SPECIAL INTERVIEW 品川ヒロシ × 藤原竜也

第6回沖縄国際映画祭でゴールデンシーサー賞受賞!映画『サンブンノイチ』
『ドロップ』、『漫才ギャング』に続く品川ヒロシ監督最新作は、息をもつかせぬハイテンポで、虚実入り乱れてのだまし合いとポップなマシンガントークが繰り広げられる、痛快クライムムービー。原作は『悪夢のエレベーター』を手がけた木下半太の同名小説。品川監督のストーリーテリングが冴えわたり、豪華キャスト演じる個性豊かなキャラクターが弾け合う! かつてない痛快クライムエンターテインメントを生み出した品川監督と主演・藤原竜也が、笑いの絶えない撮影舞台裏エピソードを語る! 
藤原竜也 ヘアメイク:赤塚修二(メーキャップルーム)/スタイリスト:小林新(takahashi office)品川ヒロシ スタイリスト:渡辺浩司 衣装協力:Roen、CUSTOM CULTURE撮影・蔦野裕
笑いが絶えない品川組の撮影現場。今回の立役者はあの人

 人生の一発逆転をかけ、銀行強盗で大金を手に入れたキャバクラ店長のシュウ(藤原)とボーイのコジ(田中聖)、常連客の健さん(ブラックマヨネーズ・小杉竜一)の3人。ところがいざ“3分の1”ずつ分けようとしたところで問題発生。大金を狙うヤバい奴らも加わって、嘘と真実が入り乱れる命がけのだまし合いが幕を開けた! 大注目の品川監督最新作で初めての顔合わせとなった2人。その初対面の様子は…?

品川ヒロシ(以下:品)「竜也くんとは、確か本読み(役者が揃って台本を読み上げる作業)の前に初めてきちんとお会いしたんですよね。いつもだと僕は食事会みたいなことをして、そこで役者さんにご挨拶したりいろいろお話するんですけど、今回その時間が取れなくて。でも僕としては、本読みのときに “どうも!”みたいにあいさつできればいいかと思っていたんですけど、映画会社の方が気を利かせてくださって、なぜか本読みする部屋とは別に会議室まで用意してくれて、竜也くんとあいさつする時間を作ってくれたんです。…そのおかげで、初対面はすごく変な空気になったんですよね(笑)。この後に本読みでまた会うのにね、この時間要らなかったよね、ごめんね、みたいな(笑)」

藤原竜也(以下:藤)「確かにあのときは微妙な空気が流れてましたね(笑)。でもその後の本読みは楽しかったです。実は僕、あの“本読み”というのがすごく苦手なんですよ。ちょっと重い空気で、誰が何を考えているのかもよく分からず、特に発言し合うわけでもなく、相手がどう出てくるかも分からず、それでいいのか悪いのかも分からないまま話が進んでいって…。でも、品川監督の場合、本読みの日から笑いがあったんですよ。まず監督と小杉さんが面白おかしく話して、じゃあこんなふうに読んでみようかとか、いろいろ意見も出て、まずこれまでに経験したことがないような本読みでしたね。リハーサルも面白かったですし」

品「リハでは毎日、笑ってましたね(笑)。やっぱり僕は、映画の現場ではなるべく楽しくやっていきたいんです。役者さんたちにも楽しんでやってもらいたいんですよね」

 今回、笑いの絶えない現場作りのキーマンとなったのが小杉の存在。

品「ラーメンの屋台を出してくれたりね(笑)。木村拓哉さんが撮影現場の差し入れとしてラーメンの屋台を呼ばれることがあるそうで…」

藤「そういうことを小杉さんもやってみたらどうですか、という話になったんですよね」

品「みんな感謝するし“コスタク伝説”になりますよ、とね(笑)。でも僕は、よしもとの給料も知ってるし、あまり無理しないでインスタントラーメンとかでいいんじゃないですか、とは言ったんですけどね。小杉さん、本当に屋台を呼んでくれて。俺の限界や、って言ってました(笑)。ただ残念なことに、屋台の人が出張に慣れてなかったのか2時間くらい遅れてきたんですよ。で、現場はラーメン待ちになっちゃって(笑)」

藤「みんな“あれ、これは何を待ってるんだろう”って感じでしたよね(笑)」

品「どうせ待ってるんだから、もう1シーンやっちゃおうかとなったんですけど、みんな“午前中の分は終わったはずなのに…”っていぶかしげで(笑)。しかもやっとラーメンが来てみたら、小杉さんがギリギリ1人1杯分しか注文してなくて、みんなすごくお腹すかせてたので足りないんですよ。“え、これだけ…?”みたいな反応で。結局小杉さんは、ラーメンを配ってる横で“ホンマすみません”って謝ってました(笑)」

藤「最後に、店の人に小杉さんが言った一言が…“負けろや”(笑)」

品「2時間も遅れてきたんだからそういうこと言ったほうがいいですよ、と僕が言ったんです。結局100食分のうち5000円安くなったみたいです(笑)。そのあともいろいろやってもらったし…たぶんギャラはマイナスかもしれない」

藤「小杉さん…(笑)」

イメージは西遊記!? 初タッグで生まれたゴールデンチーム

 そんな小杉と藤原、そして田中演じる3人組がとにかく“画になる”。

品「僕のイメージだと『西遊記』の三蔵法師、孫悟空、沙悟浄、猪八戒のような組み合わせがやってみたかったんです。小杉さんが沙悟浄と猪八戒を1人で請け負ってくれた感じで(笑)。竜也くんは三蔵法師みたいな感じがするでしょ。聖くんが孫悟空みたいな感じ。で、小杉さんが1人で沙悟浄&猪八戒(笑)」
藤「真面目な話、僕は今回、小杉さんにはすごく助けられたなと思ってるんです。この話は僕と小杉さんと聖の3人で進めていかなければならないものだから、この3人の間で良い雰囲気を作ることがとても重要だったんです。僕と聖や監督との距離を縮めてくれたのが小杉さんなんです。小杉さんのおかげで最高のクランクインを迎えられたなと思ってます」

品「そういえば昨日、小杉さんから電話があったんですよ」

藤「何てですか(笑)?」

品「あの人、広島と福岡と北海道のPRイベントに来ないから、“小杉さんはあまり作品PRに協力的じゃないって言いますからね”って竜也くんが冗談で言ってたでしょ。竜也君が本当に言ったかどうか、それを心配してて(笑)」

藤「小杉さんのおかげでキャンペーンも飽きないですよね(笑)。僕、まだ小杉さんのサイテー話ありますよ。ラブホテルで撮影したときのことなんですけど…」

品「本当、ネタは尽きない(笑)」

藤原絶賛。品川ヒロシワールドは唐十郎に通じる!

 本作の見どころの1つが、会話劇の絶妙さだ。劇中で繰り広げられる、ストーリーとは一見無関係な無駄話のマシンガントーク。そのセンスの良さもタランティーノ作品をほうふつとさせる。

品「原作に出てくるセリフを生かした部分もあるんですけど、そもそもあの手の映画で登場人物がストーリーに関係ある話ばかりしゃべり続けていると、見ているほうも疲れてしまうのではないかと。緩急というか、ふっと気が抜ける瞬間も必要だと思うんですよね。それに、実世界でも会話ってけっこう脱線するじゃないですか。ストーリーを語る会話だけだと逆にリアリティーが無くなるんじゃないかな、と。もともと木下半太さんの原作自体も会話がすごくポップで、クライムムービーを小説化したような雰囲気があるんです。もし僕が東野圭吾さんの作品を映画化してと言われたら、なかなかあんなウンコだのオッパイだのというセリフは書きづらいですよね。オッパイというセリフを入れたいんですけどいいでしょうか?と聞きに行くと思います(笑)」

藤「監督の書いた脚本って、突然突拍子もない会話が始まったり、いきなり過去に戻ったり、今思うとストーリーを追うのではなく感覚で見ても面白い。それは戯曲でいうと唐十郎の世界なんです。もしかしたら監督、天才かもしれないですね」

品「ははは(笑)。というより、銀行強盗の数時間前に大事なことが発覚したり、映画にはどうしても矛盾やご都合主義的な面があるわけで、そこに気付くスキを与えないために、突拍子もないセリフや演出をたくさん入れたりもしてるんです」

 登場人物の視点が入り乱れ“真実”が二転三転していく構成も観客を翻弄。 “演じている人物を演じている”のか“本気の人物を演じている”のか、役者も翻弄されそうだ。

藤「そこはやっぱり大変でした。僕らもその都度確認しながらだったので。でもそれもまた面白くて」

品「ある意味、すべて芝居なわけですよ。何か言われたら、そういう言い訳ができるという(笑)」

藤「今回、本当に品川監督って斬新なことをやってくれるなと思いました」

品「他の役者さんが竜也君を見て、あの役をやりたかったなと悔しがってくれたらいいな(笑)。次回作も作ってみたいんですよね。もし小杉さんがPRにあまり協力しないなら“2”の冒頭で健さんは殺す!」

藤「冒頭のナレーションは“ワシは死んだ…”ですね(笑)」

 メインの3人はもちろん、中島美嘉、窪塚洋介、池畑慎之介☆といったツボを押さえたサブキャスト陣も必見。次回作を熱望する声があがることは必至の一本だ。       
(本紙・秋吉布由子)
『サンブンノイチ』
 キャバクラ〈ハニーバニー〉の雇われ店長・シュウ(藤原竜也)は、ボーイのコジ(田中聖)、常連客の健さん(ブラックマヨネーズ・小杉竜一)と、人生一発逆転を賭け、銀行強盗を計画。見事1億6000万円の大金を強奪することに成功するが、奪った金を3分の1ずつ分けようとすると、仲間割れが発生。最後の最後になって見にくいもめごとを始める3人。ところがいざ大金が入っているバッグを開けると…。

監督・脚本:品川ヒロシ 出演:出演:藤原竜也、田中 聖、小杉竜一(ブラックマヨネーズ)、中島美嘉、窪塚洋介、池畑慎之介☆他/KADOKAWA 吉本興業配給/4月1日(火)より全国公開
http://www.sanbunnoichi.jp/http://www.sanbunnoichi.jp/ ©2014『サンブンノイチ』製作委員会