水源から蛇口まで。日本最大級の水道トータルサービスが4月誕生【東京水道株式会社 野田数社長】

 私たちの生活に欠かせない「水」。東京都の水道事業が人口減少や施設の老朽化に直面する中、将来にわたり持続可能な事業を運営するために、2020年4月1日、技術系業務と営業系業務・IT系業務が統合し、日本最大級の水道トータルサービス会社「東京水道株式会社(Tokyo Water)」が誕生した。水源から蛇口まで、水道業務全般を担うという新会社設立の経緯や水道事業の未来について、野田数社長に話を聞いた。(聞き手・一木広治)
のだ・かずさ 1973年川崎市生まれ、46歳。97年早稲田大学卒業。2016年の東京都知事選挙で、小池百合子選挙対策本部の最高責任者を務める。同年8月、東京都知事特別秘書(政務担当)に就任、「都民ファーストの会」を設立。19年3月に特別秘書を退任、同年5月、東京水道サービス株式会社代表取締役社長に就任。20年4月より、東京水道株式会社代表取締役社長。
 そもそも東京水道株式会社(Tokyo Water)とは何をする会社なのでしょうか?

「東京都の水源管理から、配水管の設計・工事監督、料金徴収までの水道事業を総合的に担う、“日本最大級の水道トータルサービス会社”です。これは、東京都独自の政策なのですが、政策連携団体という位置付けで、都が株式51%以上保有していることなど、外郭団体の中でも都との連携が強い団体を指します。いわゆる第3セクターですね。当社は東京都が80%の株を保有する安定した企業です」

 今話題の「水道の民営化」のための会社ですか?

「民営化とは全く関係ありません。昨年10月の改正水道法の施行により、都民の皆さんは東京都の水道が民営化するのではないかというご心配があるかと思いますが、東京都水道局としては、民営化は検討していません。現在は、事業運営や施設整備計画の策定など、コア業務を東京都水道局、準コア業務を政策連携団体が行なって、その他の業務を、街の水道屋さんや工事業者さんが支えています。東京都の政策連携団体である当社は、東京都水道局と一体となって、東京の水道事業を支えていく役割を担っていきます。具体的には、東京都水道局が行ってきた大規模浄水場の運転管理など、主に現場系の業務の大半を我々が受けるような形になります。こうした維持管理を担う第3セクターは全国にありますが、弊社は社員数でいうと2600人、日本最大級の規模です」


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