【徳井健太の菩薩目線】第2回「俺は病院には行かないから」みたいな妙なしゃしゃりは、誰もハッピーにならないよね

“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第2回目は、服装に関する見解を独白。世の習わしについて、今日も勝手に梵鐘をつき鳴らす――。

 人間、40歳にも近づいてくると、若い頃とは随分と考え方や感覚が変わるもんだね。そのひとつが服装。俺は、どこにでもTシャツ&短パン、サンダルで行くことに抵抗を覚えていなかったし、むしろ、そういう格好で高級レストランみたいな場所へ行くことに、ちょっとした“カッコよさ”を覚えていたくらい。
 
 ところが、後輩と話していたら、「あえて高級レストランで、そういう格好をするのって、しゃしゃっている(≒イキっている)ように見えてダサい」と指摘されて、なるほどって思ったの。あ~周りからは、そういう目で見られているんだって。本人も別に意識してドヤっているわけじゃないと思うんだけど、それって結局、誰もハッピーになっていないしゃしゃり方だよなって改心した。だったら、そんなこと止めた方がいいに決まっている。よく分からないしゃしゃり方ってあるじゃん? 「俺は病院には行かないから」みたいな。あれって、誰も得していないよね。とりあえず、病院には行った方がいいでしょ。

 あとさ、テレビで見た警察24時的な番組で逮捕されていた窃盗集団が、ことごとくサンダルを履いていたの。あれを見たときに、「俺も傍から見たら窃盗集団の一員みたいに思われてるのかな!?」って、急に怖くなった。別にオシャレをする必要はないけど、やっぱり年相応の格好って必要ですよ。じゃないと、安物のサンダルを愛用している人=窃盗集団の予備軍、だと思われても文句は言えないなぁと思った。

 会社勤めをしている人たちから言わせれば「服装に気を遣うなんて当たり前だろ」って思うのかもしれないけど、俺たちみたいな芸人だったり、フリーで仕事をしていたり、ちょっと感覚がズレたりしている人もいるわけですよ。で、気が付くタイミングを失った人が、「いまさら変えたって仕方ないから俺は俺のスタイルを貫く」みたいな妙なしゃしゃり思想に陥っちゃうと思うの。でも、服装だけはやっぱり変なしゃしゃりは捨てたほうがいい。まともな格好ができない人は、まともじゃないよ。

 ちなみに、芸人ってよくドッキリの対象になるでしょ? 服が汚れることも珍しくないから、ラフな格好になりがちって傾向もあると思う。だから、キャラ付けの意味でユニフォーム的な服装を着ている人って、ドッキリ対策としても有効的だなって思う。衣装が汚れるだけであって、自分の服が汚れるわけじゃないから。でも、その一方でその姿(キャラ)からいつ脱皮するのか気になってなぁ。後輩たちから「服装のアドバイスをください」って言われることが少なくないんだけど、「自分の首を絞めないような服装(衣装)」としか言いようがないんだよね。

ホットパンツは死のリスクを高めるパンツ

 それにしても、若い女の子がホットパンツを履きたがる心理が分からない。俺は、ホットパンツって“死に遭遇するリスクを高めるだけのパンツ”にしか思えないの。あれだけ露出度の高いパンツを履いていたら、エロい男たちからジロジロと見られるに決まってるじゃん。「あの娘は性に開放的なのかな」なんて勝手に思い込むエロ男のセンサーに引っ掛かりやすくなるわけで、わざわざ血を流した状態でサメが生息する海域に行きますか? って話。

 当然、変な奴からロックオンされる確率が高くなり、それがストーキングを含めた犯罪の第一歩になりかねない。巡り合わせが悪ければ……最悪、「死」ですよ。「ホットパンツさえ履いていなければ、こんなことにはならなかったのに」なんて涙で枯れた声を、俺は告別式で聞きたくない。

 でも、悲しいかな、仕事で会うアイドルの女の子たちにそれを伝えても、誰一人として理解してくれないんだよなぁ。「生足を見せれば見せるほど、死に近づく」って伝えても、全然、響かない。なんでだろうなぁ。俺としては、プライベートでは極力肌の露出は抑えてほしいから、若い女の子はイスラム教徒みたいな服装もアリなんじゃないかって思うんだけど。欧米の文化に、毒されすぎだよね。(目の周り以外は全て覆う)ニカーブが流行してもいいじゃない。ねぇ?

 男は、モテたいから女性を意識した服装を選ぶけど、女の子は同性を意識して服装を選ぶってことなんだろうね。足が細かったり、スタイルが良いことを誇示したいんだろうけど、「世の男性は足の細い子が好き」なんてことはぜんぜん一般論じゃないのに。おまけに死のリスクも上がるのに、変な話だよね。となれば、おそらく俺たち男性に向けられたものじゃないから、ホットパンツを履けるんだろうなぁ。服装って、そういった男女の意識のズレがよく表れているから面白いけど、やっぱり俺は、ホットパンツはサメをおびき寄せるパンツだから止めた方がいいと思うんだよなぁ。

徳井健太(とくい・けんた)
 1980年北海道生まれ。2000年、東京NSC5期生同期・吉村崇と平成ノブシコブシを結成。感情の起伏が少なく、理解不能な言動が多いことから“サイコ”の異名を持つが、既婚者で2児の父でもある。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。




※「徳井健太の菩薩目線」は毎月10、20、30日に更新予定です!