バーチャルで茶碗を拝見!?世界初「VR茶席」をオンライン茶会で体験

 新型コロナウイルス感染症の拡大はやや収まりを見せ始めたが、この間にありとあらゆる文化活動が「不用不急」の名のもとに影響を受けたと言っていい。その活動のひとつに小さな茶室で客をもてなす茶道があり、茶会の延期や中止、稽古の自粛が各地で相次いでいるという。そんな中で、表千家・岡田宗凱さん主宰の「世界茶会」が、オンラインで茶の湯(客を招き、抹茶をたてて楽しむこと。また、その作法や会合)を体験できる「茶空会 sakue」を開催。さらに、世界初の「VR茶席」が設けられるとのこと。いったい「VR茶席」とはどんなものなのか? 興味津々の記者が、初めてのオンライン茶会を体験した。
愛知県半田市「半田松華堂」の菊をモチーフとした特製の茶菓子
 今回の茶会は、旧暦9月9日の節句で「菊の節句」とも呼ばれる「重陽」がテーマ。参加者には事前に宅配便でVRゴーグルと、特製の茶菓子、抹茶が送られてくる。茶菓子は愛知県半田市「半田松華堂」の菊をモチーフとした羊羹、抹茶は京都宇治「山政小山園」の小倉山の一服パックで、茶碗と茶筅は自分で用意。記者は野点用の茶碗・茶筅・茶匙のセットを用意したが、自宅にある器を使って茶筅を用意するだけでも十分だろう。VRゴーグルには3分程度のイントロダクション映像が入っており、開催前に亭主の岡田さんからのメッセージを視聴することができる。

 ドキドキしながら当日を迎え、茶会入場用のzoomアドレスをクリックし、いよいよ「VR茶席」のスタート。最初に、岡田さんからテーマについての説明がある。

「節句には、五節句というものがあります。3月3日の雛祭りは上巳の節句、5月5日は端午の節句、7月7日は七夕、1月7日は人日というように1、3、5、7、9と奇数月に節句があります。9月9日の9は奇数であり、0から9の数字の中でもっとも大きい数字です。(陰陽思想では)偶数は隠の数字、奇数は陽の数字にあたるのですが、陽の最大の数字が重なる日であることから重陽と呼ばれます」

 別名「菊の節句」と呼ばれ、菊を用いて不老長寿を願う行事でもある。旧暦の9月9日は、現在の10月25日にあたるという。
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