『まちの本屋』の著者・田口幹人「本屋になれる」オンラインサロン開設

 今年初開催され、大きな話題を呼んだ「二子玉川 本屋博」。そこで異色のブース「語夢万里(ごむまり)文庫」を出展していたのが、元さわや書店(盛岡市)の書店員で、現在は出版取次(書籍の卸売問屋)の楽天ブックスネットワークに勤務する田口幹人氏である。ブースで促進していたのは、本屋の開業をサポートするオンラインサロン「もういちど、本屋へようこそ 〜知を編み、血を継ぎ、地を耕す〜」。一体、どんなサロンなのか、田口氏に話を聞いた。
オンラインサロン「もういちど、本屋へようこそ」を立ち上げた田口幹人氏(撮影:堀田真央人)
 本屋開業のためのオンラインサロンをスタートさせるきっかけは?

田口幹人(以下、田口)「2018年の8月に『もういちど、本屋へようこそ』(PHP研究所)を出版したのですが、この本を作っている最中に『WEBでより具体的な話をしてみようか』というところから始まった企画です。僕が(さわや書店を)退職するなど、タイミングが延びてしまい、この4月からスタートすることになりました」

 いわゆる有名書店員の田口さんがなぜ出版取次に入社したのでしょうか。

田口「今、出版業界が語られるとき『出版不況で〜』と始まることが多いのですが、そのマイナスからスタートした話をやめたいと思っていました。出版不況の一番の原因は何かと考えていく中で、構造上の問題がすごく大きくて、構造を変えて新しい芽を見つけるための手段が、僕の中では物流会社だったのですよね。本屋を始めるハードルを下げ、続けるという意味でも、今までと全然違うアプローチの仕方を作れないかなというのを、考え続けてきました」

 物流(取次)に注目した理由は?

田口「僕は、本はシンプルに読者に届けばいいと思うんです。そのためには、作り手から読み手に、いち早くダイレクトに物が届く仕組みが大事。今の業界は(本を)何日に取次に搬入するとか、枠組みがあってすべてが始まっている。そうではなく読者により早く、より確実に欲しい本が手に届く環境を作るには何ができるか、ということをやりたかったわけです。そこに書店や取次が必要だとすれば、書店や取次がどう変わらなきゃいけないのか、やれる範囲でやれればいいかな、と思っていて」
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