「D」はなぜ200万人から愛されるのか? 芸能人と肩を並べるインスタグラマーの素顔



どこにでもいる少年が、Instagramで有名人になるまで



 そもそも、有名になるため、お金を稼ぐためにInstagramを始めたわけではなかったという。ファッションスナップのアカウントから、今の”D”はどうやって生まれたのか。

「中高生の頃は、いじめられっこでした。どうしても周りから理解されないことが多かった。インスタを始めた2014年当初、僕は九州の専門学生でした。卒業と同時に、ファッションの仕事がしたくて、流行の中心である東京に来ました。その頃僕は何も知らなくて、今思えば半ば騙されるような形で働き始めたのが……ブラック企業でした。相談できる人は誰もいなくて辞められなかった。自殺を考えたこともありました。それでも、自分のインスタの更新だけは怠りませんでした。そこでのコミュニケーションは僕にとって、本当に楽しいものだったからです」

 そこで3年働いた。その間も、インスタは更新した。どこまでも彼の中でのインスタは、ビジネスではなく趣味であり、コミュニケーションだったという。ただ、その一貫したスタンスが実って、今では自分が本当に面白いと思う仕事のきっかけになってくれる時もあるという。

「僕の原動力はいつでも”面白そうかどうか”だけです。インスタは、人との交流が楽しかったからずっと続けられた。僕はインスタ上で仕事をすることはないですが、インスタがつないでくれた人との交流のおかげで、楽しそうな仕事ができることはあります。昔大好きだったポケモンのアパレルの仕事を振ってくれたり、地元・佐賀県の企業との仕事もつなげてくれました。

 僕がインスタから得たものは、人とのつながりだったと思います。そこに相互性のあるコミュニケーションがあったからこそ、得ることができたものだったと思います」

 現在は交流をより深めていくために、日本人をフォローバックするアカウントを作ったり、オープンチャットでファンと交流したりしているという。

 気づけば、話し始めてから2時間弱。その間も、インスタグラマーという肩書きから持ってしまいがちな偏見じみた「ミーハー」「目立ちたがり」などといった印象は少しもなかった。人並みの生きづらさを抱えた、ごく素直で細やかな青年がそこにいた。