営業のカリスマ・和田裕美が教える ネガティブを認めたうえで、前向きになれる方法



「なかなか営業成績が上がらない……」、「自分は営業に向いていないのかも……」。そんな風に、営業という仕事に対して自分をネガティブに考えてしまう人は少なくないかもしれない。そもそも初対面の人に何かをオススメするなんて、難しいに決まっている。営業は、どこか辛くて大変なもの――、そう考えてしまいそうなもの。

「人間って、急に何かを勧められると反射的に断る人が9割いると言われてます。例えば、新聞の勧誘など困りますよね。でも、それは訪問した人や声を掛けてきた人が嫌いだから断っているのではなく、“時間を使いたくない”“お金を出したくない”から断っている。それが一番の理由だと思うんですね。それを理解していれば、断られるのは当たり前。その中で、まず話し返してくれた人に感謝することが大切。決してあなたのことが嫌いで敬遠されているわけではないんですから」

 そう優しく諭すかのように話すのは、ビジネスコンサルタントの和田裕美さん。外資系教育会社に入社後、プレゼンしたお客さんの98%から契約をもらい、なんと日本でトップどころか、世界142カ国中第2位(!!)の成績を収めた営業のカリスマだ。

「働いていたのは日本ですから、全然実感がないんですよ。ある日突然、『君、世界で2位らしいよ』って言われたので(笑)」


 和田さんが務めていたのは、もともと出版会社だった外資系教育会社。日本だけ英語の語学教育(子ども用と大人用の英会話学校)を展開していたため、彼女は英会話学校の生徒勧誘のための営業を担当していたという。なにゆえ、それほどまでの営業成績を残すことができたのか? 「私自身、気に入らなかったら無理に買う必要は絶対にないと思っています。 売るんですけど……売らないんです」。まるで、なぞかけ!? 一体、どういうことか。

「“買ってください”ではなくて、“買いたい”と言ってもらうにはどうするかが大事ですから、無理には売らない。全ての商品って、何かしら問題解決をするために生まれていると思うんですね。商品を提案していく中で、その人の悩みを聞いたとき、私だったらどうやってその問題を解決できるかな、と質問しながら糸口を見つけていく。その人と向き合うことで、「だったら買ってみたい」と思ってもらえるかどうか。その人がどうなりたいか? この商品がどう人生の中で役に立つのか? という答えを話している中で見い出せるのであれば、私は思い切って勧めるようにしていました」

 逆に、営業が上手くいかない人のありがちな行為はなんだろう。

「ものすごく大げさだったり、 相手の話を聞かないで自分のプレゼンばかりするなどですね。営業って、行動量があればある一定の時期は売れてしまう。お人好しの人に出会う確率も増えるでしょうから、ひたすらアタックしまくっていれば、結果を残せる時期もある。ですが、本当のセールスというのは、『もう一度買いたい』、『もう一度会いたい』と思ってもらえること。誇張したり、嘘をついたりしてまでオススメする、売るというのは、そこから先のビジネスがなくなることを意味するんです」

 なるほど……奥が深い。営業に限った話ではなく、人間関係にも言えることかもしれない。永続的な関係を築くためには、見栄を張ったり、嘘をついたりしてはいけないってわけです。

暗闇の中でも「どうやったら人の役に立てるか」を考える



 異次元の営業成績を収めていた和田さんだったが、順風満帆というわけではなかった。「日本から撤退することが決まり、私たち全員がリストラされてしまいました。キャリアもそうですし、育ててきた部下や組織、すべてがある日突然なくなってしまいました」と、当時を振り返りながら微苦笑する。

「食べていくために異業種交流会のようなものに参加したのですが、『うちの会社の社員に営業を教えてくれないか』と声をかけてもらいました。決して大きくない会社なのですが、お話をし、お金をいただいたことで、「自分の経験ってお金になるのかもしれない」と思えたんですね。自分ががむしゃらにやってきたことに、価値を感じてくださる人がいることを知ったんです」

 その後、自らが経験してきた営業のノウハウをパッケージングすることで、次々と声が掛かるようになり、『世界No.2営業ウーマンの「売れる営業」に変わる本』などの書籍にまで発展。そうして売上向上専門のビジネスコンサルタントして独立することになる。結果的に日本から撤退したことで、和田さんのキャリアは一層の輝きを増す。“禍を転じて福と為す”とはよく言ったものだけど、彼女の言葉を借りるなら「陽転思考」のたまものかもしれない。

「ポジティブシンキングとは違います。ポジティブって、良いことばかり考えようとすること。陽転思考というのは、泣いてもいいし、愚痴ってもいいんです。ネガティブな考え方を持った上で、明るいことを考えようということ」

 元々、人間はネガティブな生き物。というのも、ネガティブな発想がなければ、古代人は火の中に飛び込んだだろうし、暗闇で危険を顧みずに動き回っていたことだろう。人間は、「危なさそう」「なんか嫌だな」というネガティブな本能があるからこそ、命を守ることができる。「何か起こったとき、未来に対して不安に感じるのは正常な感覚。そのネガティブを認めながら、明るいところを探す力。それが陽転思考です」、そう和田さんは語る。


「陽転思考になるためには、頭の中に浮かぶキーワードを変えること。ウェブブラウザに検索キーワード入力画面があるように、頭の中にも検索窓があります。嫌なことがあると、頭の検索窓にネガティブなキーワードを入れてしまうと思うのですが、ネガティブな人は、そのまま芋づる式に次々とネガティブな言葉が浮かんでしまう」

 たしかに上司から怒られると、「ムカつく」といったキーワードが浮かんでしまう……。すると、「辞めたい」「早く帰りたい」という具合に、連なるキーワードがことごとく“負”の言葉で埋め尽くされてしまう。

「陽転するために、『よかった』を探してください。何がよかったんだろうって、自分で考える機会につながることで、真っ暗な空の中でもきらっと光る一つの星を探せるクセがつくようになりますから」

 例えば、気に入っていたお皿を割ってしまった! 「あ~凹む……最悪だ」と一回、ネガティブを受け入れた上で、

「誰もケガしなかったんだから、不幸中の幸いだったな」
「またお気に入りのお皿を探せばいいか。いつお出かけしようかな」

 などなど、明るい点を探してみること。そうやってよかったことを探すクセが、何が起きても立ち直れる自分を作り出してい秘訣だそうだ。

「綺麗事とかではなくて、人間って誰かの役に立てるとちょっと幸せを感じますよね。仕事もしかり、家庭もしかり。どうやったらその人の役に立てるかということを考えて追求していくことが、自分を磨くことになると思うし、自分の成長につながると思います」

 営業が上手くいかない……暗闇をさまよい続けるくらいなら、星を探しながらの方がいい。きっとその光が、あなたの進むべき道の目印になるはずだから。

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