ください。
RUNIDREは、元EBiDANや元関西ジュニアなど、すでに芸能活動経験のあるメンバーに加え、乃木坂46・弓木奈於さんを実姉に持つ弓木大和さんがいるなど、話題性のあるグループです。が、僕が今回お伝えしたいのは、「笑っちゃうくらいの超理想的なアイドルやアーティストになる可能性を秘めている」ということです。
YouTubeチャンネルにゲスト出演するにあたって、参考資料ということで、彼らのモキュメンタリー映画(現実のドキュメンタリー番組やニュース、テープ映像であるかのように見せかけたフィクション作品)――といっても、実話に基づいている映像を拝見したのですが、これがなかなか類を見ないというか、エッジが効いているというか。
例えば、デビュー前の合宿・共同生活による選抜などでメンバー間の試行錯誤が繰り返されてきた背景は、これまでのオーデイション番組の合宿・共同生活とは一線を画すもので、「そんなに時間をかけるの!?」と見ているこちらが心配になったほど。詳細を綴るとネタバレになってしまうため、あまり多くは語れませんが、ある意味では社会実験を見ているような面白さすらあったのです。
彼らのコンセプトは「You Already Are(すでに持っている)」というもので、「幸せは外に探すものではなく、すでに自分の中にある」を軸にしているという。モキュメンタリーの中でも語られていたように、プロデューサーの方は、数字に縛られたくないと話す。SNSの再生回数やお客さんの増え方など、数字を見ながらアイドル活動をするのではなく、私的解釈で言えば、「いかにアイドル自身がハッピーでいられるか?」を追求する――。それを実現すれば、必ずファンや応援してくれる人は付いてくるはずだという理念。まるでエデン。罪や苦しみのない地上の楽園。RUNIDREは、海千山千ひしめく芸能界のロジックにも、数字に左右され縛られてしまう現代社会にも染まらない、自分たちだけの理想郷を目指すというのだ。
「不可能」だ。極論、僕個人の見解は、それなのだ。なぜならそれは、「この世から争いがなくなって、世界がひとつになったらいいよね」と言っているようなものだからだ。大人の事情が乱れ飛ぶ芸能界で、そんな理想を語っていたら、全弾が命中してしまう。あちらを立てて、こちらも立たす。それが芸能界、いや、社会の処世術と決まっている。
僕たちは、自分のやりたいこと、自分の理想だけでは食っていくことができないことを知っている。どこかで妥協していくしかない。それでも、自分の中でゆずれないものみたいな何かを大切にして、見失わなかった人が、試行錯誤する中で頭一つ抜けていく。
だけど彼らは、「自分たちがハッピーであれば結果もついてくる」という、笑っちゃうくらい理想の旗を掲げている。そうだよね。理想を目指すことをやめてしまったら、世界がひとつになることは永久に訪れない。「平和が訪れたらいいよね」という思いだけは、捨ててはいけないはずなんです。
こんなアイドルがいたでしょうか。本来、理想は大きければ大きいほどいいはずなのだ。やっていく中で失敗したり、できないことを理解していく方が、結果的に伸びしろになることだってある。最初から無理なもの、邪魔なものを頭でっかちに考えてしまうと、途端にスケールが小さいものになってしまう。だから風呂敷は大きいに越したことはない。この風呂敷で、彼らは一体どこまで飛ぶことができるんだろう。面白い男性アイドルグループが現れた。そのことは疑いようがない。彼らは、今この瞬間をどうするかしか考えていないという。夢や野心の外側にいるRUNIDRE。刮目するしかありません。

